放課後の集まり



『2年の保健委員の生徒は、放課後保健室横倉庫へ集まってください。繰り返します。2年の保健委員の……』


 保健委員って……私だ!

 よりによって放課後!?迎え間に合うかしら?


「……」


 ホームルーム待ちの時間、そんな放送が流れた。

 もっと早く言って欲しいよね!


 チラッと青葉くんを見ると、スマホを指差しながら私に視線を送ってきてた。……スマホ?


「あ……」


 見ると、青葉くんからラインが。

 20分以上かかりそうだったら、双子の迎え行ってくれるって内容だった。……学童に連絡すれば大丈夫かな。あそこ、家族以外の受け渡ししてくれないのよね。電話で聞いてみないと。


 とりあえず、お願いしちゃお。青葉くんが居てくれて助かったわ。

 夕飯は買ってあるし、心配なのは双子だけね。


 私は、青葉くんにラインを返す。すると、「了解」と書かれた可愛い猫のスタンプが送られてきた。これ、なんのキャラクターなんだろう?


「梓ー、どんまいー」

「急すぎるよね」


 放送を聞いていたのか、マリが笑いながらやってきた。私は、急いでラインの画面を閉じる。……別に、秘密にしてるわけじゃないんだけどなんかね。


「でも、すぐ終わるらしいよ。理花りかちゃんが、備品確認するって言ってたから」

「理花が言うなら正確ね」

「後期分の予算出しのためだって」

「へえ。大変ねえ、生徒会も」


 理花……佐渡さわたり理花は、生徒会副会長で、隣のクラスの子。明るくてハキハキ喋るところが好きで、私もよく理花とおしゃべりするんだ。

 どっちかというと、マリの方が親しいかな。1年の時同じクラスだったみたいだし。


「早く終わるといいなあ」

「ねー」



***



「……」


 放課後。昇降口に行くと、今一番会いたくないやつと鉢合わせしちった。

 もちろん、青葉だよ。あいつ、昇降口前のベンチに座って空なんか見てんの。……何してんだ?


「……暑くねえの?」

「え?」


 日差し結構あるし、これじゃ熱中症になるだろ。

 俺は、無意識に声をかけてしまった。


「あ、眞田くんだ。さっきは、定規ありがとう」

「いいって。それより、ここ暑いだろ。帰んないの?」

「待ってる人居るんだ」

「……鈴木だろ」

「…………」


 わかりやすいわ。

 表情!少しは隠せっての!


 俺は、イラつきながらも青葉の隣にドカッと座り込む。

 こうなったら、とことん聞いてやる!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る