寿 ことぶき

雨世界

1 あなたと、見つめ合う時間

 寿 ことぶき


 登場人物


 先生 優しい人。二十八歳


 私 先生に恋をしている。十七歳


 プロローグ 


 ……好きな人がいます。先生。……あなたのことです。


 本編


 私と結婚すればいいじゃん。


 先生と私


 先生。好きです。


 部屋で、ずっと一人で泣いていると、……とんとんと、私の部屋のドアを叩く音が聞こえた。……それは、奇跡の始まりを告げる祝福の鐘の音だった。


 花盛りの君へ


 私の部屋の机の上には大切な写真が一枚飾ってある。それは大好きな先生と私が結婚式を挙げた日の、二人の一番幸せな時間を四角い形に切り取った、とても、とても大切な(私の宝物の)写真だった。


 あなたと、見つめ合う時間 


 その恋は、一目惚れの恋だった。

「初めまして」

 と教室のみんなに挨拶する先生を見て、私はひと目で先生のことが好きになった。(これは運命の恋だと思った)


 すると、ふと、先生と私の目と目があった。私は思わずどきっとして、(そして先生が優しい表情をして、私を安心させるように、大人の人の顔をして、にっこりと笑ったので)その顔をつい真っ赤にしてしまった。(あるいは、私の気持ちはこのときに先生に伝わってしまったのかもしれないと思った)


 私は先生に恋をした。


 こんなに誰かのことを好きになったのは、一七年間生きてきて生まれて初めてのことだった。

 だから、私はすぐに先生に「好きです。私と付き合ってください」って言って、恋の告白をした。

 でも先生は「ごめんなさい」と言って、私の告白をお断りした。(すごく悲しかった)理由は、私が先生の生徒だから、ということだった。(なんて馬鹿らしい理由なのだろう? と私は思った)

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