第48話

 白馬に引かれる白い馬車なんて、童話か何処ぞのテーマパークでしか見たことなかったんだけどな。まぁ、聞いた話によると、馬も人間と一緒で、体毛が白くなるのは年寄りの証拠だとか何とからしい。

 で、なんで今俺がそんな事を考えているのかと言うと、現実逃避である。デリータの言う通り、春祭りのクライマックスが俺たちの結婚式だった。

 まず、俺と王子が粛々と神の前で永遠の愛を誓い、そのまま見届け人として、デリータが国と結婚をするという証明書に署名をしたのだった。


「ほら、シオン。もっと笑顔を見せるんだ」


 王子が隣からそんなことを言ってくるが、生まれながらに王族である王子と違い、愛想笑いをつい最近覚えたばかりの俺にとっては苦行である。王妃様が気合を入れて作らせた、本日の俺の衣装は凄いとしか言いようのない出来栄えだ。

 ヘッドドレスには、王族しか使えないロイヤルブルーの花があしらわれ、繊細なレースのベールは長く、オープンカー?な作りの馬車からヒラヒラと漂っている。そんでもって、ブーケの花を俺はばら撒きながら笑顔を振りまいているのだ。もちろんデリータもやっている。王族の青を地に落とす訳には行かないから花は白いけどな。俺にとっては名前も知らない白い可憐な花である。

 

「おめでとうございまーす」


 可愛らしい声は子どもたちだから、底にな花と一緒にお菓子もばら撒く。袋に入った飴である。足元に大量に用意された花と菓子の袋をばら撒き、笑顔をで手を振りながら俺は市中引き回し、もといご成婚パレードをやり遂げたのであった。

 そして、白馬に引かれた馬車は厳かに城へ入り、国王陛下と王妃殿下に結婚のご挨拶をして(しきに参列してたんだけどな)、俺と王子とデリータは後宮へに向かったのだった。

 つまり、ついに来てしまったのである。


初夜


 俺は豪華な衣装を脱がされ、湯浴みをして軽い食事をし、キングサイズよりも大きくなったベッドのある寝室で王子を待っている。

 ちなみにデリータはと言うと、国と結婚したから今夜は青い花に囲まれたベッドで一人、ゆっくりとおやすみになるそうだ。羨ましいことこの上ない。


「シオン」


 ボケーっとしていたら、いつの間にかに王子がやってきていた。いや、侍従が教えてくれたけどね。どこで待ってりゃいいのか分からないでいたら、ベッドに腰かけていいと言われたから、座っていたんだけどね。油断してたら王子が隣に座っていたんだよ。


「はい」


 別に緊張していた訳では無いが、いや、してんだけど。そりゃ、するだろ?しない方が無理だって。そりゃ、ね。半年かけてほぐしに解してもらいましたよ。俺のケツ。

 王子の長くて綺麗な指が余裕で四本入っちゃうからな。4本もどうやって入れんだよ?って思うだろ?いやぁ、三本じゃあダメだと思ってしまったんだな。

俺が。

 だって、考えてくれよ。王子だよ?ギンギンな王子の王子を見ちまったらさ、指三本ぶんじゃねーわ。四本はあるわ。って悟ったんだよ。だからさ、俺は王子に頼んで四本まで頑張って貰ったんだよ。


「今夜は、この特性の香油を使う」


 そんなことを言って王子はすっごい細工の施された瓶を出てきた。青みがかったとても綺麗な瓶だ。


「媚薬が入っている」


 それを聞いてオレは内心焦った。いや、媚薬て、まずいんじゃ


「初夜は、互いに緊張するからな。失敗は許されないのでこのような香油はよく使われる」


 それを聞いて納得した。そりゃ一世一代の大仕事だからな、初夜。破瓜の血をしっかり証拠として残さないといけないんだから、大変だよな。って、俺はそんなこと出来んのだが?


「これは鳩の血が入っている」


 王子がもう一本瓶を取り出した。小さな瓶の中に確かに血がか入っていた。


「行為の最後にこれをシーツに垂らすのだ。理解し難いのだが、大臣どもが確認するらしい」


 いや、俺男なんですけど。なんて思っているのは王子も同じらしい。眉根を寄せながら説明しているからな。


「分かりました」


俺が覚悟を決め、返事をすると、王子の手が俺の肩を抱き、もう片方の手が頬に添えられた。誓のキスとは違うガチなキスが始まった。


 俺は王族ハーレムルート(人数二人かだが)というとてもレアなルートを進んでしまったようだ。もちろん、ハッピーエンドだと信じて全てを向かい入れよう。

 俺は覚悟を決めて背中を真っ白なシーツに預けたのだった。

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攻略中のゲームに転生したら、攻略するの?されるの? ひよっと丸 @hiyottomaru

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