第2話 どんくさい娘、ミヤ
「いやっ! ちょっと、どうなってんの……いや〜!」
あたしが今まで食べた
「いった……! なんなの、もう!」
朝必死に整えたくせ毛の紅い髪にたくさんついた木の葉を払いのけながら、あたしは周囲を確認する。
ここは、公園? 人気がないわね。でも、見渡すと人間たちの住む都市に近いところのようね。
「この、ポンコツ!」
宇宙船を蹴ってから、ああ傷がついてしまったと後悔するのがお約束。宇宙船は人間たちに見つからないように指を鳴らして発動した魔法で消しておく。
「あれ、誰かいる?」
人間の若い娘の声。あたしははっとして、背後を振り返る。
「あれ……あなた……?」
「な、なによ。人のこと覗き見しないでよ!」
人間の若い女娘。ブラウン色の肩まで伸びたつやつやの髪。どこにでもいそうな平凡なオーラ。これは、コウコウセイ? のブレザー制服ってやつね。
あたしは人間たちとほぼ同じ人型だから、まず姿で怪しまれることはないわ。この、今着てるメイド服ってやつはこの地球の、今いる日本で買ったものだもの。全然怪しむ要素なんてないわ!
「メイドさん、かわいい!」
「な、何よ……ちょっと、離れなさいよ!」
な、なんなの!? 若い人間の娘があたしのことを至近距離で、キラキラとした目でじろじろ見つめてくる。
「ちょっとあんた! パーソナルスペース侵さないでよ!?」
「あたし、ミヤ! よろしくね、メイドさん」
「はっ!? あたしはメイドさんじゃない、エカチェリーナよ!」
「エカチェリーナちゃん? 外国の人?」
このミヤって子、すごくぐいぐい近づいてくる。あたしは柄にもなく少したじろぎながら、片手をひらひらさせてミヤを遠ざけようとしたけど、この娘は全然怯まない。
「こんなところで何してるの?」
「あんたこそ、何してるのよ。早くガッコウに行きなさい!」
「学校はもう終わったよ? 私帰宅部だから四時には帰れるの。私ね、この公園によく来るんだ。自然もいっぱいだし、芝生に寝転びながら色んなこと空想したり出来るし、最高だよ?」
空想? その言葉にあたしのミヤを追い払うという考えが掻き消える。
「あなた、空想好きなの?
「物語? 私は空想するだけだけど……小さい頃は小説とか漫画なら、趣味でつくったりしてたよ。ま、へたくそだけどね」
「そんな形になってなくてもいい。上手いか下手かなんてのも、どうでもいいわ。あたしは、あなたの
決めたわ、あたし、この子の
「え? よく分かんないけど、いいよ?」
「じゃあ、よろしく、ミヤ」
「ええと……よろしくね、チェリーナちゃん」
「エカチェリーナ、よ」
ミヤは赤い頬で嬉しそうに笑いながら、あたしの手を掴んで走り出す。でも、その後すぐにミヤは何も無いところでつまづいて、あたしの手を掴んだまま転んでしまった。もちろん、あたしも巻き添えに。
「きゃあ!」
「ちょ、ちょっとミヤ!」
「ご、ごめんなさいー!」
全く、どんくさい子ね……でも、
異世界喰らいの魔女エカチェリーナ くもかげ @fenviner
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