楽しく拝読させていただきました。
主人公の語り口が、孤独を抱えた静かなものなんですが、
随所に奏さんの会話が入ることで感情が動いて、寄り添うように読むことができました。
周りに合わせてしまうという主人公ですが、基本的に優しいのですよね。
そういうのが言葉の端々に出ていてとても良い読み口だったのです。
特に「しかし言葉というのはひとつずつ紐で繋がっているものだ」という表現と、この言葉を発した心情描写が良いなあと思いました。
また、奏さんのキャラクターがとても気持ち良いですね。
子供と言い切ることのできない、とても真摯な眼差しでの言葉は胸をうちました。
「もう平気? まだ笑っとく?」
このあたりは何度でも読み返したい。
とても素晴らしい読書体験でした。
ありがとうございました。
作者からの返信
お越しくださり、ありがとうございます。
共感性がなく、まるで自分を冷たい人物のように感じている主人公。しかし自覚のない優しさが確かにあって、揺り動かされる心がきちんとあって。そういう彼の人間性を温かく汲み取って頂けて嬉しく思いました。
「言葉というのは~」のくだりは、一度口から出れば取り消せないというアウトプットの難しさを普段から感じていたことで生まれた表現なのです。なので藤咲としても思い入れがあります。
彼女のキャラクター性へはたいへん慎重に挑みました。
無邪気な子供だからこそ言えて、でも無邪気なだけじゃ足りない。主人公にとって今どんな存在が必要か悩みながら描きました。
丁寧に読んで頂けて、また具体的に心に残る場面を挙げて頂けて、とてもありがたい気持ちです。
ご感想をありがとうございました!
はじめまして。ブレイズアワードから参りました、篤永ぎゃ丸と申します。最優秀作品に選ばれたとの事で、早速読ませて頂きました。
web小説の仕様上、どんな作品も自分は横書きで読み進めるのですが、こちらは是非縦読みで読みたい雰囲気が最初からあったので、初めて機能を使ってしまいました。
読み進めていてふと思い出したのですが、52Hzの鯨を題材にした海洋ファンタジーの絵本が児童文学界には存在します。向こうは言葉が通じず、孤独に沈む少年が描かれていましたが、この作品も、孤独な鯨に投影する少年でワクワクしました。渡り鳥さんと興味津々で絡むお嬢さんも、素敵なキャラクター造形です。そこから辿り着く、孤独をまっさらに溶かすオチがとても綺麗でした。
今回のブレイズアワード優秀作品に選ばれた各作品を拝読しましたが、『純文学』、『独自の文体手法』そして当方は『児童文学』と、それぞれの文芸を追求したような面白い並びになっています。
選出において、自分の作品とは接戦だったとの事ですが、これは最優秀作品にのし上がるのに納得の作品でした、完敗です。この度はノミネート及び最優秀作品おめでとう御座いました!
※一応、誤字?報告です。
2ページ目、後半の台詞「ならいい加減[いつもように]呼んでください。俺は、あなたに名前を呼ばれたい」
この部分、『いつものように』と思いますが、あえてでしたらすみません……。
作者からの返信
篤永さん、はじめまして。
ブレイズアワードからお越しくださりありがとうございます。最優秀作品、嬉しくて小躍りしております。
Webらしくないかなとは思いつつ、いつも縦書き(=個人で作成してる文庫本)を意識して書いているので、なんだか嬉しいお言葉です。
“52Hzの鯨”は三題小説である本作におけるお題の1つであり、最も頭を抱えたテーマでした。どの角度からどう扱ったらいいか、自分は彼をどう感じるのか、何度も何度も考えたり。それに伴って、本編に出る以上の人物像も掘り下げて練ったものです。
とにかく丁寧に向き合おうと必死だった作品なので、ストーリーやキャラクターに「ワクワク」したり「素敵」と感じて頂けたこと、本当に本当に、嬉しい気持ちになりました。
最優秀作品として認めて頂き、恐縮です。今後もこれに恥じないよう、創作を続けていきたいです。ありがとうございました!
そして誤字報告助かります~……!
あれほど読み返したのに見落とすものですね……さっそく修正して参りました!
編集済
「ストイックな作家の集い」企画への参加ありがとうございます。
以前別の企画で別の作品を拝見し、藤咲様の文体の丁寧さに惹かれておりました。なので今作も楽しみに読ませていただきました。
とても心暖まるお話ですね。短い話の中に青年の抱える疎外感や閉塞感、生きづらさなどが詰まっていて、共感しながら読み進めました。
周りと同じように振る舞えないと、自分が間違っているか、あるいは一人だけ取り残されているように感じますよね。
でも、違いがあるからこそその人独自の魅力が生まれ、そこに惹かれる人もいるのだと思います。奏さんが鯨さんに惹かれたように。
違いを認めた上でありのままのその人を愛してくれる、奏さんのような人が増えるといいなと思いました。
心に残る作品をありがとうございました。
作者からの返信
企画立案、並びにお越しくださりありがとうございます。
参加者数もかなり多い中読んで頂けて光栄です。また、作者としても覚えていてもらえたとのこと、たいへん嬉しく思います。
「違いがあるからこその独自の魅力」、素敵な表現だなと感じました。それがあったからこそ、周りにな馴染めずとも、奏と心を通わせられたのだなと改めて振り返ることが出来ました。
本当に、まずは自分から奏のように在りたいと思いますね。頑張らねば。
共感して頂けたこと、心に残ると言って頂けたこと。書き手として大きな励みになります。
ご感想をありがとうございました!
