怖い怖いテレビ番組の裏(笑)

徳兵衛

第1話 ワニVS私

昔のバラエティー番組では、危険動物とのふれあいが流行っていた。


虎とキス

大蛇に巻かれてみる

熊とプロレス


などなど今ではあり得ない危険な企画が沢山あった。


『ワニ・プロレス』

今回のロケのお題だ。


ある施設(名前を伏せます)から、ワニをお借りしての撮影になる。

ワニを持ってきた施設の方(飼育員さん)から、ワニついての説明があった。

今回のワニは、「アリゲーター」という種類。

噛む力が以上に強いので、口を開けたら近寄らない。

瞬発力はあるが、普段はそんなに早い動きはしない。

尻尾の力が強く、足に当たると大怪我をするかもしれないので2mは最低離れてほしい。

以上の注意事項があった。


私達もこんな近くでワニに接するの初めてだ。


タレント対ワニ


お互いの睨み合いから撮影は始まった。

ワニがゆっくり2・3歩前にでる。

ビビるタレントといった事が繰り返される。


休憩中、

「もっと近づいた感じでカメラいけないかな。

緊迫感ほしいよね。」

という言葉を受けて、私とワニとの距離1m以内に迫った。

恐る恐るだったが、意外と大人しい。

っていうか動かない。

撮影は順調だった。

ワニの鼻先50cmにカメラ、大丈夫だ。


タレントも大分ワニ対しての恐怖が無くなっていた。

ワニとの睨み合いも近い。

ボディタッチとやれるようになってきた。

慣れは怖い。

そこにいるのは生きたワニなんだが、剥製の如く思えてきた。


私が

「もう少し、右にいかないかな。」

「ちょっと動かしてみます。」

と言って、ADが尻尾をつかみワニの体を動かしはじめた。

「なんだワニ動かせるじゃん。」

スタッフ全員が、ワニを右に左へ。


それからもワニをこちらが良いように尻尾を持っては動かした。


私は何を思ったか、ワニに跨がりたくなってきた。

こんだけ動かなければ大丈夫と思い決行へ。

後ろ脚付近から乗ってみた。

スタッフからは羨望の眼差しが。

私はワニに勝った気がした。


すかさず飼育員さんから

「ワニが死んじゃう。

なんて事をあなた方はしてるんですか。」

「もう撮影は良いですよね。」

と怒らせてしまった。

「えっ!ワニ死んじゃうの?」

そんなに弱い動物だった事をこの時知った。


ワニは体温調節が難しい動物である。

体温が上昇した為に、動かなくなったのだ。

それを人間が無理に動かすものだから、ワニもたまったものじゃなかった。


私達は怒られ、早々にワニはお帰りになった。


陸上ならワニは怖くないと自信だけがついたのは、ここだけの話だ。




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怖い怖いテレビ番組の裏(笑) 徳兵衛 @bu-syuka

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