第二怪 きゃんぷ

私はヒグマ、サバンナちほーの貸家に在住の一般フレンズだ。

この日、私は大量発生したセルリアンと810人組手をやっていた。


もちろん一人ではない、

いつものイヌ科のリカオンと

先日ジャパリ便をくれた霊長類のキンシコウと一緒にだ。


「ぬわああああん疲れたもおおおおん」


「ヒグマさん、流石に810人組手はオーダーきついっすよ。」


「そうわよ。セルリアン退治なんて1週間ぶりでしたからね」

「調子出ないのも無理ないですよ」


3人は満身創痍だった。

すぐにでも休暇を取らないとフレンズ化が解けてしまうだろう。

何か疲れを癒す方法は無いのか?

意外にも、答えはすぐに出てきた。


「きゃんぷ、しないか?」


「キャンプ?いいですね!またヒグマさんの料理食べれるってことですよね!」

「やりましょうよ!」


「決まりのようですね、早速準備しましょうか」

「日が暮れる前には済ませておきたいですね」


こうして私たちはキャンプを開催することとなった。


ジャパリパークのキャンプ場と言ったら、

アリツカゲラさんが管理している"ハートランド・アリツカ"だ。

コテージ、天然温泉、卓球場、げぇむ、何でもそろっている。


私たちは、以前もこのキャンプ場に行ったことがあって、

三人でカレーを作って盛り上がった。


そんなキャンプ、楽しくないはずがないので丁寧に準備をして就寝、

そして、新しい朝がやってきた。


「ぬわあああん、眠った眠った~」

「みんな起きたか~?キャンプに行くぞ~」


「おはようございます。とキンシコウは目をこすりながら答えます」


「オーダーいつでもオッケーですよ」


出発する準備が整ったようだ。

3人は毛皮姿を整え、戸締りをし、ホームセキュリティを強化してから家を出た。

野を越え、山越え、川越え、順調に前へ進んでだ。


そして、

無事にキャンプ場へ到着、

管理人邸にいるアリツカゲラさんに使用許可をもらって、宿泊用のコテージに入った。


手入れが行き届いているため、内装はとても綺麗だ。流石アリツカゲラさん。


ベッドもしっかり完備されている。

作業机のようなものも備え付けられていて、漫画好きのフレンズなんかが作業に集中したいときに使ったりできそうだ。


そんな綺麗な部屋をチラチラ見てから、3人は持ってきた麻袋を床に置く。

袋には数日分のジャパリまん、博士から借りた調理器具、ボスのぬいぐるみ、スペアの如意棒、キラキラ、などが入っている。


ここのキャンプ場に来て真っ先にやることと言ったら例のアレしかない。


「ヒグマさん、リカオンさん、この辺に新しい温泉ができたみたいですよ」

「行きませんか?行きましょうよ」


「いいですね!私、最近シャワー暮らしなんで温泉楽しみにしてたんですよ。」


「決まりだな、アリツカゲラにタオル借りてくるよ、ちょい待ち」


旅の疲れを温泉で癒すことにした。

ジャパリ温泉の効能は"生命力の回復"

お湯に含まれるサンドスターが体に染み渡って傷や病気や動物化を治してくれる。


「サンドスターを使い過ぎて体が半分動物になっちゃった!」


なんてことになってもジャパリ温泉に入れば大丈夫、フレンズに優しい温泉なのだ。


タオルを借りて温泉に向かった。

温泉からは綺麗な湯気が立っている。

入ってくれと誘っているのだろうか?


