第58話 『神様の贈り物』 楠瀬スミレさん

〇作品 『神様の贈り物』

 https://kakuyomu.jp/works/16817139554800539578

 

〇作者 楠瀬スミレさん


【作品の状態】

 短編。完結済。


【セルフレイティング】

 なし。


【作品を見つけた経緯】

 以前、この作者さんの『爆笑!お葬式』をここで紹介したことがあって、改めてその作品を読んでみたくなって訪問したところ、こちらの作品と出合いました。


【ざっくりと内容説明】

 雨の日の、親子の優しいお話。


【感想】

 皆さんは、雨の日はお好きですか?

「雨なんて服が濡れるし、髪はまとまらなくなるし、暗くて憂鬱になって好きじゃない!」と思う方もいらっしゃることでしょう。しかし、この作品を読んだら、雨の日の素敵なところを、感じたり思い出したりできるのではないかなと思うのです。


 主人公は、パートで働く主婦の「私」。

 その日は、朝からバタバタしていて、小学1年生の娘に傘を持たせるのを忘れてしまいます。


 ――車で迎えに行こうか。


 そう思う「私」。車なら学校まで8分くらいで着きますし、雨に濡れることも考えなくて済みます。しかし、そのときふと、「私」が幼かった頃、祖母が傘を持って歩いて迎えに来てくれたことを思い出すのです。

「私」は考えた後、雨に濡れたときのことを考えてお風呂などの準備を済ませると、傘を持って、まだ幼稚園の息子と一緒に娘を迎えに行くことにするのです。


 娘と息子が目にする、雨の日の世界。

 大人になって、毎日の忙しさや喧騒によって煩わしいと思っていた雨の日。しかし彼らを通して見られない景色を、「私」はまるで洗い立ての気持ちで眺めます。

 それがどういう世界だったのかは、是非『神様の贈り物』をお読みになって、雨の日の素敵な気分が味わってほしいなと思います。


 またタイトルの意味ですが、彼女の祖母が遺した言葉がキーワードになっています。その辺りの話は、普段の雨の日のように、どこか湿っぽいというか遠く離れてしまった祖母への寂しさと悲しさがありますが、雨の日の見方が変わったことで、こちらの印象もよい方向へと変化します。


 雨の日に対する後ろ向きな気持ちが、明るい方へと向くような気がする作品。

 良かったら読んでみてはいかがでしょうか。


 今日は『神様の贈り物』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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