第4話 関係性の回復
ピンポン 佐竹はベルを鳴らした
阿部さん宅の玄関には
霞が関ケアプランセンター所長の小柴が待っていた
「所長!
わざわざお越し頂き
ありがとうございます!」
「いや!当然の事だよ
今回、コロナ感染が蔓延している中で
事業所の責任者として
伝達が不十分だった事をお詫びし
霞が関ケアプランセンターは
感染症予防について万全である事を
きちんと説明をさせて頂くつもりだ!
そして今回奥様の骨折の状況把握と
今後の対応について
佐竹の後方支援をさせてもらうよ!」
「所長!
ありがとうございます」
「奥様!
佐竹です!弟嫁様と
来させて頂きました。
感染症予防対策についても
当事業のセンター長から説明させて頂きます!
「あなた!
佐竹さんが 早苗さん(弟嫁)と
センター長さんが 来られたわよ!
感染症対策の説明と今後の相談について
大事な話をしたいから
入って貰っていいかしら!」
「分かった!
入ってもらってくれ!」
「初めまして
わたくし 佐竹の上司で 小柴と申します
今回は、当事業所の不手際があり
ご心配をおかけし 申し訳ございませんでした。」
小柴所長は深く 頭を下げると
コロナウイルス感染症対策に書かれた 文章を
阿部さんに 手渡した。
阿部さんは しばらく文章を黙読すると
深く頷き 笑顔を見せてくれた
「佐竹さん 私はあなたを信頼します!
コロナ対策は十分であり 安心しました
私自身 妻のトラブルで 正直混乱しています
妻がすぐに病院に行くべきなのは分かってはいますが
私は 妻がいないと 正直困るのです!
佐竹さんもご存じのとおり 私は半身不随です
ひとりでは 何もできないのです
一番心配なのは 排泄の介助です
食べる事は 車椅子を自走すれば
自分で冷蔵庫をあけたり
レンジで温めたりはできますが
車椅子からベットやトイレの便座に移乗する事も
できませんし、助けてもらわないと
何一つできないのです!
施設に入れば ヘルパーさんや看護師さんが
助けてくれるのは 分かっています
でも過去に嫌な 思い出があり
私は 正直 施設は嫌いです!家にいたい!
こんな我儘な 私ですが・・どうか助けて貰えますか?
それに早苗さんも・・・
わざわざ 来てもらって
すまなかった・・・本当にありがとう!
早苗さんや 弟にも迷惑をかける事になると思うが
どうか よろしく頼みます!
阿部さんは 深々と頭を下げた
佐竹は とても驚いた
これまで 無口でほとんど話す事がなく
全てを妻任せで 佐竹が話かけても
頷くだけで ほとんど自己主張少なかったが
これだけ腰を低くされていたら
私の提案に耳を傾けて 頂ける筈だ!
それに 弟嫁の早苗さんが
先ほどまで 緊張して 表情が硬かったが
阿部さんの言葉を聞いて 安心されている様子
今回を機に関係性も回復できそうだ!
「良かった!
これで 話が前に進みそうだ!
とにかく 奥様の受診を第一優先に
デイサービスの体験利用の話をしよう!
佐竹は深く 安堵するのであった
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