こんばんは、ジャンル不問の読み合い企画へのご参加ありがとうございます。
とても心が温まる、心地の良いお話でした。
自身を52ヘルツの鯨に例え、孤独感を抱いていた渡り鳥さんに、子供らしい柔軟さで回答してみせたお嬢さん。どこにでも、こういう救いがあってほしいって思ってしまいますね。
前話の下記文章がとても主人公らしくて好きでした!
『あの鯨は、初めて自身が周りと違うと知った時どう感じたんだろうか。俺と同じで悟られないよう擬態したんだろうか。』
作者からの返信
二作ともお読み頂き、また丁寧にコメントしてくださり、ありがとうございます。
二人の年齢が離れている分、それぞれに明確な「年頃らしさ」を持っていてほしくて何度も頭を悩ませました。
主人公の“救われた”と感じた気持ちが伝わって良かったです。
好きな一文を挙げてくださったこともそうですが、何より「主人公らしい」と感じる基準、人物像を捉えて頂けたのだなと嬉しくなりました。
本当にありがとうございました。
題材や文体の為もあるかもしれませんが、作品の中に流れる時間がゆったりと心地好く感じました。
52Hzでも、ちゃんと聴いてくれる人がいましたね。前話の『もう平気? まだ笑っとく?』というセリフが特に好きです。
素敵な作品ありがとうございます。
作者からの返信
心地良さを感じていただけて嬉しいです。
52Hzというお題があまりに扱いにくく最初は困り果てていましたが、鯨について調べて感じたものや自身の気持ちを織り込むうちに、優しいお話になりました。
彼の声を聴いて、認めてくれる存在。ずっと大切にしてほしいですね。
俺もその場面が好きです。少し力が抜ける感じ。
こちらこそ、ご感想本当にありがとうございました。
編集済
こんにちは。自主企画「自作小説の成分チャートを作成しあいませんか?(診断するだけの参加も大歓迎)Ⅳ」から来ました。以下、完全に私の主観で評価させて頂きます。
・ライトノベル ☆☆☆★☆ 一般文芸
・文学的要素 あり ☆★☆☆☆ なし
・エンタメ性 あり ☆☆☆★☆ なし
・男性向け ☆☆★☆☆ 女性向け
・キャラクター ☆★☆☆☆ ストーリー
という感じです。
1話目の寂しくも暖かいお話から、最後には心地良い暖かさが残る作品だな、と思いました。この2人の距離感や会話のテンポ感といい、読みやすさもありつつしっかりと余韻が残る感じもあって絶妙だな、と。控えめに言ってかなり気に入りました。
以上、思うがままに書かせて頂きました。
作者からの返信
成分評価、そして感想やレビューと盛りだくさんで小躍りするほど喜んでおります。
青年と少女、RURIさんがそれぞれに優しく耳と心を傾けてくださったことが伝わってきました。
二人の関係は慎重に、丁寧に推敲して完成させたものなので、そこに重きを置いて頂けて嬉しいです。
本当にありがとうございます。
せっかくなので小ネタをひとつ。
青年の名は、実は律(りつ)といいます。
旋律の“律”として名付けました。
奏さんと相性のいい名前です。
作品情報を見た時、寂しい話なのかなと思ったら、じんわりと心温まる話でした。
正直、『鯨の歌が聴こえる』だけでもいいなというくらい、一話が好きです。
主人公の寂しさ、孤独に、事情も知らないのにすっと入り込む少女。
言葉の掛け合いは軽いのに、裏側に抱えているものが少し垣間見える感じがいいなと思いました。
作者からの返信
二人の関係性や会話の軽さ、全貌は見えない重み。
どうすれば伝わるか、どうすれば描けるか、練りつ悩みつ書いた大事な箇所を丁寧に感じ取って頂けて嬉しいです。
実を言うと2話は1話で拾いきれなかった「アルバム」というお題の為にあったので、付け足し感が否めなかったかもしれません。やはりバレてしまいますね。
好きだと言って頂けたことが純粋に嬉しく、感動しました。
ありがとうございました!
穏やかに流れるようでありながら歯切れのよさも併せ持つ文章が心地好かったですね。独り語り(一人称)の文章はどちらかというと苦手なのですが、本作のそれは全くといっていいほど気にならず、巧さが光っているように思いました。
三題小説において、テーマ性をとやかくいうのは本筋でないかもしれませんが、「共感できない」ということに焦点を当てられたのは、個人的には好印象でした。
(「共感」という言葉の本義が誤解されがち、という点はひとまず置くとして)
昨今の風潮から「共感しなければならない」という強迫観念に苛まれている方はそれなりにいらっしゃるでしょうし、本作がそういう方にとっての癒やしとなることを願っております。ありがとうございました。
作者からの返信
文章そのものを褒めて頂き、たいへん嬉しいです。苦手さを感じなかったというのはすごいことだと思いました。
この特殊な鯨について調べた際、個体の特性と主人公の性格を比べ、重ね、イメージしたのが共感性でした。それをネガティブにとらえるのが主人公、ポジティブにとらえるのが奏。そして否定や矯正でなく、自分自身や他人を「そのまま受け止める」様が描きたいと考えました。
良い印象をもってもらえて何よりです。
苛まれている方の癒し、本当にそうなってくれればいいなと感じます。
ご感想をありがとうございました。