第15話 【RPG編】ボコスカファンタジー・クエスト - アルテクロスの飛空艇仲間4人、過ぎ去りしRPGの栄光を求めて…… 後編


 てーててってー ててー



【復活の呪文を書いてください……】


 ぼこすかを すくえによんで

 なんだこれ あはは




■プロ中のプロになる!! って毎日言うさ。だから、もっと書けるわいな!!


 んごー。んごごごー。宇宙の法則が乱れる!!


「おいこら! あんな怖いもの召還しやがって、お前ら、許さん!!」

 ラスボスの誰かが、今一度、戻って来た。

 ラスボスとしてのプライドが許せないんでしょうね。


 だからラスボスって誰なのさ?


 命、夢、希望………、どこから来てどこへ行く?

 そんなものは、このわたしが破壊する! ミッシング!!


 F〇4とF〇6が混ざってますね。

 ああ……ラスボス倒すのめんどくせー。そんなこと言わないように。


 気持ちを新たかに!! エロバカ・ルンは青魔法を使った。

「マイティ―〇ード!!」

 それはF〇5ですね。ってさ、どこでラーニングしたの??


「そもそも戦略というのは、守りを固めるところから始めなきゃいけない。守りをしっかりと固めなければ、攻撃すればするほど、自陣にスキができてしまう。だから戦略の基本は、攻めよりも守り。例えばファミコン〇ォーズDSでは、むやみに軽戦車を量産するよりも、タコ戦車一台あるだけで――」

 お前のゲームの経験から、ラーニングかいな!!


「え? ルン、そんなことができたの?」

「うわ、すごーい、ルン君、見直しちゃった」

「ルンさん! すごいスキルですよ、それ!」


 ……なんか、女子軍団に褒められたよ。


 すると、エロバカ・ルン達の守備力が上がった。

 正確には物理的守備力と魔法防御力があがって、さらに空中にも浮けるようになった。

 ――もはや人間技じゃありませんね。


「大天使にへんしーん!!」

 そうですね………。


「さあ、これでラスボスに正々堂々と立ち向かえる! 私達は負けないんだから。大天使なんだからね!!」

 ツンデレ・レイスがリーダーシップを見せて意気込んだ。そしたら、

「ええっ!!」

 と、残りの女子軍団も続いて意気込んだ。

 守備を固めることができたので、妙なハイテンションでラスボスの誰かに対峙している。


「…………ああ」

 と思ったらエロバカ・ルンは、なんだか乗り気じゃない。

 それもそうだね……。


 なんでリーダーがレイスなんだって話――分かるよ。

 飛空艇を操縦できるのは俺なのにね。

 けど、今はラスボスの誰かを倒すことを優先しないと!


 ルンも気分を一新して、

「さあ、みんな行くぞ! このクエストを決して未完に食われるな」

 と言った。わざと言ったでしょ?

「だから、私を食べるなって!」

 しっかり5人目のメンバーとして加わっているミカエル・ミカンさん。

 ……まあ、これだけ個性的なキャラクターが揃えば、ラスボスの誰かに堂々と立ち向かえるかな?


 だからさ、ラスボスの誰かって誰なのですか?


「………最近の若いもんは、このようなエッチな本を見て。けしからん!!」

 じいさんのリーダーが言いました。

 ……あんたいたのね? いたのはいいけれど見るのそれ?

「ふぉふぉふぉ」

 話を聞いてない………。





■なつかしいを経験値にして、さらなるレベルアップを目指す!!


 最初は何もない無の世界だった。

 あるとき光と闇ができた。

 すべてはそこから生まれた――


(F〇3エンディング)



 おいこら、エロバカ・ルンよ!

 寝ぼけるなよ! 目を覚ましてくれ!!

 んでもって、現実を見ろよ。


 ほら見ろよ!!


 今日も世界のどこかで、誰かと誰かが戦争している。

 誰かを使うの多いよね?

 なんで世界は、こうも苦しんでいるのだろう。


 そんなのは知りませんって。


 日本だって例外じゃないぞ!

 だから自分にどうしろって?


 それなのに、バラエティー番組や芸能人達は、何事もなかったかのように、笑いで日本を覆い隠している。

 そうは思はないか? 腹が立たないのか? 世界は、こうも苦しんでいるのに。



 はっ!


