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@nicori__momo
第一章 サロンワーク
彼女は「自由・魅力・才能・邪悪」
これらを持ち合わせたシングルマザーだ。
そして私の母。
高校三年生の私の母はよくゲーテのような詩を並べては不満そうにこっちを見て笑う。
いつも何かに追われていていつも見えない何かと必死に向き合っている。
そんな私の母は、私が小学3年生の頃美容師になるといいサロンワークを始めた。
すぐ飽きた。ずっとやりたかったことだった美容師は向いてなく、やりたかったことはこれじゃ無かったと諦めた。
まだこの頃は気付いていなかった。
自分が何と戦っていて何に向かって歩みを進めているのか。
母がサロンワークをしている間の生活は朝早くに母は出勤し、夜遅くに帰宅する。
美容師の見習いは自主練習が欠かせないから、O型のくせに変な所で几帳面を発揮する母は夜遅くまで熱心に練習して帰ってきた。
その間私と弟は祖母の家で過ごしていた。
寂しくなかったのかって?あ、きいてない?まぁまぁ聞いてよ。寂しくなかった、凄く。
理由は簡単、毎日楽しそうで忙しそうに過ごしている母を見て嬉しかったのもあるけど何よりも「やりがい」を背中と、シャンプーのし過ぎで乾燥している手で語っていたからカッコイイ自慢の母だったのもあって寂しくなかった。
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