第185話 見て、天使がごみのようだわ!
パワーアップした奏を見て、ロキは流石に焦った。
「これは、流石に俺も手札を切るしかないね」
そう言うと、ロキは懐から黒い水晶玉を取り出し、天に掲げた。
すると、その水晶玉が光を放ち、砦を黒くて薄い膜が覆った。
そして、主を失って右往左往する天使達が一斉に倒れ始めた。
しかし、すこししてから天使達は何事もなかったかのように立ち上がった。
何が起きたのかと観察すると、天使達の目が赤く光り、突然唸り始めた。
「「「・・・「「ヴヴヴッ」」・・・」」」
「バアル、天使達の様子がおかしいぞ」
「おいおい、ふざけんなよ。ロキの奴、魔界の道具を持ち込みやがった」
「何を使ったんだ?」
「狂信玉だ。本来は、自分よりも弱い存在を無理矢理自分に狂信的にする道具で、ソロモン72柱がモンスターが操るのに使ってた物だ。俺様は実力行使で言うこと聞かせてたけど、そうじゃねえ奴もいたからな」
「なんでそんな物がここにある?」
「知らん。だが、これでロキは魔界、それもソロモン72柱クラスの悪魔系モンスターと通じてるのは間違いねえ」
バアルが不快感を隠さないで言うと、オーディンがバアルの後を引き継いだ。
「ロキよ、そこまで堕ちたか」
「堕ちたとは人聞きが悪い。俺はただ、世界を原点回帰させた時、どうなるか知りたいだけだ」
オーディンが咎めるように言うと、ロキはシニカルに笑った。
「原点回帰?」
「おや、オーディンが知らないとは言わせないぞ? 元始、天界と地球、魔界はすべて同じ世界だったのだ。ただし、大昔に神、ヒューマン、モンスターの住む世界は分けられ、退屈な世界になった。だから、俺は3つの世界を再び統一させた時、何が起こるのか知りたいんだ」
「そんなことのために、俺達の休暇を邪魔すんじゃねえよ。【
バチィッ! ズドォォォォォォォォォォン!
「がはっ!?」
オーディンとロキのやり取りを遮るように、奏は【
【
どうにか致命傷にならないように、体を動かしたことで、左腕を貫かれるだけで済ませたのだ。
だが、左腕に走る痛みは、ロキの肺から空気を吐き出させるには十分だった。
「【
ブンッ! グサッ!
そこに、オーディンも攻撃を加えた。
「チィッ、奏とオーディンをまとめて相手取るのは面倒だ。配下共、そいつらを殲滅せよ!」
「「「・・・「「ヴォォォォォイ!」」・・・」」」
地面が揺れるような低い声が、正気を失った天使達から発せられ、奏達に向かって天使達が突撃した。
そして、ロキはこの場から撤退した。
「【
天使達の突撃を前に、楓がスキルを連続して発動した。
【
「バアル、伊邪那美、サクラ、楓と悠を頼む」
「任せろ」
「任せるえ」
「うん!」
「オーディン、義弟の始末をつけるんだろ?」
「勿論じゃ。儂も戦うぞ」
「わかった」
「紅葉、響、天使達の数を減らしてくれ」
「任せなさい。無双してあげるから」
「任された」
「オシリス、自分の身は自分で守れ」
「わ、わかった」
「楓、回復と守備は任せたよ」
「はい。誰も死なせはしません」
「頼んだ。じゃあ、行ってくる」
指示を出し終えると、奏とオーディンはロキを探しに飛んで行った。
「さて、私達も行きますか」
「頑張れ、紅葉無双」
「響も頑張りなさいよ。アランのレベル、この戦いで100になるんじゃない?」
「・・・わかった」
「ピエドラ、乗せて!」
「了━d(*´ェ`*)━解☆」
「アラン、よろしく」
「了解でござる」
紅葉と響は、ピエドラとアランに乗って結界の外側へ出た。
天使達の上の位置を取ると、紅葉は天使達の戦力ダウンを狙った。
「【
ボワワワァァァン。
紅葉の目が紫色に光ると、紅葉の目から放射状に紫色の光が放たれた。
紫色の光が、天使達を包む光にぶつかると、天使達の動きがかなりゆっくりになった。
「次、僕の番。【
ゴポポッ、ヒュッ、ジュワァァァァァッ!
