終わらない恐怖

 シロの墓をクロの墓の隣にたててあげた。


 そのまま、山を降りていくと遠くの方に黒い煙が見えた。


(やばい、この方向僕の住んでいるアパート

じゃないか)

 

 自分の住んでいるアパートが無事なことを祈りつつ、帰路を急いだ。


 アパートにつくと、アパートは炎に包まれていた。


 周りには人だかりができていた。


 人だかりの間をすり抜けながら最前線に着くと、顔見知りの主婦に声をかけられた。


「大丈夫だった?」


「はい。運良く外出中だったので。それよ

 り、どうしてこうなったのですか?」


「突然燃えたのよ。」


「えっ!」


(もしかしたら...)


 この火災で、アパートは全焼。


 焼け跡の中から、1名の遺体が見つかった。


 後に、その遺体は大家さんだと分かった。


 それから数日間、警察が原因究明に向けて尽力したが、原因不明のまま終わったらしい。


 しかし、僕は1つ心当たりがあった。


 主催者の友人、クロ、シロ、大家さん、彼らの共通点は、僕が病院で目が覚めたときから直接関わっている点だ。


(もしかしたら、僕と関わるとその相手は死

んでしまうのか)


 そこ思った僕は、誰とも関わらないように引きこもった。


 幸い貯金は十分にあったため、すぐに借家を見つけることができた。


 そして、引きこもり始めて3日後、手紙で火災のときに話した顔見知りだった主婦が亡くなったことを知った。


 この訃報を知ったとき、自殺の決心がついた。


(これ以上周りの人に死んで欲しくない)


(死ぬのは、あの湖の近くにしよう)


 そう決めるとロープを購入し、すぐに湖まで向かった。


 湖が見えるところに、ちょうどいい高さの木が見つかり、そこにロープを固定して、少し大きめの石を積み上げ首を吊ろうとした。


 ふと下を見ると、ミケがいた。


「ごめんな。クロとシロを殺してしまっ

て。」


 そう言って、首吊りするために積み上げていた石を崩そうとしたとき、ミケが飛びかかってきた。


(クロのときのように引っ掻かれるのか)

 

 そう思っていたが、ミケは僕の顔を横切って行った。


 驚いて後ろに倒れてしまい首吊りは失敗した。


 ミケの方を見ると、ミケは何かと闘っているようだった。


 ミケは何もないところを引っ掻かいたり、

誰かに殴られたかのように吹き飛んだりしていた。


 何が何だかわからなくなり、急いで山を降りて行った。 


 降りる途中にミケの方を見ると、ミケが浮いてもがき苦しんでいるように見えた。


 しかし、僕は混乱していて一刻も早くこの町から離れたい一心で行動していた。


 家に帰ると、大事なものだけを集めて都会の方に引っ越した。


 都会の方が安全な気がしたからだ。


 あの山での出来事から、今までの身体の怠さは嘘のようになくなっていた。


 ミケのことは心配だったが、もうあの場所には行きたくない。


 


 心に余裕ができた頃、時間にも余裕があったので乱頭トンネルについて詳しく調べた。


 乱頭トンネルが心霊スポットになった原因が、飲酒運転をしていた車に衝突された車の運転手が亡くなった事故であったこと。


 その亡くなった運転手がとても根に持つタイプであり、猫好きだったがなぜか猫には好かれなかったこと。


 今まで乱頭トンネルについて知らなかったことが多くあったことを実感した。


 おそらく、僕が猫に好かれていたから取り憑いたのだろう。


「ピンポーン」


 呼び鈴が鳴った。


「はい、少し待っててください。」


 急いで玄関を開けると、そこには誰も居なかった。


 ただダンボール箱が1つ置かれていた。


 持ち上げようと近づいたとき、ダンボールから赤い液体が漏れ出ていた。


 嫌な予感がしたがダンボールを開けてみようとした。


「あれ?」


 周りの風景がぼやけていく。


(ああ、これは乱頭トンネルで倒れたときと

 同じだ。)


 

『次のニュースです。A県B市のアパートにて

 住民のTさんが腹部を包丁で刺された状態で

 発見されました。Tさんの家の玄関の前では

 猫のバラバラ死体が見つかったこともあ

 り、警察は殺人と見て捜査しています。』

 


 



 




 


 


 


 

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