ヒトの世界では温泉に入るとき毛皮を脱ぐのがルールらしい。

3人も毛皮を脱いでいざ、入湯。


温度は適温、景色も最高だ。

目の前には川、ブラックバスが泳いでいる。


温泉を囲うようにある岩も素晴らしい。

周囲からの視線を感じずにリラックスできる。


「ん?なんか動物がこっちに来ましたよ」


「リカオンさん、アレはカピバラです」

「ほら、雪山にいた奴。元の動物も温泉が好きみたいですね」


入っている途中、カピバラの群れに遭遇したり。


「あっ、子連れの私がいる」


「誤解招くような言い方やめてくださいよ..」

「いやぁ、野生のヒグマデカいですね」


「子持ちのクマは気が荒いって聞いたことあります、ヤバイんじゃないですか?」


「大丈夫だって、風下だから匂いでバレる心配もないし。私、雄グマじゃないからね。」

「雄グマって、子供殺すことがあるから、マジで危ないんだよ」


「クマの世界もだいぶハードコアなんですね」


野生のヒグマが温泉の近くに現れたりした。

そんなこんなで幸せな談話をして終了、

温泉を上がってコテージへ戻った。


それからは、3人でヒグマカレーを作ったり、キノヴォリしたり、メタリックなセルリアンを粉砕したりした。たまらねぇぜ。


カラスの大群が森に帰りはじめる頃、

私たちはコテージに戻った。

ここからがキャンプ本番である。


「やっぱきゃんぷは最高だな」

「久々にカレー作れたのも大満足だよ」


「今日のヒグマカレーも最高でしたよ」

「やっぱ...みんなで作るカレーは...最高っすね」


「そうわよ(便乗)」

キンシコウはしっかりと便乗した。


「あっ、そうだ」

「だいぶ暗くなってきましたねぇ、ランプ付けましょうか」


「そうですね、夜目は効く方ですが明かり欲しいっすね」

「ヒグマさん、火の準備を」


「かしこまりっ!」


私は荷物袋からチャッカマンを取り出してそのままランプに明かりを灯した。

ほんのり明るく、本を読んだり怪談をしたりするにはちょうどいい明るさだ。

なんでチャッカマンがあるのかって?

