歯朶の葉を浸してすずし手水鉢
【読み】
しだのはをひたしてすずしてうづばち
【季語】
すずし(涼し)〈夏〉
【大意】
シダの葉を浸して見るからに涼しい手水鉢である。
【附記】
シダの漢字表記は現代なら「羊歯」が標準的であろうが往時の句には現れないようである。「歯朶」は新年の季語だが、ここでは涼しさに重点を置いているので夏の句とせねばなるまい。
【例句】
山柴にうら白まじる
春立つや歯朶にとどまる神矢の根
見せばやな餅の
裏白は
冬枯の歯朶にうつるや鳥の息
花に来て歯朶かざり見る社哉 鈍可
元日や動かぬ歯朶の影ぼ
鬼歯朶も蘇鉄も雪の
開く日も裏白そよぐ氷室かな
裏白に和歌三神の
歯朶原を通つて行くや墓参 寺田寅彦
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