第30話 俺のスキル、どんどん俺を甘やかすじゃん
ゴブリンキングの体が消えると、神の声が奏達の耳に届き始めた。
《おめでとうございます。個体名:高城奏が率いるパーティーが、世界で初めてキングモンスターが統治するダンジョンを踏破しました。初回特典として、日本にいる【
《おめでとうございます。個体名:高城奏が、世界で初めてキングモンスターをノーダメージで倒しました。初回特典として、<城壁>の称号を会得しました》
《<喧嘩師>と<城壁>の称号が統合され、奏は<鋼鉄軍師>の称号を会得しました》
《奏はLv40になりました》
《奏はLv41になりました》
《奏はLv42になりました》
《奏の【
《楓はLv38になりました》
《楓はLv39になりました》
《楓はLv40になりました》
《楓の【
《紅葉はLv35になりました》
《紅葉はLv36になりました》
《紅葉はLv37になりました》
長いリザルトに、若干疲れてしまった奏だったが、そんな奏にバアルが追い打ちをかけた。
『おい、奏! ゴブリンキングのモンスターカードがドロップしてやがる! 吸収しようぜ! 俺様ワクワクすっぞ!』
「はいはい」
ごねられるのも面倒なので、奏はボス部屋にドロップした魔石とゴブリンキングのモンスターカードをバアルに吸収させた。
シュゥゥゥッ。
《バアルはLv40になりました》
《バアルはLv41になりました》
《バアルはLv42になりました》
《バアルの【
《バアルは【
『ケケケ、こいつは愉快だ! たかがゴブリンキングを倒しただけで、【
スキル構成が自分の希望に近づいたことで、バアルのテンションは天井知らずだ。
奏としては、ゴブリンキングのモンスターカードよりも、ダンジョンボスを倒したことで手に入るマテリアルカードが気になっていた。
だが、ここまで手放しに喜ぶバアルを見てしまえば、そんな考えは吹き飛んでしまった。
ゴブリンキングを倒したことで、奏の目の前には宝箱が現れ、部屋の隅には青い光を放つ転移陣が現れた。
宝箱が目の前にあり、ボス部屋の宝箱にはバアル曰く罠が仕掛けられていない。
そうなると、開けてみたくなるのが人情だが、奏は自分で開けはしなかった。
宝箱を開けるよりも先に、ゴブリンキングの叫び声によって腰を抜かした楓と紅葉の所に向かうのを優先したからである。
「大丈夫か?」
「は、はい。なんとか大丈夫です」
「私も大丈夫。乙女の尊厳は守られたわ」
乙女の尊厳を守ったとは何かと奏は考えたが、すぐに漏らさなかったことだと理解し、奏は紅葉の発言をスルーした。
そして、立ち上がれていない楓に手を差し伸べた。
「楓、ありがとな。楓のおかげで、俺は無傷でゴブリンキングを倒せたよ」
「お役に立てて良かったです」
奏に補助されて立ち上がりながら、楓は満面の笑みで応じた。
楓を立ち上がらせると、奏は紅葉を勢いよく引っ張り上げて立ち上がらせた。
しかし、紅葉は少し不満そうだった。
「おかしい。楓の時のような優しさは何処へ?」
「どこにもない。助けてくれた楓に優しくするのは当然で、何もしなかった紅葉は立ち上がる補助をしてもらえただけありがいと思わないか?」
「ぐぬぬっ、確かに、【
自分でも、できたはずの補助をし忘れたことで、紅葉はばつが悪そうな表情になった。
「紅葉、これが最後だ。マジで真剣になれ。お前の【
「・・・ごめんなさい。正直、私TUEEEな気分が抜けてなかったです」
「だろうな。ガチでやったら、紅葉なんて俺が3秒で倒せるんだから、調子に乗るな。それと、楓を不安にさせるな。良いな?」
「はい」
「じゃあ、説教終わり。頼むから、今後はつまんねえことさせんなよ?」
奏だって、楽しくて紅葉に説教しているつもりはない。
今の地球で協力して生き残るために、紅葉の舐めた態度を改めてほしかったのだ。
そんな奏の姿を見て、楓はといえば・・・。
「エヘヘ~。奏さんってば、私のことちゃんと見てくれてるんだ~」
デレデレだった。
かつてない程のデレ具合だと言えよう。
それから、奏は楓に宝箱を開けるように指示し、楓はそれに従った。
楓のおかげで、自分は無傷だったと印象付けるために、楓に宝箱を開ける役割を任せたのだ。
宝箱の中には、奏達には読めない文字がちらりと見える羊皮紙の巻物が入っていた。
『へぇ、こんな所で出て来たか』
「バアル、これはなんだ?」
『
「どんなスキルが記されてるかわかるか?」
『あったりめえよ。これは【
「えっ、私ですか?」
バアルに指名され、楓は奏の顔を見た。
「そうだな。これは楓のものだ。何度も言うけど、今回の勝利は楓がMVPだから、楓に使う権利がある。覚えたら、また上手く使ってくれ」