ここのジャパリパークにはあるんだよ、チャッカマンが。


「なぁ、次何やる?」


「キャンプファイアーとかどうです?」


「管理人に怒られるぞ」


「みなさん、ここに良いものがありますねぇ」

「じゃん、木彫りのギターでございます」


「リカオン、ギターなんて弾けたのか!?(驚愕)」


「もちろん、私は両刀型ですからね」

「芸術面も強いんですよ」


「弾き語りとかできるんですか?」

「聞かせてくださいよ」


「もちろん、Yo〇tubeで見て練習してきたんで」

「一般男性もいいけど...”やりますねぇの歌”にしますか」


「それでは聞いてください、やりますねぇの歌」

「じゃあま~ず年齢を~♬教えてくれ~るかな~♬.......」


リカオンはどこか懐かしさのあるメロディーで”やりますねぇの歌”を弾き語った。

静かな野獣といったとこだろうか、癒し効果があるような気がした。


「やりますねぇ~♬.....」


一曲歌い終えると、

私とキンシコウは夜行性のフレンズ二考慮してひかえめの拍手で称賛した。


「最強にすごい」


「すごい、(語彙力)」


「そんな~、照れますねぇ///」

「まだ行けますよ、LOVE TOGETHERやろうかな」


『ガサガサ...二ナロウ...ゼ,,,』


「「「!?!?!?」」」


リカオンが弾き語ろうとした時だった。

こちらに何者かが向かってくる音がする。


「新手のフレンズの方でしょうか」


「きっと私の音に引き寄せられたんでしょうね」


「静かに、夜行性のセルリアンかもしれないぞ」


『ズルズル....ガサガサ...』


這いずるような音がしていた。

風上にいるため匂いで正体を知ることはできない。

3人は何かが近づいてくるのを感じていた。


「様子見てきますか?」

「セルリアンだったとしても1匹くらいなら粉砕できますし」


正体が分かれば安心感が各段に上がる。

目視で確認するのが賢明だろう。


「そうだな、足音的に足が遅そうだし」

「キンシコウ、見てきてくれるか?」


「おかのした、です」


そう言うとキンシコウは窓から飛び出していった。

リカオンもギターを置いて様子を見ている。


しばらくしないうちにキンシコウが窓から帰ってきた。


「ヤバいですよ!コテージの前に巨大なナメクジみたいなやつが!」


「ナメクジ?」


「ですか?」


キンシコウが言うには、全身に毛が生えたデカいナメクジが何か呟きながらコテージ付近をウロウロしているらしい。

匂いを嗅ぐような動作もしていて、食べ物を探している説もある。

フレンズを襲う危険な生き物かもしれない。


「とりあえず叩いて様子を見てみるか」

「念のため3人でそのナメクジの前に行こう」


私はナメクジを叩いて様子を見ることにした。

コテージのドアを『バァン!(大破)』と開けると、

そこにはキンシコウが言った通り、フレンズ大の特大ナメクジみたいな奴がいた。


全身に毛が生えていて、トゲのようになっている。

頭には丸い穴、捕食に使う口だと思われる。


『ィトッシャノウ....クソ...ア...ブッチッパ...』


確かに何か呟いている。ヒト語には聞こえない。

セルリアンの鳴き声みたいなもんだろうか。


「デカナメクジ、悪く思うなよ...」


私は自身の身長ほどもある”熊の手”を構えると静かに野生開放。

渾身の一撃を決めるべく、呼吸を整える。


そして、一気に


「ぶっとばすぞ!」

「サイキョ―!クマクマ!スタンプ!」


『ドカァン!ビリビリビリビリ....』


すさまじい衝撃波と共にナメクジにクリーンヒット、

木を3本くらいなぎ倒しながら森の中に吹っ飛んでいった。


「サイキョ―すぎますよ...」


リカオンとキンシコウはヒグマの強烈な一撃に感動していた。

あんな一撃...ナメクジはスライム状になってしまったに違いない。

しかし...


「いや、手ごたえが無かった。」

「多分、アイツにダメージ入ってないんじゃないかな」


ヒグマが言った通り、ナメクジは平然と起き上がって再びこちらに近づいてくる。

まるで攻撃が効いていない様子だった。


「え!?あんな攻撃喰らったのに動いてるなんて!?」


「ヒグマさんの攻撃当たってましたよね?なんで?」


「おそらく厚い毛皮だろうな」

「ラーテルと同じ、分厚い皮膚が打撃を無効化しているんだろう」

「たまげたなぁ....」


これは困った、今いる3人の中で最高火力を出せるのはこの私、

その攻撃が効かないんじゃ、ナメクジの退治は難しい。

無用な戦いを避けたいので、このまま森に放っておいていいのか考える。


そのときだった、ナメクジが怒り狂ったのか、

牛みたいな泣き声をあげて突進してきた。


『ブモオオオオオオオオおおおおお!』


「ヒグマさん危ない!」


「わっ!危なッ!」


間一髪のところでナメクジの突進を避けた。

このナメクジ、ただのノロマではないらしい。


「ウギャア!」


「「!?ッ」」


声の主はキンシコウ、

その足には2本の巨大なトゲが刺さっていた。


「痛てて...ごめんな...さい、油断しちゃい...ました」

「あのナメクジ、トゲを飛ばす能力も...あるみたい...です」

「気を付けて...ください...」


そう言うとキンシコウは気を失った。

フレンズの再生力があるとはいえ、治療をしなければ感染症で大変なことになる。

ナメクジ狩りをしている場合ではない。


「ヒグマさん、ここは一旦引きましょう」

「キンシコウさんを抱えて管理人の小屋に行きましょう」


同感である。

仲間の命が最優先、ここは引くのが得策だろう。


「コイツは私が惹きつけておきますから」

「ヒグマさんは真っすぐ小屋に向かってください」

「テキトーに撒いたら、そっちに合流します」


「分かった、キンシコウは任せといてくれ」

「無理はするなよ」


それから、私はナメクジに背を向け、小屋まで全力疾走した。

ヒグマの足は速くて、時速50kmで走ることができる。


小屋まではあっという間だった。

管理人のアリツカゲラさんに事情を話し、キンシコウを預ける。

そのときだった。


「痛ったあああああああ!!!!」


森からリカオンの叫び声が、

ナメクジに何かされていないか心配だ。

私は小屋を飛び出し、リカオンの声が下方向へ向かった。


「リカオン!大丈夫か!」


そこには、転んで腰を抜かすリカオンと、それに向かって這い寄るナメクジの姿が、

仲間を傷つける奴は.....


