第5話 辻斬り魔

『 こっちですか?シン様! 』

『 違う!こっちだ!』


『 ガラガラガラガラ 』


古書が崩れ落ちると共に

大量の埃が家の中を占領していた


ベリオ討伐から 3日後

リベルと 時間を共に過ごしわかったことがある

超 《 おっちょこちょい 》


『 すいません..私昔から.. 』


元 王族としての気品を守るため

今までは周り隠していたらしい


『 家の片付けはもういい!

クエストに行くぞ! 』


『 はい! 』

会った時とは違う リベルの清々しいほどの

笑顔を見て、少しシンは落ち着いていた


シンの家を出て 少し歩いていると

辺りから騒ぎ声が聞こえた

『 どうしたんですか?』


町の人に話しかけると 皆同じことを

口にしていた


『 冒険者狩り 』


話を聞いた2人は

町の中心部リゴスタ 近くにある

医療所を行くことにした


医療所に着くと 多くの怪我人が

ベッドに横たわっており 近づいてみると

全員 切り裂かれたような傷跡が見え

ある1人の男がシンの腕を強く握り言った

『 辻斬り魔に気をつけろ』と


冒険者狩りが起きているのは

シン達のいる《 センタルシア 》から

南に渡った場所にある 『 鳴き龍の祠 』という場所であり

その場所には 先人が授かった神秘の宝が眠るとも言われているらしい


『 その宝を求めた多くの冒険者がってことか.. 』


『 先人からの神秘の宝、 もしかしてオーブ

のことじゃ..? 』

『 そんじゃ行くか 』


シンは オーブ集めのためと言っていたが

リベルは知っていた 冒険者狩りによって

傷つけられた悲しみや悔しさをシンは人一倍

見ていたことを


後日 準備を済ませ

センタルシア南の鳴き龍の祠へ向かい

入口についた2人の前には 矢印と共に

1つの看板が置いてあった


『 宝、こっちです 』

『 ・・・・・・ こんな 馬鹿馬鹿しいわかりやすい作戦引っかるわけ 、』


『 いや..逆に。 』

私 こういうの得意なんです。


謎のドヤ顔を見せた

リベルの意向もあり 2人は矢印の先へと

足を進めた

すると その先には真っ暗闇が広がっており

足元には 魔法陣共に光る文字が見えた


『 ハズレ 』


『 はぁ... 』

シンは 1度 そっぽを向くリベルの方を振り返り 呆れたように言葉1つも発しなかった


《 ワープトラップ 転送 》


魔法陣は光を放ち 2人を包み

ある場所へと転送させ、そこには狐の仮面を付けた 背の小さな1人の少年が立っていた


『 100人目か。おめでとう 』

風創成魔法 疾風の揺りかご


少年は 突如として魔法を放ち

リベルを封じ込めた


『 いきなり何すんだ!! 』

『 大丈夫。真空に閉じ込めただけさ 』


風で 無防備のリベルを操り

少年は シンに1つの提案をした

『 僕と賭けをしよう 』


すると 少年は突如として

風を蹴るように 上空を舞った


『 今日の夜 町外れのナビス荒野で君を待つ』


『 待ちやがれ!! 』

シンは 強く念じたが ベリオを貫いた

あの剣は姿を見せることは無かった


そして 少年は シンの言葉を聞くこともなく

風と共に祠から姿を消した


《 町外れ ナビス荒野 》

為す術もない シンは少年の言葉を信じ、

祠を後にし 約束の時まで 身を潜めることにした

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