「「「・・・「「ぎぃぃぃゃぁぁぁあぁぁぁっ!?」」・・・」」」
動きが鈍った天使達に対し、橙赤色の液体が降りかかると、天使達の体が融け始めた。
その痛みに、天使達は絶叫するのだが、【
「無暗に苦しませるつもりはないわ。【
ゴォォォォォッ! ドガガガガガァァァァァン!
紅葉がスキル名を唱えると、天使達のいた場所が劫火に包まれ、そのすぐ後に連続して爆発が起こった。
【
「見て、天使がごみのようだわ!」
「ΣΣヽ(・Д´・゚+。)ェっ‥マジっ」
「ムス〇大佐乙」
「・・・響のえぐいスキルで苦しまないように、楽にしてあげたんだから、これぐらい良いでしょうが」
「天使達が哀れだ。紅葉、これだけは言える。全滅だよ。ロキは数百の燃えるごみを生産したに過ぎない」
「響の方が、私よりも言ってること酷くない?」
「(°□°)⊅!!エッ」
意見を求められ、ピエドラは困った。
ピエドラからすれば、五十歩百歩だったので当然だろう。
それはさておき、紅葉は違和感に気づいた。
「おかしいわね」
「何が?」
「【
「・・・確かに。天使ともなれば、アランをレベルアップさせる経験値があっても不思議じゃないのに、なんで?」
紅葉と響が首を傾げていると、迦具土が口を挟んだ。
『神の声が聞こえるのは、戦闘が終わったらなのじゃ。ロキが奏とオーディンによって引き離された以上、まだ敵がどこかに潜んでおるとしか考えられないのじゃ』
「なるほど」
「月読、どこにいるとかわからないの?」
『地中だよ』
「アォォォォォン!」
月読がそう口にした途端、遠吠えと共に黒い巨大な狼が地面が割れ、その中から飛び出した。
「これが敵ね」
「そうみたい」
『ガルムじゃな』
「北欧神話の地獄の番犬だっけ」
「見た目は狼だけどね」
神話と見た目が若干違うので、紅葉も響もそれぞれの認識が合っているか確かめ合った。
「まあ、倒しちゃうんだから、犬でも狼でも良いよね?」
「同感」
とは言うものの、すぐにどっちでも良いという結論になったのだが。
「アォォォォォン!」
ヒョォォォォォッ!
ガルムが鳴くと、ガルムを中心に吹雪が周囲に広がった。
「【
ゴォォォォォッ! ドガガガガガァァァァァン!
紅葉がスキル名を唱えると、ガルムのいた場所が劫火に包まれ、そのすぐ後に連続して爆発が起こった。
吹雪を上回る火力のおかげで、爆炎が収まると毛が所々焦げたガルムの姿があった。
「あれ、まだ生き残ってた。しぶといわね」
「紅葉は詰めが甘い。【
グサグサグサグサグサッ!
「キャウン!?」
ガルムの足元から、無数の槍が突き出し、ガルムの体を串刺しにした。
しかし、ガルムはまだ倒れなかった。
「HPが高いのかしら?」
「マジでしぶとい」
「ねぇねぇ、仕留めそこなった訳だけど、今どんな気持ち? 私は詰めが甘いんじゃなかったっけ?」
「・・・絶壁煩い」
「あれぇ、反論が見つからないとそれしか言えないなんて、馬鹿の一つ覚えね」
「OK。その喧嘩受けて立つ。先に倒した方の勝ちね。【
「うわっ、汚い! 【
ゴォォォォォッ! ドガガガガガァァァァァン!
響に先を越されまいと、紅葉が慌ててスキル名を唱えると、ガルムが劫火に包まれ、そのすぐ後に連続して爆発が起こった。
それでも、まだガルムが倒れることはなかった。
「【
ズズズズズッ、スパァァァァァン!
紅葉が倒し切れないのを見越して、爆炎が収まった瞬間を狙って響が攻撃したが、ガルムはまだ倒れなかった。
「嘘っ、首を斬ったのに傷口が治った?」
確かに、響の【
だが、斬った瞬間から傷口が塞がったのだ。
ただし、HPが全快した訳ではないらしく、ガルムの毛はあちこちが焦げており、致命傷だけを防いでいるようだった。
「これは、本格的におかしいわね。よし、ピエドラ、食べちゃいなさい」
「ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"(๑´ㅂ`๑)ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"」
正攻法で倒せないので、紅葉はピエドラに食べてもらうという奥の手を使った。
【
《おめでとうございます。個体名:秋山紅葉のパーティーが、人類で初めて
《アランはLv98になりました》
《アランはLv99になりました》
《アランはLv100になりました》
《アランは【
神の声が告げた
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