コロナの悲劇

第9話 「未来型サービス」

その頃

担当CM（ケアマネ）佐竹は

霞が関ケアプランセンターに到着し

所長の小柴とコロナ感染症の疑いが生じている

阿部さんの奥さんの案件と

今後の阿部さんの対応について検討していた

「小柴所長！

阿部さんは、以前より

施設入所や入院は　絶対に嫌だ！

と言われていました

本当は、今回体験利用されている丸亀デイですら

かなり拒否されており、奥様と説得を続け

何とか利用して頂いたような状況なのです・・

今から丸亀デイに向かい

阿部さんと相談する予定ですが

在宅サービス中心の方向で

提案をしようと思いますが

奥様がコロナ感染症の濃厚接触者の疑いがある以上

しばらくホテルで待機になると思われます・・・

そこで所長に

折り入って相談があります！

「例の未来型サービスの件かい？」

「そうです！以前より

厚労省と当ケアプランセンターで

未来型サービスプランを想定し

密かに　準備がなされてきた

『特別措置プラン』でのサービス提供を　

今回コロナ感染症の状況下でこそ

試験運用する絶好の機会だと思うのです！

貴重な症例になると思うのですが

承認して頂けないでしょうか？」

「そうだな・・

ただ厚労省の在宅福祉局長の承認を得る必要がある！」

「佐竹さんは

どこまで未来型サービスを知っているかね？」

「先日、ガイドラインは見せて頂きました

介護保険サービスは

2000年からスタートし、20年が経過しています。

介護保険サービスを提供する為には

介護保険法に基づく介護サービス事業者として

行政の指定を受ける事が必須であり、

国が定めた初任者研修や介護福祉士等の資格が必須

基準緩和型訪問サービスもありますが

要介護利用者は資格要件が求められる

介護度に応じて、利用できるサービス等があり、

ルールは多々存在し、権限移譲で

市区町村の裁量に任せられている部分もある。

しかし福祉の仕事は重労働で低賃金であり

福祉の仕事の担い手が少なく、

高齢化も深刻な状況であり、

人材不足はさらに深刻な状況になっていくでしょう。

しかし資格があるのに、どこの事業所にも所属していない

人材難民が多数おり、介護サービス事業所からの人材派遣が

これまで当然あるべきルールとして認識されてきましたが

未来型サービスでは

東京都千代田区を限定とし

試験的に　半年前よりスタートさせ

現在、有資格者の登録者が5000人に到達しています

事業所からのヘルパーや訪問看護の派遣ではなく

個人での登録であり、

初期登録では資格別に分類され

人材派遣まで、幾つかの工程を通る必要がある

① 合同研修会の参加（介護保険制度・人権・感染症・虐待・介護技術等）（3日間）

② 10人単位のグループ研修　（個別派遣の契約・登録内容・実技）（3日間）

③ デモ派遣研修（8日間）

デモ派遣研修では、地域の老人センターやデ介護保険施設等に

有償ボランティアとして派遣され、評価ランクを定められる。

大きく3つの評価ランク（自己評価、他者評価、外部評価）があり

言葉遣いや、社会性、人間性、介護力、適応能力、順応性等２０の評価項目に基づいて評価を行う。

5000人の登録者には個別にID登録をし

これから、未来型派遣サービス員・通称　M（未来）派遣員として現場へ派遣される事になる

今回、阿部さんが、Ｍ派遣を利用する場合

まず個人情報同意書にスマホアプリでサインをし

賃金支払いの為のマイナンバー登録をし

口座情報を紐づけの入力をする。

登録が完了して初めて、個人の基本情報、主治医より既往歴

どのようなサービスが必要かを動画で説明し

実際の援助内容の様子を目視で確認ができる。

そして実際の援助を行う前に、本人と面会をおこない、自己紹介を行う。

それから利用方法がとても画期的な内容なので

今から丸亀デイに伺い、ご本人に詳しく説明させて頂きます。

小柴所長は、申し訳ないですが

それまでに「未来型サービス」の承認を

宜しくお願い致します」

「承知した！

30分でスピード決裁をとるつもりなので

佐竹さんの携帯に連絡させて貰うよ！」

「ありがとうございます！」