『夢』

『夢』

今日も学校から帰ってクタクタ。

私は高校一年。兄貴たちと同じ学校に通っている。だけどそれって私のコンプレックスを痛め付けるだけでちっとも良いことがない。

兄貴二人はお母さん似で、同級生の間でも憧れの先輩らしく、私の廻りにも兄貴目当てで近づいてくる頭の悪そうな女たちが近づいてくる。

私は父親似らしくて、顔の輪郭も髪質も肌の色艶まで兄貴たちとは正反対。顎なんてなんだかケツアゴっぽくて最悪。卒業したら即整形したいくらいなのに。

なんで私が男に生まれなかったのか考えたらイライラしてくる。私を可愛いとか言ってくるのは生まれてこのかたお父さんくらいのもんだよ。

まあお父さんは優しくしてくれるから構わないけど、兄貴たちはほんとむかつく。ひとりは全く私をシカトするし、もうひとりは変にじゃれついてきたりしてキモいんだよ。学校でたまに兄貴の話題になってそんな話をしたら、逆に羨ましがるオンナたちもキモい。お前は兄弟にハグされて喜ぶ変態かよ！

結局私に近づいてくる女子たちはだいたい下心ばっかりで、私の事好きで仲良くなるやつなんかいないんだよ。ほんと腹立つ。

ああ私も男に生まれたかったな。

ケツアゴだって男ならそれなりにかっこ良かったかもしれないし、太くて短い指も逞しい二の腕もプラスに働いたんじゃないかなって。

だいたい兄貴はなんで色白で私が浅黒いんだよ。二人とも勉強はできるみたいだけど、私はアンタたちのおかげで愛想振り撒いていい妹アピールしなきゃ相手にしてもらえないんだよ。

勉強できるなら妹の苦労を忖度してもっと私に優しくしろ。でなきゃそんな頭はないのも一緒だよ。

昨日腹立てながら寝たら、変な夢見たよ。

朝起きたら私が男になってて、女子からキャーキャー言われてて、男子からもコクられる夢。

いい夢だったなあ。朝起きて男になってたらいいのに。今起きて漸く夢だとわかってショックだったなあ。はああああ…

あれ？なんか股間が凄く痛い…腰をハンマーで叩かれてるみたい。なんだこれ…

思わず股間を両手で押さえるとそこにははち切れそうな何かがパジャマから覗いていた。