幸せで、羨ましい異世界生活

 まず、導入部分のリアリティ。ついつい忘れてしまう「異世界転移における言語問題」をちゃんと描写している点が素晴らしいです(拙作だと転移先の人と言葉が普通に通じてしまっている……こういうのをチートというんだ、ということすら忘れてしまっていて反省)。さらに、これが本人の意外な能力の発見つながっている、という点に加え、転移先の人物からみた視点がそれをさらに立体的に表現していることも特筆すべきです。
 あまり書くとネタバレになるのですが、チヨちゃんの歌う歌がみんな即興のテキトー作曲なのが楽しいです。(でもすごく使える。まさかあのシステムを構築してしまうとは……)
 そして、ラスト。これまた、異世界転移✕恋愛で必ず起きる問題(?)なのですが、これをいとも簡単に解決してしまっていること。これは……ご家族の懐の深さ、とだけ申し上げておきます。私は衝撃を受けました。ああ、羨ましい……。