「は、はい! わかりました! 任せて下さい!」
楓の目にやる気が溢れ、楓は【
《楓は【
「よし。他にやることはもうないだろうし、最後に全員のデータの確認をしよう。【
「わかりました。【
「了解。【
奏達は、お互いが見えるように念じ、各々のデータが載った画面を展開した。
-----------------------------------------
名前:高城 奏 種族:ヒューマン
年齢:25 性別:男 Lv:42
-----------------------------------------
HP:410/410
MP:410(+410)/410(+410)
STR:410(+410)
VIT:420(×1.5)
DEX:410
AGI:420
INT:410
LUK:410
-----------------------------------------
称号:<疾風迅雷><鋼鉄軍師><簒奪者>
職業:
スキル:【
-----------------------------------------
装備:バアル Lv:42
装備スキル:【
【
-----------------------------------------
-----------------------------------------
名前:秋山 楓 種族:ヒューマン
年齢:20 性別:女 Lv:40
-----------------------------------------
HP:230/230
MP:230/230
STR:225
VIT:225
DEX:235
AGI:225
INT:235
LUK:235
-----------------------------------------
称号:<救命者><先駆者>
職業:
スキル:【
-----------------------------------------
装備:ヤドリギの杖
-----------------------------------------
パーティー:高城 奏・秋山 紅葉
-----------------------------------------
-----------------------------------------
名前:秋山 紅葉 種族:ヒューマン
年齢:25 性別:女 Lv:37
-----------------------------------------
HP:185/185
MP:185/185
STR:185(+35)
VIT:185(+25)
DEX:235
AGI:195
INT:195
LUK:185
-----------------------------------------
称号:<
職業:
スキル:【
-----------------------------------------
装備1:ジャンクランスVer.7
装備1スキル:【
装備2:ジャンクガントレットVer.5
装備2スキル:【
-----------------------------------------
パーティー:高城 奏・秋山 楓
-----------------------------------------
「みんな伸びてるな。バアル、<鋼鉄軍師>は、VITの数値を1.5倍にするだけなのか?」
『んな訳ねーだろ。近接戦闘スキル発動時、その威力が2倍になる』
「【
『行ったことがある場所に、一瞬で移動できるぜ。奏に触れていれば、他の奴も移動できる優れものだ』
「俺のスキル、どんどん俺を甘やかすじゃん」
『ご都合主義ってやつだな。ちなみに、【
「何それ怖い」
名前からして、強そうなスキルだとは思っていたけれど、まさか動きを止められるとは予想外だったので、奏の顔が引きつった。
そんな奏の表情から、話題を変えた方が良さそうだと判断し、楓はバアルに質問した。
「バアルさん、掲示板機能ってなんですか?」
『Lv2以上の奴らとチャットできる機能らしい。【
「解放されたばかりじゃ、まだ誰も書き込んでないんじゃね?」
「甘いわよ、奏君。生き残ったLv2以上のゲーマーがいれば、すぐさま書き込むに決まってるわ。私達も見てみましょうよ」
自分もその1人だと言わんばかりの口調に押され、奏と楓も紅葉と一緒に掲示板機能を使ってみることにした。
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