 エロバカ・ルンは目を覚ました――

 ラスボスの誰かの前で、そのラスボスの誰かが放ったフ〇アの魔法で、気絶していたアルテクロスの飛空艇仲間4人――


 負けちゃダメだ! そんなの、よくないって!!


 あんれ、エロバカ・ルンはキレたのかな?

「もう、こうなったら最後の手段しかない………」

 ああ、ラスボスの誰かに対してですね。

 言っとくけど、フ〇アの魔法ってあまり大したことないよ。


 ――ボタンを押せば風呂がわく、この世界。

 じゃあボタンを押せば、核ミサイルも発射できるよね?

 それに別にボタンじゃなくてもいいか。紐を引っ張ってもいい。

 こういうのを難しい言葉で『論理的必然性が無い』という。


 何の説明だ……


 じゃあ説明しよう!

 昔の人は風呂を沸かすのは大変だった。

 薪を割って、藁をしいて、火打石で火種を付けて、それを藁において、ふーふーして、火種が大きくなったらまた藁をしいて………、そうして風呂を沸かした。

 ジェイ〇ンボーンの映画でやってたけど、ボタンひとつで世界のどこでも停電にすることができて、家庭用パソコンを遠隔操作して……CIAはなんでもできるのだ!


 その理由は、そういうOSを使っているからです。


 だけど、インターネットができるんだから文句言わないように。

 でも、そんなことを繰り返せば人類のフラストレーションはたまり続けて………、結局は紛争の、



 火種に――



「あんた、それが言いたかったんかい!」

「え? そんなことできるの? ルン」

「ルン君、すごーい!! ところで、これってなんていう呪文なの?」

「メガ〇テです」




 ――エンディングの途中ですが、場面変わって、ここは最果ての祠です。

 ぼろっちい教会が、北欧のフィヨルドの断崖に建っていた。

 ネス湖にあるアーカート城みたいです。


 詳しくはネットで検索してください。


「シスター・イレーヌからの有難い言葉ですよ。ルンさん」

「……はい。シスター」

 とうとう、エロバカ・ルンも改心かな?


「ルンさんは、パラレルワールドっていうのを、知っていますよね。……この世界に無限にある人生の選択肢。そのどれを選んでも結局は、自分の人生は自分一人が、この世界で経験してきた出来事でしかない。ルンさんの人生経験は、そういうものなのだったという結論でしか、そう成立しないのです」

 急に真面目な展開ですけど、エンディングですから、どうかご容赦です……。


「ルンさん。ルンさんがこの世界を憂い続けるならば、それは、無限にあるルンさんの世界の選択肢が、無限にネガティブに広がっていくことを意味します。助かる人、助からない人。結局、誰も助けられないのですけれどね」


「ルンさんの選択肢は、結局は、人類も生物も均等に、取捨選択しているだけに過ぎないということに、気が付きませんか? キツい言い方だけれど無駄な努力です。――それを続けていったら、そしたら、ルンさんも、その無限にある選択肢の一つに、まるで地獄から引きずりこもうとするカンダタのように、ルンさんも落っこちて、無限にある宇宙のはざまを、無限にさまよい続けることになってしまいます」


「本当にそれでいいのですか? そうは思いませんか? そう思ってください。――そうまでして、この世界を救う義務がルンさんにあるのでしょうか? いいえ、無いのです。ありません。断言してあげます」

 シスター・イレーヌはこのように長く語り続けた後、目を閉じて両手をぎゅっと握り、そして静かに祈った……。


「わからない。ないかもしれない。でも、自分は決断したから――」

 ルンはそう言うと、シスターに続き目を閉じた。



 何を決断したの?



「おはようルン。もう朝ですよ」

「ルン君。今日は、とても大切な日なんだから」

「ルンさんが、初めてお城に行く日だよ」


 あれ? 君達は誰なの?


