レビュー

 というわけで、レビューといきたいと思うのですが、家族と4回ほどプレイしてみて、レヴィアスに不利なルールであると思います。以下にその理由を述べます。

1.開始後いきなり位置を特定されかねない

 レヴィアスの初期配置は、プレイレポート内でも解説したとおり、マップ上の陸と一番離れたエリア27、29、31のどれかです。しかし護衛艦のソナーはエリアをピンポイントではなく、海域単位で効果を発揮します。そして、エリア27と29は同一海域にあり、31はその隣の海域です。

 これにより、人間側の一番手が護衛艦を移動させてソナーカードを使えば――そして大抵の場合、一番手はソナーカードを配られています。枚数が多いですから――レヴィアスの位置は1か所あるいは2か所に絞られてしまいます。怪獣がどこに潜んでいるのかわからないのが、このゲームの醍醐味の一つのはず。なのに、いきなり怪獣ピンチです。

2.移動にエネルギーが必要

 さて、レヴィアスとしてはすぐさま移動して行方をくらまさないと、超音波機雷が降ってきます。しかし、レヴィアスの初期エネルギーは2。移動に必要なエネルギーも2。移動してしまうと、次の手番で間抜けな護衛艦を捕食攻撃できない限り、「沈黙」でエネルギーを溜めるしかありません。

 南太平洋から沖縄まで、海中をまず間違いなく自分の意志で泳いできたレヴィアスが、なぜホワイトビーチの近海をちょこっと泳いだだけで、エネルギーをそんなに消費する設定なのでしょう? 覚醒カードには魚群を捕食してエネルギーをチャージできるものもありますが、行く手行く手に都合よく魚群がいるとは思えないし。

3.津波攻撃は、レヴィアスにほとんどメリットがない

 さて、そんなこんなでエネルギーを溜めて、津波攻撃を放ったとしても、レヴィアスにはメリットがほとんどありません。陸地マスを水没させたからといって人間側にデバフがかかるわけでもなく、津波の進路上にある機雷も護衛艦も除去できません。一方で、水没エンドを迎えるためには5つの陸地マスのうち4つを水没させなければいけませんが、実際の話、陸地マスを2つほど沈めたころには人間側も堤防を建設しているため、ストレートで水没エンドというわけにはいきません。時間がかかりすぎるのです。

4.進化も覚醒も効果は一度きり

 さてそんなレヴィアスの窮地を救うのが、三度にわたる進化と、再々訪れる覚醒――とはいきません。プレイレポートでも描写しましたが、どちらも効果は一度きり。「捨て札にします」とルールブックに明記してあります。しかも、移動力が増えるわけでもなく、離れた護衛艦が攻撃できるようになるわけでもなく……これってただのイベントカードでは? 「ボルカルス地震」とかあるし。よく考えたら「魚群捕食」だって、それ覚醒じゃねぇよ!

 『ボルカルス』では進化させると能力が上乗せされて緊迫感が増したんですが、こちらはさっぱり。『ボルカルス』で、進化が強すぎると苦情でも来たんでしょうか。Makuake先行予約特典の特殊イベントカードを混ぜても、ちっとも怪獣有利にはなりませんでした。


 4回プレイしたと書きましたが、唯一怪獣側が勝てたのは、津波攻撃は捨てて、移動したら沈黙か捕食攻撃のパターンを繰り返し、あわよくば全滅エンド、少なくとも時限エンドを狙う戦法でした(結局時限エンドで決着)。ただし、人間側プレイヤーたちが怪獣の位置予測を8割方外す――移動位置をメモし間違えた怪獣プレイヤーが自己申告するというペナルティが発動したにもかかわらず――という無能っぷりをさらしたことは付記しておきます。


 ここからは、私見と感想です。

 まず、ルール改正を希望します。

 前述の1については、マップの海側半分のエリアならどこでも初期配置としてよいことにする。

 2については、移動のコストをゼロにする。

 3については、レヴィアスのいるマスからターゲットに指定した陸地マスの直線状にいる機雷は陸地に打ち上げられて人間側の手元に戻ることにする。なお、護衛艦は津波を察知して退避後戻ってきたことにする。

 4については、覚醒カードはイベントとして割り切って、進化はカードを取得したら常時発動とする。できれば進化カードは山札セット時に裏を剥けて無作為に選んだ1枚ではなく、怪獣プレイヤーに選ばせる。

 1と2はどちらか選択式にしてもいいかもしれません。


 せっかくの「姿の見えない敵」「高速無限進化する怪物」との戦いなのです。惜しい、というのが正直な感想でした。

 この感想には、人間側の職業設定がないことも作用しているように思われます。全員が作戦指揮官で、『ボルカルス」のような役割分担がないため、臨場感がぼやけているのです。

「俺がやらなくても、次の奴ができるだろう」

「いいからとりあえず追い込めよ」

 なんだか池で魚を追い回してる子供みたいで、責任感が薄くなるというべきでしょうか。


 それから、『Kaiju on the earth』のサイトが全く更新されていません(2020年8月27日現在)。そっちまで責任感を薄くしてどうするんですか。

 次回作での挽回に期待したいと思います。と思ったら、最終作? 某ボードゲームのブログにはそう書いてありますね。

 しっかり時間をかけてルールを煮詰めて、有終の美を期待したいと思います。

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『レヴィアス』プレイレポート(小説風) タオ・タシ @tao_tashi

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