第2話  コロナ感染を恐れる・・

佐竹が 阿部さんの家に到着した時

家の中は 荷物が散乱し 僅かな異臭と

妻の泣き叫ぶ声が 聞こえてきた・・・


「私は、こんなに体調が優れず、痛みがある中

一生懸命介護しているのに

どうして分かってくれないの!?」


ふたりは口論をしており

ベルの音も聞こえていないようだったので

玄関を少し開けて大声で叫んだ!


「おはようございます!佐竹です!」

繰り返し叫んでいると 

やっと気づいてもらえた


「佐竹さん・・やっと来てくれた

急にお呼びして ごめんなさいね・・」


奥さんが、佐竹を呼びに行こうとすると

ご主人の静止が入った


「待って!!!!」

阿部さんの 大声が聞こえた


「あなた!ケアマネの佐竹さんよ

私が電話で 来てもらうように

お願いしたのよ!」


「それは分かっている!

でもコロナが・・コロナ感染が心配なのだ!

この近辺も感染者が出ていると聞くし・・

ケアマネさんは、いろいろな家を訪問し

どこで感染するか分からない ご時世だ!


ケアマネさんから感染するかも?と思うと・・

私はとても心配なのだ!!」


佐竹は、阿部さんの主張を聞き、唖然とした。。

そして家に中に入る事を 躊躇した


コロナ感染症が流行だし、2か月経過し 

(今日は4月9日)

世間的に、感染症予防対策を

徹底し始めたばかりである


霞が関ケアプランセンターにおいては

手洗い、うがい、マスク着用

出勤前の検温等は心がけているが・・

事業所で行っている『感染予防対策の文章』を

出す準備を進めていたが配布前であった


「そうだ・・・阿部さんには 

まだ伝わっていない・・」


佐竹は、信頼感を得られる情報を

伝えられていない事を悔やみんだ


今は緊急事態なので

すぐにでも居室に入り

奥様の安否を尋ね 今後の方向性を

相談したいところだが

「阿部さんに不安を与えてはいけない!」

と逸る気持ちを抑え

玄関先で話をすべき!であると判断した


「奥様 今コロナ流行の時期ですし

玄関先でお話しをさせてください!

お電話で 転倒して、身動きが取れないと

おっしゃっていましたが・・

ご様子はどうですか?」


佐竹が 阿部さんの奥さんの具合を確認すると

右手首が酷く腫れており 

明らかに骨折の疑いがあった


「奥様!すぐに受診した方が良いと思います!

私がタクシーを手配しますので

すぐに霞が関総合病院に受診をし

検査を受けてください!」


「でも・・夫を置いてはいけなません・・

実は昨日の晩に転倒してから

夫の着替えや、オムツ交換、食事準備等全て不十分で・・家の中がごちゃごちゃしているのです!」


「ご親戚の方とか

近隣で助けてくださる

ご友人はおられませんか?」


「実は・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る