第6話 猫は時々 牙をむく

約束通り 荒野に着くと

少年はナイフ片手に 立っており そこには魔法で封じられたリベルの姿があった


『 なんで冒険者たちを襲うんだ!』


姿見えぬ 闇の中 少年の薄ら笑う声が

響き渡っていた


『 僕は猫狐族のテオ 強い仲間を探しているんだ 自分を超える力を 』


《 換装 》

そう言うと

テオは 手持ちの小型ナイフを 上に放り投げ 巨大な鎌へと変化させて見せた


『 だから ゲームをしよう。』

僕の全力の一撃を君が受け止めることが出来たら 君の勝ち 出来なかったらそのまま

2人とも死ぬだけの簡単なゲームさ。 』


テオの狐の仮面からは なんだか

悲しい雰囲気が感じられた


『 まずは小手調べかな!! 』


霧が舞い 視界は闇に覆われる中

無作法に風の刃が飛んでくる


『 シン様 逃げて!!! 』


遠い 霧の奥から鳴り響く リベルの声

視界の撹乱 見えない攻撃、乱撃による 出血


『 自分には力が無い

信じてくれる1人の仲間の命さえ守れない 』


自分自身に絶望し 死を確信していた


『 力が欲しい。 』

そう自分に念じ シンはティナに貰った

ペンダントを握りしめた


するとその時

1つの謎の声が聞こえた


『 感じ...ろ 』

声は途切れ途切れだが より鮮明になっていく


『 見えない剣をなぞるように 』


『 怒りではなく嫉妬ではなく

清く静かに 燃え盛るような《 憤怒 》を 』


その瞬間 シンはゆっくりと目を瞑った


『 あれぇ?お兄さん

もう諦めちゃったのかな つまんないの〜⭐

ハズレか。 』


鋭い 風の刃を前に

シンは 感じていた あの時と同じ感覚を

血を巡らせ 全身を集中させるあの感覚を


『 守りたいじゃない・・・・・・ 』


《 守るべきもののために!! 》


シンは 静かに 前に両腕を突き出し

空中にある 見えない剣の 鞘をなぞるように動かした


すると シンを包み込むように

眩い光が放ち シンの手には鞘に入った

1本の大剣が姿を現し、過ぎる風を切り裂いた


『 君..やるね。 』

死曲デスサイズ 暴龍の繭


テオは 手持ちの 巨大な鎌を振り 龍をも切り裂くほどの大きな竜巻を生み出した


『 最後に聞いておくよ。君、名前は? 』


辺りからは 霧は消え、シンは直感していた

この攻撃を受けたら死ぬ

鳥肌をあげ 身体全体がそう 告げているかのように


『 冒険者シン ただの冒険者だ 』


大気が揺れ動くような プレッシャーの中


シンの額に紋章が浮かび上がり、

シンは天を切り裂くように 大剣を大きく振った


《 一刀両断 》極斬り


先程のテオの攻撃に似た

魔法を切り裂く 飛ぶ刃


『 そんな 細い刃で 竜巻が切れるわけ..⭐』

テオは余裕を笑みを浮かべ

空中を高らかに舞い


シンの斬撃は

竜巻を飲み込むように 切り裂いた


『 ・・・・・・・・・ 』


すると 竜巻が消えたと同時に

リベルは解放され、そこには

狐の仮面だけが 落ちていた


『 なんだったんだ.. 』


疲れと 開放感で腰を抜かし

地面にくずれ落ちるシンを見て


リベルは 少し笑みを見せながら

膝をおり シンの手を優しく握った__

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魔法重視の世界で俺だけ剣士 〜 最弱から最強へ 〜 伊吹とろろ @tororo_ibuki

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