第8話 平和
門に着いた時点で戦闘は始まっていた。ただ怪我人の人数から見るに始まってあまり時間は経っていないようである。
「ドラちゃん、あの辺りに降りて」
どうやら1万年たったことで私が魔王だということを知る者はいないかもしれないとのこと。じゃあなんで来たんだよ。私たちの登場に周りは驚いていた。というよりドラちゃんにみんなが驚いていた。さすがドラちゃん。さっきまで泣いていたとは思えないほど鋭い目付きになっている。
私はそんな周りを無視して魔物達の方を向いて
「さっさと森に帰りなさい。暴れたりないのであれば私が相手をします」
その後決めポーズをして、決まった。しかし周りの反応は思っていた反応と違って、その発言に魔物だけでなく、街の人たちもが『何言ってんだ、こいつ』という目で見ていた。
あれ?何か間違えたかな?決めポーズ?決めポーズがダメだったの?
そうこう考えていると魔物の一匹が私に襲いかかってきた。
「デイリーさん、危ない!」
声のする方を見るとレミーが心配した顔でこちらを見ていた。
「大丈夫、大丈夫」
私はそう言いながら、襲いかかってきた魔物にアイアンクローをして受け止めた。そのまま森へと投げ飛ばした。
「「「えっ」」」
みんなが光景を見て驚いていた。周りの反応を無視してまだ襲ってくる魔物を同じ要領で投げ飛ばしていった。その後、襲ってくる者はいなくなり一匹また一匹と逃げ出していった。
最終的に残ったのは、私とドラちゃん、そして街の人たちだけとなった。
周りが静かだ。こういうときは騒いだりして喜ぶところなんじゃ?
「あ、あの皆さん?」
「・・・しゃさまだ」
「え?」
「勇者様だ!」
それを境に周りのみんなも勇者様!勇者様!と言い始めた。私はそれを聞いて顔が青を通り過ぎて白くなった。
勇者様ごめんなさい!勇者様ごめんなさい!もう悪さはしません、平和に生きます。なので封印だけは!
私が膝を抱えて怯えていると街の人たちが私に向かって走り出してきた。そして私に向かっておかしなことを言ってきた。
「勇者様!この街を救ってくれてありがとうございます!」
「勇者様がいなかったらこの街はどうなっていたか」
「勇者様。あの投げ飛ばしたの凄かったです」
だれがなんだって?わたしがゆうしゃ?なんで?
混乱している私をみんなが胴上げしてきた。
「「「勇者様万歳、勇者様万歳」」」
そんな私の元にレミーが驚いた顔で
「デイリーさんは勇者様だったのですね!?」
ちがーーーーう!私は魔王だーーーーー!心の中で叫ぶも誰にも伝わらなかった。
封印から出ることが出来て、街に行き、何人かと話をした。そして気づいたら周りから勇者と呼ばれた。もう訳わかんない。
ただこれだけははっきりしている。私はこれからも平和に生きていく!だってまた封印されたくないから
魔王、勇者に封印されて1万年。封印が解けてまた世界征服?いいえ、私は平和に生きます。 林田たつや @kanamun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔王、勇者に封印されて1万年。封印が解けてまた世界征服?いいえ、私は平和に生きます。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます