4月 April
第79話 『19歳の私と彼女のアジア旅』 ジャスミン コンさん
〇作品 『19歳の私と彼女のアジア旅』
https://kakuyomu.jp/works/16817330653829357812
〇作者 ジャスミン コンさん
【作品の状態】
短編・完結済!
【セルフレイティング】
なし。
【作品を見つけた経緯】
『KAC2023 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2023~』の作品を読んでいる最中に見つけました。
【ざっくりと内容説明】
当時19歳だった作者さんは、親しい女友達と旅行に行くのですが、その友人は作者さんに対して友達以上の気持ちがあったようで……。作者さんが友人の気持ちに気が付いたときの心境や、その後の二人の関係について丁寧に描かれています。
【感想】(少しネタバレあります)
『19歳の私と彼女のアジア旅』は、作者さんのエッセイです。
タイトルにもある通り、19歳のときにアジア旅行に行った作者さんですが、そのとき一緒に行った女友達がいました。
彼女は背が高く、ショートヘアー。服装はいつもカジュアルなスタイル。男の子のような態度で周囲と接し、きれいな顔立ちをしていたこともあり「王子」と言われていたようです。
「王子」というあだ名がつくくらいですから、周囲の女性たちが「王子」に好意を持つこともしばしば。彼女と一緒にいることがあった作者さんは、「王子」のファンの子に嫉妬を向けられていたこともあったようですが、その頃は女友達として傍にいたために気づいていませんでした。
作者さんが「王子」を「女友達」ではない存在として意識し出すのは、19歳の春にアジア旅行へ行ったときのこと。
タイのバンコクにある安宿へ泊ったのはよかったのですが、ベッドは一つ。行きたかった旅行とはいえ外国ですし、その上天気が崩れたために激しい雨音が聞こえてきます。それらの様々な要因が重なって、作者さんと「王子」は共に入ったベットのなかで身を寄せ合い一晩過ごすのです。
「王子」と作者さんが、そのあとどうなったのかというのは、ぜひ作品を読んでいただくとして、私がこのを読んだ印象は「シーグラス」のようでした。
「シーグラス」というのは、ガラスの破片が波にもまれて、角がとれ、表面に細かい傷が付くことで磨りガラス状のかけらになったもののことをいいます。作者さんにとって、当時の「王子」の気持ちを知った上で向き合う(もしくは思い出す)ことは、シーグラスのようにちょっと傷ついたものをみるようでいて、でも、どこか美しく、きれいなものを持っているようだなと思います。
作品を読む限り、作者さんは「王子」に慕われていたと思います。そしてきっと、作者さん自身も、彼女にそういう思いを持たれることは嫌ではなかったのではないかと想像します。そのため「王子」の気持ちに気づいて向き合っていたら、また別の未来があったかもしれない――と思いつつも、でも、最後まで読んでみる限り、作者さんは多分これで良かったと思っていることでしょう。そして「王子」との思い出を、美しいままに、ずっと持ち続けるのではないかなと思うのでした。
今日は『19歳の私と彼女のアジア旅』をご紹介しました。
それでは次回、またお会いしましょう。
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