「粉砕だあああああ!!!!」

「サイキョ―クマクマスタンプ!!!」


『ドカン!!!!!』


飛び上がり、上から思いっきり殴った。

まともき攻撃を喰らったナメクジはピクピクと痙攣している。


「私たちも行くぞ、リカオン」


「は、はい!」


こうして私たち3人は小屋に着くことができた。

レンガ造りのこの建物は、木造のコテージより頑丈そうだ。

森を知り尽くしたアリツカゲラさんも一緒なので無敵だろう。


「あの、皆さん、アレに出会ってしまったんですね....」


「ん?アリツカゲラ、アレが何か知ってるのか?」


「はい、もちろんです」

「また出現するなんて思ってませんでしたけどね」


「アリツカゲラさん、一体アレは何なんですか?」


「”シシノケ”です」


アリツカゲラさんはシシノケという生き物について教えてくれた。

シシノケは体長2メートル程のナメクジのようなUMAだ。

頭にある黒い穴は捕食するためのもの、

フレンズサイズなら余裕で飲み込めるらしい。


そして、この”シシノケ”、

とても執念深いナメクジのようで、狙った獲物をどこまでも追い回すそうだ。


「恐ろしい生態してますね」


「リカオン、お前も似たような狩猟スタイルだろう....」


「漫才やってる場合じゃないですよ」

「きっとアレ、ここに来ますよ」

「迎え撃つしかないでしょう」


基本的に逃げるの不可能、倒すしかないのだ。

アリツカゲラさんは部屋から猟銃を持ち出し、

あのナメクジが入ってこられないよう、部屋の扉をすべて閉めた。


最後の扉を閉めたときだった、


『ドンドン!ドドドン!』


玄関からだった。

強く体当たりしたような音が聞こえてきた。

アリツカゲラと私、リカオンの3人で玄関前に向かった。


『ドンドン!ドドドン!ドンドン!ドンドン!』


音が激しくなっている、扉が壊されるのも時間の問題だ。

ナメクジが扉をぶち破って入ってきたところにカウンターをお見舞いしよう。


3人は猟銃、熊手、爪を構えた。

しかし、


『ドンドン!ドドドン!ドン....ド...ン..........』


急に静かになった。


「あのナメクジ、諦めて帰っていったのか?」


「絶対ないです。アレはどこまでも追ってきますよ」

「油断して玄関から出てきたところを襲うつもりなんですよ、きっと」

緊張しながらナメクジの出方を伺っていると、


『ドン!』『グシャ!』『グエエエエエエ....』


肉が飛び散る音と一緒に断末魔のようなものが聞こえてきた。

奴は一体何をしているんだ。

3人は困惑するばかりだった。


「な、何なんですか?今の音....」


「私はナメクジの専門家じゃないんで知るわけないじゃないですか」


「どうなってるか気になるな」

「外、見てみるか?」


「「!?!?」」


「ヒグマさん正気ですか!?」

「危ないですよ~」


「大丈夫だって、私ヒグマだし」

「もし奴が生きてたら、この熊手で吹っ飛ばせばいいのさ」


「き、気を付けてくださいよ」

「危なくなったらこの私がこの猟銃で....」


ゆっくりと玄関の扉に近づくと...

『バァン!』


思いっきり足で蹴り開けた。

周りを見ると無数のトゲと肉片が散乱していた。


辺りがキラキラしている、近くに噴石が落ちたらしい。

きっとナメクジは飛んできた噴石に直撃してミンチになったのだろう。

かわいそうに。


「みんな、出てきて大丈夫そう....」


私は小屋の中にいるリカオンとアリツカゲラに外が安全であると伝える。

こうもあっさりと解決してしまうとは、今日は運がいい。


「...せろ......喰わせロ.....」


「ん?リカオン何か言ったか?」


「いや、一言もしゃべってませんよ」


「でも今"喰わせろ"って...」


「あの肉片の中からじゃないですか?」


リカオンが言った、嫌な予感である。

ヒグマはすぐに肉片を向いた。

確かに何か蠢いている。


次の瞬間だった。

何かがものすごい勢いで突っ込んできた。


「わああああああああああああああ!!!!!!!!」

「最強クマクマスタンプ(高速詠唱)」


『ズドォォォォォオンッ!!!』


驚いた私はとっさにその何かを思いっきり熊手で叩きつけた。

その衝撃で直径2メートルくらいのクレーターができた。


その中心には女の子、フレンズと思わしきものが倒れている。


「ヒグマさんまずいですよ!」


「しまった!驚いてついやってしまった!」

「アリツカゲラさん!助けてくれ!」


「は、はい!」

「早くベッドまで運びましょう!」

「ヒグマさんの一撃を食らって無事なフレンズはいません」


気絶しているそのフレンズを空いているベッドに横たわらせた。

幸いなことに、原形はとどめているようだ。

目立った外傷もない。奇跡的だ。


それにしても、このフレンズは何なのだろう?

