第11話 機密情報同意書

「阿部さんは、ご自身の介護保険情報を

どこまで把握されていますか?」


「私は、確か 要介護4ですね!」


「そうです!

要介護4の区分支給限度基準額は30938点になり

これは約31万円分の介護保険サービスが毎月利用できるという事です。

通常年金暮らしの方が、点数を全て利用した場合

負担割合が1割で約3万円かかりますが、

阿部さんの場合、負担割合が2割なので、約6万円の支払いが必要です。


これまで訪問看護を週1回利用と

福祉用具でベットと車いすのレンタルのみの利用でしたので、費用負担は僅かでしたが、これからデイサービスやヘルパーさんの利用がプラスされますと

それだけ自己負担が増える事になります。


今後のサービス利用の方向性について

阿部さんご自身がどのようなサービスをお考えなのか?聞かせて頂けますか?」


「佐竹さん!

私は、丸亀デイに体験利用来るまでは

絶対に施設サービスは利用したくない!と思っていました。しかし母の旧友である幸さんに出会い、緊張が和らぎ、まだ数時間の利用ではありますが、

丸亀デイサービスさんの質の高さは見てとれました。


私が想像していたデイサービスは

お年寄りが世間話をしたり、保育園のような童謡を歌ったり、折り紙をしたり、無理やり参加させられるのではないか?と思っていたのです。


しかし実際は、個人の希望に応じて、柔軟な対応をしてくださる。勿論施設の一日のプログラムがあるようですが、個別機能訓練というものがあって

私はリハビリをしたいと思っていましたが

デイサービスではさほど期待できない!と考えていました。


しかし私の身体能力を評価し

専門のリハビリの先生が、私の身体の状態を正確に把握し、どういったリハビリが必要であるか?

また家に戻った時に、どういった行為が困っていのか?聞いてくださり、自宅の生活環境で生かせるリハビリを提案し、どの様な効果が見込めるのか?を分かりやすく説明してくださいました。」


「佐竹さん!

私は 丸亀デイに、可能な限り多く利用したいのですが、週何回くらい利用できますか?」


「それは、阿部さんが、ヘルパーさんや看護師さんの利用をどの程度必要とされるか?によって

利用できる回数がかわってきます。


私が思うには、訪問看護は、バルーントラブルが生じた際、緊急時は訪問して頂いた方が良いですが、定期の訪問は週2回必要ではないか?と思います。

またヘルパーさんに、ベットから車いすへの移乗をする身体介護と、掃除、洗濯、買い物等の生活援助が必要であり、毎日デイ利用後の18時以降にヘルパーが訪問するとなると、少し単価が高くなるのです。


各サービスが、どれ位の費用が必要か、簡単に説明させて頂きます。

ヘルパー訪問は、生活援助(家事援助)は60分224単位

身体介護(移乗介助、着替え、排せつ介助等)は18時を超えると深夜帯30分311単位


デイサービスは、7時間~8時間未満利用に入浴、機能訓練加算等を加えて 1160単位

訪問看護は、30分469単位で、緊急時訪問看護加算574単位


全て1回あたりになりますので、訪問看護を週2回、ヘルパーを毎朝夕 日に2回訪問になると、デイサービスは週2回位が限度かと思います。」


「そんなに介護保険サービスの点数は高いものなのですか?もし私の持ち点数が超えるとどうなるのですか?」


「すべて自己負担で10割負担になります。」


「全額自己負担になるのですか?」


「そうなのです・・だから在宅生活より

ショートステイで施設に入って頂いた方が、24時間関わりを持って頂けます。

食事、排せつ、移乗移動介助、食事3食提供があり、ナースコールで呼べば、すぐにヘルパーさんや看護師さんが駆けつけてくださる。同じ建物なので、即対応頂ける安心感があります。


在宅は、自分のペースで生活ができますが、訪問看護やヘルパーさんは、決まった時間しかおれません。長く居ればいるほど、それだけ費用がかかってしまうのです。」


「佐竹さん 私はできたら

毎日丸亀デイに行けたらと、思っていましたが

難しい・・という事ですね・・

妻が、コロナ陽性の疑いがある中、特例のようなサービスを組んでいただく事はできないのですか?」


「阿部さん

その件についてなのですが


実は、厚労省と私が所属する霞が関ケアプランセンーが独自で「未来型サービス」という事業を立ち上げておりまして、将来的に、介護保険に取り入れたいサービスを試験的にサービス提供できる特例サービスがあるのですが、ご関心ありますか?

これは・・まだ公な機密機関ではないので、機密情報を伝える事になるので、


機密情報同意書にサインをして頂き、決して情報を漏洩しないと契約を結んで頂かないと、事業の説明ができない事になっています。


そして阿部さんが「未来型サービス」を利用したい!と希望があれば、さらに細かい規定を説明し、厚労省の認可を頂く必要もあります。

如何でしょうか?それでも説明を聞かれますか?」


「未来型サービスですか?

まるで夢のようなお話ですね・・

でもとても関心があるので、是非、説明をお願いします!!」

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