春の暮風にふかれて帰りけり

【読み】

 はるのくれかぜにふかれてかへりけり


【季語】

 春の暮〈春〉


【大意】

 春の夕暮れを風にふかれて帰るのであった。


【附記】

 技巧を凝らすことなく興にまかせて無造作によんだもので、深い意味があるわけではない。作為を排して鑑賞に堪えうる作品を生むことはできるのだろうか。


【例歌】

 山里の春の夕ぐれ来てみれば入相いりあひの鐘に花ぞ散りける 能因


【例句】

 入逢いりあひの鐘もきこえず春の暮 芭蕉

 がための低きまくらぞ春の暮 蕪村

 ごんと鳴る鐘をつきけり春の暮 夏目漱石

 

 等閑なほざりに香たく春の夕かな 蕪村

 橋守の銭かぞへけり春夕 召波しょうは

 海は帆に埋れて春の夕かな 大魯たいろ

 蕭条せうでうたる古駅にるや春の夕 夏目漱石

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る