アニメ「サムライ・チャンプルー」が超絶エモーショナルだった件
木谷日向子
アニメ感想
元々子供の頃から時代劇で行われる戦い・殺陣が好きで、殺陣が出てくる映画やドラマ、アニメを見るととてもわくわくしていた。そして自分も将来は殺陣が登場する物語を描く人になりたいという夢を持っていた。
UNEXTで「サムライ・チャンプルー」というアニメを見つけた。もう題名の通り侍の話だし、キャラクターに眼鏡をかけた侍がいるし、絶対殺陣が出てくる話だ! 私の好きそうなアニメだ! と思い、すぐさま視聴を開始した。そして私は本作の紹介イラストを見ていた時に、事前にこのアニメの事をうっすらと知っていることを思い出した。
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頭の中に流れ出したのはMINMIの「四季」であった。
そうだ。私はこの歌を知っていて、この歌がすごくすごく好きだった。現代流行っている「エモい」という言葉を凝縮したかのような抒情的なメロディと日本の四季の美を歌い、そこに自身のオリジナリティある感性を混ぜた歌詞。
「つべこべ言わず黙って見ろ!」
びっくりするようなフレーズから始まるこのアニメは、史実を全く無視したネオ時代劇であった。ぼさぼさのボブヘアーで無精髭を撫でるムゲン。茶屋で働くことを「バイト」と発言する愛らしいヒロインのフウ。眼鏡をかけた一見真面目そうな侍だが、むっつりスケベのジン。
刀の鞘でラップバトルをする侍、おかま風のおしゃれな侍、草野球。
毎回話がコメディ調なのだが、ぶっ飛んだ世界観で楽しい。史実を無視して現代風にしている「銀魂」に近い世界観といえばいいのだろうか。だから独特の面白さが出ている。
そして何と言っても音楽が良い。独特のテンポ感で刻まれるビート。時代劇で流れえないようなお洒落な音楽は、世界観に大変マッチし、相乗効果で本作の魅力を増している。
そう、1話1話が1曲の音楽のようなエモさなのだ。
特に気に入った回は、ジンが年上の未亡人と恋に落ち、女郎に身をやつした彼女を助ける為に、彼女を船で逃がし別れるという回である。
史実にもある「足抜け(女郎が店から勝手に逃げる)」を描いている。クライマックスの白い霧が立ち込める浜辺で、ジンが小舟に乗った女性を静かに逃がし、女性がジンに涙を流しながら「ありがとう」というシーンは感動的であった。
私は本作の中ではジンが一番好きなキャラクターなのだが、最終章にあたる3話でのジンの色気はすさまじかった。
ラスボスにあたる侍に対し、瀕死状態から回復した彼は、いつも一つに結んでいた黒髪を背に流し、眼鏡を外し、白い右肩を着物からはだけだし、鬼のような形相で敵と対峙し、殺陣を繰り広げた。
彼の今までの冷静さは、このクライマックスの為にあったのではないか、と思うほど良かった。殺陣の描き方もアニメーター、脚本家一体となった手腕を感じ、感動した。
コミカルとシリアスを半々ずつ送るような構成で全話を楽しむことが出来た。
アニメ「サムライ・チャンプルー」が超絶エモーショナルだった件 木谷日向子 @komobota705
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