フードをかぶっていて、黒いシマ模様が入っている。

フードには突起のようなものがいくつも付いていた。

新手のヘビかな?


「そこの気絶してるフレンズさんは...」


けが人と化していたキンシコウが部屋にやってきた。

傷はほとんど治っている。流石フレンズだ。


「ああ、ナメクジの死体を確認してたときに見つけたんだ」


「この子、サバンナシマシマオオナメクジでは?」


「言われてみれば似てる気がするな」

「でも、ナメクジってフレンズ化したっけ?」


「知らんです」

「目覚ましたら聞いてみましょうよ」


「そうだな」


それから数時間経って、

気絶していたフレンズが目を覚ました。

その第一声は、


「腹減った.....死ぬ.....」


空腹なようなので、

アリツカゲラさんが持ってきたジャパリまんを詰め込んだ。


「ンゴッ!?モゴオッ..!?」「モゴモグ」

「んん!?これはっ!?美味しい!」

「誰か知らないけどありがとな」


ジャパリまんを食べて復活した様子だった。

体の痛みもなく、無事なようで安心した。


それからはお互いに自己紹介をしたり、

ここがどのなのか、ベットに運んだ理由などを話した。


「え!?いきなり飛び掛かった!?」

「ごめんなさい、私大変なことを...」


「いやいや、いいのさ」

「私の方こそ、強く叩き過ぎたね」

「ごめんな」


「でも良かったです、ケガ無くて」

「ヒグマさん気を付けてくださいよ」


「それはそうとして、あなたのことは何て呼べばいいんでしょうか?」


キンシコウは考えた。

見た目がナメクジぽいって理由で”ナメクジちゃん”と呼ぶのは、違う気がする。

そもそも"ナメクジ"の響きがよくない。


「私の名前ねぇ、この毛皮トゲトゲしてるし」

「トゲトゲでいいんじゃないか?」


「良くないです!もっと自分を大切にしてください」


「まぁまぁ、お茶でも飲みながらみんなで考えましょうよ」


アリツカゲラさんがお茶を入れてくれたので、

場所を変えて名前を考えることになった。


「何かフレンズになる前、覚えてたりしないですか?」


「シカの味とか、イノシシの味くらいしか覚えてないぞ...」

「あと、鳴き声の真似が得意だったり」


「そうだ!ここは単純に”シマナメ”とかどうですか?」

「シマシマでナメクジみたいで、」

「"シマナメ"なら呼びやすいしナメクジ感も無いし良さそうじゃないですか?」


「シマナメ、確かに呼びやすいな」


「シマナメ...良い響き...」

「お客さんに決まりだ!私の名前は"シマナメ"、今日からシマナメだ」


こうして、さっき生まれたフレンズの名前は無事決定した。

住処については、しばらくの間アリツ邸に住まうことになった。


自分が何の動物か知らないと、良い住処は見つからないからである。

博士か助手、オイナリサマに聞けば大体分かるので心配いらないだろう。


私たち3人はというと、コテージに荷物を取りに戻った。

コテージには無数の毛が刺さっていた。

結構深くまで刺さっていて、その威力を物語っている。


まぁそれは置いといて、荷物の確認。

ジャパリまんが消えている以外は特に何もされていないのでセーフだ。


メタリックなセルリアンに遭遇したり、ナメクジに襲われたり、

新しいフレンズが生まれたり、

とても密度の高いキャンプになった。


予想のできないトラブル、

これもキャンプの醍醐味だろう。

もう一度やりたいぜ。


「でも、結局あの巨大ナメクジは何だったんだろう?」

「UMAかな?今度オイナリサマに聞いてみよう」


山には危険生物がたくさんいる、

みんなも山に行くときは気を付けてもらいたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る