第13話 【RPG編】ボコスカファンタジー・クエスト - アルテクロスの飛空艇仲間4人、過ぎ去りしRPGの栄光を求めて…… 前編


【RPG編】はスピンオフです。

 作者の懐かしい青春時代に遊んだゲームの記録です――



 ――はるか遠いどこかの星で、アルテクロスの飛空艇仲間4人は、今日もせっせとレベルアップのために、慎重に冒険の旅を続けていました。



■はじまりじゃなくて、いきなり、おわりの旅ですか?


「バカか! 起きろ。どうしようもない、エロバカ・ルン!!」


「少しは、私の締め切り…………を、」

 突然ですけど。


 てってけてって、てって~。エロバカ・ルンはレベルが上がった!!


 マダ〇テの呪文を覚えた。

 ツンデレ・レイスはレベルが上がった。ザラ〇の呪文を覚えた。

 テンネン・アリアはレベルが上がった。パル〇ンテの呪文を覚えた。

 シスター・イレーヌはレベルが上がった。ザオ〇クの呪文を覚えた。


 モンスター達は何かを落としていった。

 エロバカ・ルンは、賢者の石を手に入れた。

 さらに、変化のへんげのつえを手に入れた。

 んん? 目の前に宝箱が置いてある。ついてる!!


 ででっ!


 エロバカ・ルンは宝箱を開けた。

 なんと、宝箱には最後のカギが入っていた。

 エロバカ・ルンは最後のカギを手に入れた。てててっ、ててん!!


 最後のカギを手に入れたので、さっさとラスボスを倒してやろうと思いついて、旅人の扉のある最果ての祠へ向かった。

 そして、そのカギを使って祠の扉を開けて、旅人の扉の渦の中へ入ろうと思った。

 ……その前に、ためしにマダ〇テの呪文を使ってみたくなった。


 丁度いい相手がいる。ラスボス級の魔女が隣にいるぞ……。


 てれてれてれっ。


 マダ〇テの呪文を唱えた。

 しかし、マダ〇テの呪文は不思議な力でかき消されてしまった。

 これはもしかして、魔女の呪いか………。


「おい、ルンって!」


 てれてれてれっ。


 ツンデレ・レイスが、お返しにザラ〇の呪文を唱えてきた。

 エロバカ・ルンは死んでしまった。シスター・イレーヌにはきかなかった。日頃の行いです。テンネン・アリアにもきかなかった。


「もう、何してるのよ、2人とも!!」


 てれてれてれっ。


 シスター・イレーヌは、ザオ〇クの呪文を唱えた。

 なんと、ルンが生き返った!


 気を取り直して――

 エロバカ・ルンは、旅人の扉の前で賢者の石を使った。


 ぴろろんっ、ぴろろんっ、ぴろろんっ、ぴろろんっ。


 エロバカ・ルン達のヒットポイントが、ある程度微妙に回復した……。





■PS4のRPGのPVをネットで見ていたら、書きたくなったんだ。


「うわっ! な、なんだ? ちくしょう! 動けない!!」

 エロバカ・ルン達は、身体を思うように動かすことができない。

 そして、どこからともなく不気味な声が聞こえてきた……。


『かかったな! その鏡に姿を写した者は、5匹の魔竜の呪いに掛かるのだ』

『しっかりしろ!』

 またまた、どこからともなく声が聞こえてきた。

 今度の声は知っている誰かの声である。誰かって?

『魂は不滅じゃ。よいか! 魔竜の呪いを解くのは5つの光の心だけじゃ。わしが5つの光の心を探し出してくるまで耐えるのじゃ! いいな』


 ぎゅるーんぎゅるーん。 ← これはル〇ラかな?


 自宅で飛空艇の教習所の運転マニュアルを、難しそうに読んでいる女性がいた。

「ツンデレ・レイス!」

「あんた誰?」

「エロバカ・ルンが危ないのだ! わしと一緒に来てくれないか?」

 答えになっていない……。

「魔竜の呪いを解けるのは光溢れる心のみ、そなたの力が必要なのじゃ!」


「嫌です」

 ちなみに異世界のレイスということで……。


「……………」

「来てくれないと話が進まないのじゃ?」

「だから嫌です」

 どして?

