7月 July

第20話 『枝葉末節にこだわる〈西洋中世の日常生活〉』 橋本圭以さん

〇作品 『枝葉末節にこだわる〈西洋中世の日常生活〉』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054886087056

 

〇作者 橋本圭以さん


【作品の状態】

 連載中です。


【作品を見つけた経緯】

 『モーパッサンはお好き ᕦ⊙෴⊙ᕤ』というモーパッサンの作品の解説をされている、柊圭介さんのレビューからお邪魔いたしました。また、橋本さんが私の作品を読んで下さっていたのもあり、「どんな方話を書いていらっしゃるのかな」と興味を持ったのも一つの理由です。


【ざっくりと内容説明】

 中世ヨーロッパの雑学が丁寧に書かれています。

 概要にも書かれていますが、ファッションや食事、医療、結婚、言語についても書かれてあり、ファンタジー小説を書いている方にとっては参考になるエピソードもあるのではないでしょうか。

 もちろん、ヨーロッパそのものに興味がある方も楽しめる内容です。

 ちなみに、イタリアの話題が多いかなと思います。


【感想】

 中世ヨーロッパで生活していた人々が「どういう暮らしをしていたのか」が書かれていますが、最初から驚くことばかりです。


 まず、第1話から衝撃的なタイトルで「野菜を食べるのは家畜とイタリア人だけ」とあります。この表題から考えられることは、「フランス人やドイツ人はあまり野菜を食べない」ということでしょう。作中ではそれについて言及されてはいないのですが、その代わりイタリア人がどれくらい野菜を食べるのかが書いてあります。

 もう、本当に沢山の種類の野菜を食べていて、イタリアに関してだけですが「中世のヨーロッパは肉ばかり食べている」というイメージが覆されました。


 また、キャベツもレタスもカボチャもほうれん草も、全部イタリアで採れる野菜なんですね。最近、イタリア野菜の「ロマネスコ」というブロッコリーとかカリフラワーに似ていて、でもゴツゴツした野菜を食べたんですが、結構おいしかったです。味に癖がないんですよ。というか、味が薄っすらとしかなくて、嫌いになりようがないという感じですが……(笑)食感というか、口当たりが独特なので、それが嫌いと言う人は食べられないかもですが。


 それから洋服についても書いてあるのですが、下着について触れているところがまた凄いなと思います。そういうのってどうやって調べるのでしょう。ドレスとか、着飾るようなものは結構資料として残っていると思うのですが、下着って中々ないのではないでしょうか。こういうニッチ……といったらいいのか、調べるのが大変そうな内容をカクヨムさんで手軽く読めるのは、ありがたいです。


 内容として面白いなと思ったのは、男性用のタイツの話です。

 中世ヨーロッパでは男性はタイツを履いていたんですね。日本だとタイツは女性が履くもの、という感じですが、当時のヨーロッパでは股引みたいなものだったのでしょうか。


 でも、今みたいにナイロン製の引っ張るとぎゅーんと伸びて、足にぴったりフィットというのはないので、まぁ、色々大変そうだったようですし、悲劇がおきてしまったこともあったようですが。


 それから、帽子の話。

 「他人の頭から帽子をむしり取るのは侮辱と同じとされ、法律で罰金を科せられた」(『枝葉末節にこだわる〈西洋中世の日常生活〉』~若者たちとヒヤシンス~より引用)と書いてあるのですが、これを読んで私は日本の平安時代に活躍した藤原行成の逸話を思い出しました。


 あるとき藤原行成ふじわらのゆきなり藤原実方ふじわらのさねかたと喧嘩をした際に、実方から烏帽子(資料によっては「冠」)を取られたのですが、行成は怒らなかったんです。それを見ていた一条天皇が彼を気に入って出世させたのですが、一方で烏帽子を取った実方は、左遷されたという話です。


 遠く離れた異国の話で、時代も違いますが、人の頭に載っているものを剥ぐと言うのは失礼なことなんですね。当然、今でも悪意を持ってやるのはやってはいけないことですが、通じるところがあるなと思いました。


 私は「食生活」と「服飾」の章までしか読んでいないのですが、項目を見る限り伝染病のことや当時の恋愛観や結婚観についても知ることが出来そうです。物事によっては、時代が変わるとその考え方も変わってくるため、これから読むのが楽しみです。


 今日は『枝葉末節にこだわる〈西洋中世の日常生活〉』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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