「タカダ・アマノ・オリカサです」

 あっさりと答えてくれました。

「まだ、終わってませんよ」

 タカダは言った。

「今日は、ルン君の戴冠式なんだから」

 アマノも言った。

「そう! ルンさんが、あのお城の王様になる日だよ」

 オリカサも同じく。


 城下町は、今日も日常を続けている――


 武器屋の商人は忙しなく仕入れを行っていて、見れば道具屋の商人は、これとこの薬の仕入れが足りていないと、行商人に文句を言っている。

 防具屋の商人は、その行商人と道具屋の会話が終わらないから、いつまでたっても、仕入れが終わらないとグチをこぼしていた。


「さあルン! 戴冠式のためにお城へ向かいましょうか」

 タカダがルンに、窓の外に堂々と見えるお城を指差して言った。


 戴冠式?? 自分が? 何のために?


「何のためにって、選ばれてしまったものは、しょうがないじゃない」

 アマノもお城を指差して言う。

「ルンさんが選ばれたんだから、もっと誇っていいんだからね!」

 オリカサも同じくお城を指差した。



 ――彼女達3人を仲間にして、自分は一緒にお城へ入っていく。


「ねえ、ルン。戴冠式の前に教えておきたいことがあるの」

 タカダがくるっと振り向いて、ルンに言う。続いて、アマノとオリカサも同じく。

「たとえ、これからラスボスの誰かを、倒しに行くことになるんだと思うけれど」

 また誰かだ。

「ラスボスなんて、本当は、この世界にいないんだよ。あえてラスボスというのであれば、それは人知を超えた物理現象、ブラックホールとかなんとか、そういうのがラスボスなんだけどね」

「だから、ルンが倒すべきラスボスなんて、はじめっから、この世界にはいないんだよ」



 ラスボスを倒そうというストーリーになれば、それなりに格好がつくよね――



「だからさ、いないんだよ。はじめから……」

「つまり、ルンさんのラスボスは、どこにもいないんだよ」

「だから、ルン君。もっと自由に生き続けていいんだからね」


 3人が声を揃えて……

「ルンが一番苦手なバブルスライムの毒攻撃。でも、その毒がどうして『毒消し草』で治癒できるのかな? おかしいとは思わない? 道具屋で買えるたった一つの毒消し草で、簡単に治癒できるなんて。世の中にはいろんな毒があるはずなのに、バブルスライムの毒ってHPが少しずつ減っていくだけの毒で、それほど大したことないよね?」


「……だから?」

 と、ルンは尋ねる。

「一番最善の方法はバブルスライムを、バル〇ンみたいに駆除すればいいはず。……なんだけど、誰もそれをしようとはしない。イオ〇ズンでも駆除できるよね? 変な話だけど、事件が起きないとニュースなんて誰も見ない。見てくれないとCM契約も減るし、新聞も〇フーニュースも誰も見てくれない。……ね! ルンだったら分かるはず」

「……………ああ、そうか! バブルスライムと道具屋は仲間なんかい! 宇治川の鵜飼の鵜みたいな生き物なんかい! バブルスライムって。俺、知らずにRPGをプレーしてたけど、なんか、俺って、騙されていたのかな??」


「そうなんだよ!」

 オリカサが大きく頷く。

「うん! そうなんだ!」

 アマノが大きく頷く。

「そういうことを、私達は言いたかったのです!!」

 最後に、タカダが大きく頷く。



「クリアーできないRPGなんてものは、RPGじゃないのです。クリアーできるように設計されているのです。毒を治療できるから、RPGは成立しているのです。地球という星に生きる人類も、そういうものだと言いましょう。ベルリンの壁は壊されるべくして造られ、どこかの国の独裁者は倒されるべくして台頭して、1000年に一度の大災害は聖書の預言を正当化させて……。そういうものです」

 3人が声を揃えて言い、肩の力が抜けて――




 あなたのRPGは面白いですか?

 あなたのエンディングは美しいですか?

 私達は、あなたに出逢えて、とても素晴らしい時間を過ごさせてもらいましたよ。

 ではまた、いつか同じ世界で、同じ時代に生まれましょう――




 いてて………まいったな。まさか穴が空いていたなんて………。


 おまえは選ばれた。だ、誰だ? 誰かいるのか? 

