居場所の意味
夜の瞼を毛布のように被り
泣いた後の腫れた目のような西の空に
ふう、と息を吹けば折れてしまいそうな
薄い月が
地の星によって作られた影で見えなくなった
自身の大半を隠すように
冬と春を半分こしたような雲を纏っていた
君は何故、そこにいるの?
気怠そうに雲から覗きながら
自身と同じくらいの薄い興味心で話しかけては
息をするごとに夜の深みを纏う空に微睡んでいた
あなたは何故、そこにいるの?
答える代わりに問い返すと
ただ微笑むだけで何も言わなかった
僕は何故、ここにいるの?
答えない代わりに問うてみると
それはきっと君にしか分からないよ
そう言ってまた微笑んでは
赤く晴らした目のような空を呑み込んだ夜に
薄い身体を委ねるようにして泳ぎ始めた
気付けば先程まで纏っていた雲は消えていて
小さな沢山の砂が陽で煌めくように
無数の星が瞬いていた
僕は何故、ここにいて
あなたは何故、そこにいるのか
答えなど
この星のように無数にあるのかもしれない
あるいは
この薄い月のように無いようなものなのかもしれない
冬らしい風に紛れて微笑むような声が聞こえた気がした
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