徒花、 咲いても実を結ばずに散る花と言われていますが、本作品はその名を宿すに相応しい物語となっております。世界観は中世の西洋を彷彿させるものです。その世界観こそが見所の一つではないかと感じています。物語を際立させる醍醐味と言えます。
血の繋がりのない姉弟、姉のシルティと義弟のセドリック。二人の出会いは運命的なものと言えます。それは神が与えた悪戯なのかもしれません。二人は順調に家族愛を深めていきますが、それは本当に純粋な姉弟愛とばかり思っていました。ですが、両者の思惑は歪な情愛へと変わっていくのです。それは棘の道を辿って禁忌の獄への行く末……。
冒頭で述べた、徒花。これを思い浮かべて読み進めれば、読み手に合わせた様々な結末を魅せることになります。それこそが本作品の真骨頂とも言えます。
読み手を選ぶ作風ですが、好奇心旺盛な方には是非ともおススメしたい作品です。美麗な描写と濃厚なシーンが禁断の愛とは火傷程度では済まないことを教えてくれます。
自主企画に参加した作品の中から、タイトルが気になったので読みに来ました。
最初は戦国武将の話かと思ったのですが、そうではなく、西洋の貴族家の恋愛模様を短く書いた作品でした。
一言でいうならば、短くて面白かったです。
貴族家のもとへやって来た義弟、セドリック。
その可愛さにヒロインのシルティは参ってしまいます。
セドリックもシルティのことを姉と慕うのですが、シルティは婚約を結ぶ運びになったようです。
一見幸せに向かうと思われた、シルティは、あるものを目撃してしまい……。
という作品でした。
読む前は「こういう展開なら嫌だな」と感じていたのが、見事に払拭され楽しめました。
暗いお話が嫌いな人でもこれなら楽しめるのではと思います。
ぜひ、読んでみてください。