「ルンってば、私が飛空艇を操縦したいって、何度も何度もお願いしているのに、お前はまだ飛空艇の免許を取っていないだろうって。だから、私こうして教習所にいくはめになったんだから……」

「……無免許で飛空艇を操縦できると思っているのか? すごい自信だ。まあいい……」


 無理やり腕をつかんで、ぎゅるーんぎゅるーんしちゃった。


 続いて海辺に近い丘、蜜柑農園で忙しく収穫を手伝っている女性がいた。

「あーやってらんない。あーやってらんない」

 小声で文句を言いながら手伝っている。

「ミカエル・ミカン! ………その蜜柑を一つわしにくれないかな? 美味しそうじゃ」

「この世界にいろんな甘いものがあるけれど、やっぱし、自然から生まれた果実がいい。不思議な木の実は、わしの口には甘すぎるだで」

 それはドラ〇エです。それに、なぜか名古屋弁?(舞台設定は和歌山有田市です)

「こら、だから私を食べるなって!!」

 お約束?


「ところで、あんた誰?」

「気を取り直して、エロバカ・ルンが危ないのだ! わしと一緒に来てくれないか? 魔竜の呪いを解けるのは光溢れる心のみ、そなたの力が必要なのじゃ!」

「嫌です」

「……………。そこを」


「嫌やって!」


 なんで急に関西弁?

「あんたも、どして?」

「ルン、飛空艇乗りのくせに。そのくせに。ギルド仲間からのラブラブ・ハッキングをまともに受けて!!」


 ただの嫉妬かい!!


「まあそういうな。お前の彼への気持ちは、この蜜柑よりも甘酸っぱい」

「だから、あたしを食べるなって」


 無理やり腕をつかんで、ぎゅるーんぎゅるーんしちゃった!

 ところで、この女性は誰なの?


「テンネン・アリア………。やっぱし死んだのか?」

 三途の川の隣の賽の河原、赤鬼や青鬼がキレまくって暴れているところに来た。

 三途の川に来た時点で、もう死んでいるんだけれどね。

 でも、ここはF〇3のストーリーに合わせよう。


「よっこいせ!」


「テンネン・アリア、生きていたのか!」

「私、そこで赤鬼さんと、青鬼さんをとね、いちゃいちゃしていたところですよ」

 いちゃいちゃしていたって……。

「危ない危ない。奪衣婆だつえばのお婆ちゃんに、あんた、ちょっと若いからって、私の赤鬼と青鬼に色目使わないでな! 泥棒猫は地獄に落ちなさい! しっしっって」

 三途の川だけに、説得力がありますね。


「ところで、わしと一緒に来てくれないか? 光溢れる心のみ、そなたの力が必要なのじゃ!」

「ルン君って、次から次へとトラブル続きだね。しょうがないなー」

 嫌じゃないんだ。今回はすんなりいけました。


 ぎゅるーんぎゅるーん!


「おおシスター・イレーヌ!」

「嫌です」


「……………」

 まだ何も言ってないよ。

「どうか、エロバカ・ルンに力をかしてくれんか!! 魔竜の呪いを解けるのは………」

「嫌ですってば!」

 エロバカ・ルンよ……。お前は嫌われすぎだ。


「どうして、みんなあの男が嫌いなんだ?」

「だって、ルン。あたしがこの前のアルテクロスの港での『魔獣ばきゅーーーん!!』騒動で、あの後、ギルド仲間達と大笑いしていたのを、あたし目撃して……。だから嫌いだ」

「………嫌いは好きで、好きは嫌いだったっけ。そのルンが言っていた言葉だったはずじゃ」

「……どうして、あなたがそれを知ってるの?」


「ふぉふぉふぉ、わしはウソしかつかなーい!!」

「……あっ、テンネン・アリア! あなたっては!!」


「……でも、本当はあたし、ルンのこと好きです」

 微妙な解釈がいる発言ですね、イレーヌさん。

「んもう!! ルンさんは、やっぱり、あたしが必要なのかな?」

「ん? それはどういう意味じゃ…………??」


 ぎゅるーんぎゅるーん???


「爺さん達。頼む!」

「いいよ」

「いよいよ勇者の出番じゃな! よし! わしが行こう!!」

 最後はあっさりだ。


 ぎゅるーんぎゅるーん………。

 でも誰?


 ズパパパパーン!

 ああ、鏡のある部屋に集結した場面の効果音か。

「さあ、私達が魔竜の力を抑えているうちに、早く!」

 何、この展開の速さ。

 この世界を闇に包ませては 再び時を止めさせてはならぬぞ!


 みんな、ありがとう! よし! 行くぞっ!!





 続く


 このスピンオフは、『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』を参考にしたフィクションです。

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