 おまえは希望を持つ者として選ばれたのだ。

 今、世界は闇につつまれようとしている。

 このままでは光が失われ、すべてのバランスがくずれてしまう………



「もうって! ルン。あたしのお尻、ずっと顔面で味わっていたでしょ? ……まあルンのおかげで、私はさ、あの穴から落ちても無傷だったけどね。それはそれで感謝している。けどね! いくらルンが女のお尻好きだからって、そろそろどいてよね!!」

 ツンデレ・レイスが、ツンデレに言っている。


「お前、そこにいたのか?」

「ええ、ここにいたわよ! ルン!! だから、どけろってルンてばっ……、ね!!」


「あの~、ついでに私の胸にさり気無くルンの左腕を添えるのは、私どうなのかな~って」

 テンネン・アリアがソワソワと聞いてきた。


「あの~、ルンさん。穴に落ちる時に、もうこのままじゃっていう思いで、無理矢理、あたしのお尻も触ったでしょ?」

 シスター・イレーヌもゾワゾワと。


「……触っていません」

 ルンはきっぱりと否定した。


 ――だって、君達のお尻を触ったら、セクハラがどうのこうのって絶対にしつこいし。

 それに君達のお尻よりも、ミカエル・ミカンさんの、小みかんのお尻の方がよっぽど……。


 それが、セクハラ発言なんだって。こいつ、こりてないな……。


「だから、あたしを食べるなって!」

 ミカエル・ミカンさんも一緒に穴に落ちたのですね。



「みんな、なんかさ、いそがしいんですね………」


「お、お前のせいじゃい!」(女子軍団、ふたたび集結……)



 お前には運命を共にする仲間がいる。まずは、その者達と出会うのだ。

 その時、私はおまえ達に最後の光を、希望の啓示を与えよう。さあ旅立つのだ………!


 うわっ!? ちょ、ちょっと待ってくれ! まだ聞きたいことが!



 4人が光に包まれていく……




 ――エロバカ・ルンは変化の杖を振りかざした! 無我夢中で。

 無我夢中で、そんな危ないものを振りかざすなって!

 だから、女子軍団が慌てて止めに掛かってきたのであった。


「もうルンって。これ以上はいいってば!」

「うりゃー!! うりゃー!!」

 しかし、エロバカ・ルンは女子軍団のアドバイスを無視して、それでも変化の杖を振り続けた。


 ………で、どうなったのかな?



【ルン。私達は必ず、ルンと一緒に行くからね!!】

【ツンデレ・レイス? それって、どういう意味?】



「――心配しなくても。俺達はずっと一緒だ。これからも!! ずっとな!!!!!」


「そうね!」

「うん!!」

「ええ!!」





 ボコスカファンタジー・クエスト

 アルテクロスの飛空艇仲間4人、過ぎ去りしRPGの栄光を求めて……


 そして伝説へ……?




 冒険って、けっこう面倒臭くて忙しいよ。

 あなたはなぜ冒険をするの? そこにクエストがあるからです。


 てってけてって、てって~。 (だから、何ってばさ!!)


 ルン達はレベルが上がった。

 ルンはミナ〇インの呪文を覚えた。ツンデレ・レイスはフバー〇の呪文を覚えた。テンネン・アリアはドラ〇ラムの呪文を覚えた。シスター・イレーヌはベホ〇ズンの呪文を覚えた。


 ラスボスの誰かは宝箱を落としていった。

 ルン達はその宝箱を開けた。



 ででっ!



 しかし、鍵が掛かっている……。

「あっ、思い出した!」

 ルンは道具袋から最後のカギを取り出して、そのカギで宝箱を開けてみた。


 ガチャ!!


 なんと、宝箱が開いた!!

 ルン達は、一瞬お互いを見合って、それから、宝箱の中に何が入っているのかワクワクしながら覗き込んだ。

 んで、何が入っていたと思う? それはね……




 なんと、クリスタルソードが!

 ここは【聖剣エクスカリバー】じゃないんだね……





■結局、げんじつの旅を行きましょうか!!


「あの……担当さん? っていうわけで、こういうストーリーにしたいのですが、どうでしょう。……自分なりに、けっこうねりにねった………」

「…………ボツ! ボツに決まってるでしょ!! よくこんな……ふざけたラノベ書けますね!!」

「……あっ。やっぱり、まあ……そうですよね~」

「やっぱり? ……ちょっと。これって、もしかして私への日頃の恨みですか! ねえ~?? どうなの!!!」


 ラスボスの誰かって、担当編集さんのことでした――





 終わり


 このスピンオフは、『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』を参考にしたフィクションです。

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