失敗と、失敗と。失敗と…

@sr4

第1話 剣道部より

高校生活3年最後のインターハイがコロナによって無くなり体重が60の大台に乗ろうとしていた時、剣道部としての最後のミーティングがあった。同期の皆がそれぞれ話を終えついに僕の番となってしまい、かねてから考えていた事を発表する。

「僕は誰よりもこれだけは一番だと思う事があります……それは失敗した数です。同期の人やったら分かるやろうけど僕は誰よりも失敗してきました。」

僕の失敗した数は人一倍で、しかも一年からやらかしてしまっていたのだ。


一つ目の失敗は一年生で最初の遠征である。寝坊しないように目指しを6時にセットしすぐにお布団に入った。

次に目を覚ました時スッキリとした目覚めと7時10分を告げる置き時計………………??

「……?………!えっ…うそ、えっ!」

急いで飛び起き高校に入って新たに買ってもらったスマホを確認、100を超える件数のライン、鳴り響く電話の音、冴えない頭を必死に回転させ状況の打開策を探る、気持ちは焦るばかりで状況は改善のみられないまま時間が経っていった。結局その後、部活の顧問に電話をして実費で会場まで行くという散々な結果になった。


二つ目の失敗は一回目のすぐ次に起こった。

ある高校に練習試合に行く予定があり、前回の失敗を活かす為にM高校の場所を確認し、アラームを2回3回とセット、前回より早く寝る事により集合時間の30分前に着くことが出来たのであった!

その日は雨が降っておりとても寒く剣道をするのに適しているとは決して言えない日であった。30分早く着いたので剣道部の皆を待っている間に目的の高校であるかを確認しに校門まで行き学校名を見てみる。

「……M国際高校って書いてあるけど大丈夫かこれ?」

先生にはM高校と言われており国際は付いていなかったはずだが前日にグーグルマップにてしっかりと道順を調べたので大丈夫なはず。

「大丈夫やと思うけど、本当に大丈夫か?」

大丈夫なら時間になると皆が来るはず…、

五分、十分……十五分………ニ十分…………

「あれっおかしいな、いつもやったら皆集合してる時間やけど」

この時、不幸にもスマホを家に忘れてしまっており確認方法も連絡手段もない状況。切羽詰まっていた僕はM国際高校の人をつかまえ

「すいません、ここってM高校とは別の高校ですか?」

と尋ねるてみたところ

「はい、M国際高校はM高校とは別で真逆の位置にありますよ。」

……焦る気持ちを抑えお礼を言い急いで駅に入り公衆電話に十円を投入し家に電話を掛けようとするが何度やっても掛からない。

「うそやろ、なんで掛からへんねん。」

2回3回と掛けようとするが十円玉が何度も何度も返ってくる。時間は既に集合一分前に差し迫っており公衆電話から離れ電車に飛び乗る。今から帰っても間に合う訳でもなく連絡も出来ないので諦めかけたその時、ある考えを思いつく。

乗った電車の扉の近くにいたおじさんがスマホを使用していたのでその人に近づき

「すいません、今家にスマホを忘れていて急用があるのですが電話を一本掛けさせて貰えませんか?」

と、緊急事態による焦りからかスラスラと言葉が出ておじさんから電話を借りる事が出来た。すぐさま家に電話を掛け出てきた母に

「母さん、なんか場所が違ってスマホも家に置いてるから部活の人に熱が出たって言っといて、お願い」

と、まくし立て電話を切りおじさんにお礼を言ってその場は収まった。後日気付いたのだが公衆電話が繋がら無かったのは番号の打ち間違いと一つ前の電話番号を必死に入れていたからだ。


三つ目の失敗は二つ目の1週間後に起こった。

今回は県外の遠征に行くため前日に練習をした後ホテルで一日泊まり、翌日から練習試合という事になっていた。

午前中に練習を終え、支度をしたあとに皆でホテルに行くので出来るだけ早く準備し、バスに乗り込む必要があったので部員と話をしながらも急いで準備しバスに乗り込む。

ホテルは二人一組になっており、同僚のTと一緒に泊まる事になり、その晩は何事もなく過ごした。

翌日、会場に入った後にスムーズに練習をするために道着と袴に着換えてからホテルを出る事になったのだが…

「あれ、え?……は、袴がない…」

練習を終えたあとにしっかりと防具袋に入れてたはずなのだがどこを探してもない。同僚Tに事情を話すと

「いや、忘れたんかよ草www」

………

………

笑ってんじゃねーよ、こっちは今必死になって探してんのになに笑っとんねん。

と、そんな事を考えても時間は過ぎていくのでとりあえず今ある上の道着のみ着て下はそのままでホテルの一階まで降り、そこで剣道部の顧問に笑われ軽く怒らせたあとに急いで会場に行く。先輩方や早く準備を終えた人達は先に会場に行っていたので誰かに借りるとしてもまずは行かないとはじまらない。

会場に着き他学校の人に笑われながらも先輩一人一人に

「袴もう一着もってないですか?」

と、聞いてまわった。

運のいい事に尊敬する先輩Aが

「俺、ホテルにもう一着持ってるから今から走って取ってくるわ」

と言ってくださった時、先輩が神に見えて後光が先輩の方からさしてくるような気持ちにさえなりました。

結局その後先輩Aが走って取って来てくださったおかげで練習試合に参加する事が出来たのであった。

ちなみに、後日剣道部の部室に行くと僕の袴だけがハンガーに掛かっていてめちゃくちゃ同僚と先輩達から笑われた。


「って、いう事がたった一年の間で起こったんですよ。それでこのことから気づいたんですけど、いくら失敗しないようにしても失敗

するのは仕方がないけど、失敗したあとにどうするかで今後の人生変わると思う。僕は失敗した度に次はそうならないようにどうするかを考えて行動をしてきました。だから僕はこの剣道部で副部長をやらせてもらって、そういうふうに行動したのは間違って無いと思いました。皆さんも失敗を活かして日々精進して下さい、これで僕の話を終わります。」


誰にでも間違いはあるが重要なのはそこからどうするか、失敗は自分の中で吸収して行動にうつしていく事の出来る貴重な経験であり、財産である。

失敗しまくった僕が言うのだから間違いではない。

O高校剣道部副部長より…。

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