第8話 夫の反応

その頃

丸亀デイサービスで体験利用している

阿部さんの元、妻よりメールが届いていた


その瞬間、阿部さんは固まり

表情が暗く、うつむき加減になっており

少し困惑している様子が見てとれた


「阿部さん!どうしましたか?

お気分が優れないのですか?」



「いえ・・・大丈夫です・・・

家内から連絡が入り 家内が霞が関総合病院に

受診に行き、手首の骨折が判明し・・

治療自体は無事に 終わったのですが・・・


実は、病院内でコロナ感染症のクラスターが発生したようなのです!」


「えっ?何ですって!?

それは大変じゃないですか?


奥様は大丈夫なのですが・・


病院内で多くの感染者と濃厚接触者がおられるようで

家内は感染したかどうか?まだ分かりません・・

ただ濃厚接触者である事は間違いなく。。


しばらくホテルで待機し

他者との接触しないように

過ごさなくてはなりません!


つまり妻は、私の介護を

当面できない・・・という事です


すいませんが

管理者の方を呼んで頂けますか?」


「分かりました!すぐに呼んで参ります!」

デイの職員が事務所に走っていった


「阿部さん

所長の山本です

奥様、大変な事になりましたね・・・

ご心痛お察し致します


今、担当ケアマネの佐竹さんにも

連絡を入れているのですが

奥様の病院に向かわれたようで


当センターに来て頂けるように

伝言はお願いしていますから

昼過ぎには お越し頂けると思います」」



「そうですか・・・

ありがとうございます


所長さん

私の今日の帰宅予定時間は

何時頃になりますか?」


「15時頃を予定していますが・・

お送りするタイミングは ケアマネさんが

来所されてから 相談させていただきます」


「所長さん!

私を予定通り 家に送ってください!」


「いや・・でも

奥様は しばらく家に戻れないのですよ!」


「分かっています!

私は 人の介護を受けないと

生活ができない障がいを持つ人間です


でも私は 家に戻りたい!

病院や施設に入居はしたくないのです!


食べる事は 自分で電話をして

配達をお願いする事も、受け取る事もできます


ただ排泄介助や入浴

ベットへの移乗介助はヘルパーさんに

助けてもらわないと 自分ではできない事なので


デイサービスから戻ってきてから

ヘルパーさんに来てもらいたい!


あと日中は もし空きがあれば

明日も 丸亀デイを利用させて貰えませんか?」


「そこまでお考えなんですね・・

分かりました!丸亀デイとしては

ご利用の希望がある曜日は

全て対応させて頂きます!


ただ夜間帯が 心配ではないですか?

奥様はおられないのですから・・


分かっています・・万が一

緊急事態が発生した時は救急車を呼びますし


弟夫婦が近くに住んでいるので

SOSしようと思います!」


「阿部さんは

ショートステイの利用は

気が進まないですか?」


「ショートステイだけは絶対に嫌なのです!

過去に嫌な経験があるし

私は基本 周りの人に

自分が障がい者であると・・憐みの目で見られるのが

苦痛で仕方がないのです。。」


「分かりました!

とにかくデイサービスはご利用頂けるご意思を

示して頂けたので 我々は精一杯

ご支援させていただきます!


今後の事は 担当CMの佐竹さんが

来られてから 相談させていただきます!」


「分かりました!

宜しくお願い致します!」

阿部さんは深々と頭を下げた


「阿部さん!

お食事の準備ができましたので

お召し上がりください!」


「ありがとうございます!

頂きます!」

 

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