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いくらかの時間を共有して、確かに変な人だとは思った。
性格の悪い、でもそこが可愛い人。
ユーモアに溢れていて、とても頭の回転が速い賢い人。
ゆえに精神衛生上よろしくない極地まで、思考が辿り着いてしまう人。
それを踏まえたうえでも、彼女のそれは精神の障害と呼べる程度には至っていないと僕はその時は思っていた。
奇妙な言動も個性だと言い切ってしまえば、片づけられる。
だがあの時、あの凍り付いた表情が心に引っかかったのは確かだ。
あの明朗な仕草は意図的なものなのか。
心の内には誰にも打ち明けられない秘密があるのだろうか?
肌触りのいい殻だけ傷がなくて、中身は修復不能なほど壊れている。
そんな人間が寿命を全うするまでの永い時間、正気で生きられるだろうか。
そもそも、僕と過ごしたどの日まで、彼女は正気を保っていたのだろうか。
それとも、
彼女は当の昔に、僕が出会う前から、正気ではなかったのだろうか。
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