めちゃクセ強い屋台見つけた

 オレは作品を作るときは、なるべくリアルな要素を入れることにしている。

 フィクションと違い、生身の人間からは予想外のネタが手に入るからだ。

「誰も注目していない」ことも、新しいアイデアを取り入れるのに重要だったりする。


 最近だと、「HJテーマコン」に備えて、「異世界グルメモノ」でもう一発なんか面白いものできんかなーと、屋台や厨房の動画などを片っ端から見ている。


(「現代ダンジョンモノ」は、あきらめた。設定を描写するだけで、一〇万文字の半分使うんや。しかも説明ばっかりでドラマが面白いかと言うと……)



 地元が大阪なので、「西成 やまき」ももちろんチェックしてる。

 見る度に、毎回「うまそう」と思って、キモを自分で焼くのだ。


 オレ的に一番クレイジーな店といえば、孤独のグルメにも出演した、群馬県にある『餃子タンメン 一番』の大将だと思っていた。

 80を超える前店主の跡をついで、三〇ながら大将になった人物だ。


(ドラマでは高齢の大将が応対し、今の店主は当時見習いの出前持ちだった)


 彼はヤバくて、奥さんも子供もいるのに18時間店に立ちっぱなしというクレイジーさだ。

 休憩時間は、カウンターで30分寝るだけという生活。

 ギョーザの皮を伸ばす作業中に「休憩しないんですか?」と取材班が聞いたら、「今だよ?」と言う始末。

 ワンオペで、人を雇うこともしない。



 しかし、極めつけは福岡にいた。

『屋台 けいじ』という店が、福岡にあるらしい。


 屋台紹介動画で発見したんだが、大将のクセがやたら強い。


 この店面白いよ。ハイボールがラーメン鉢で出てくるのだ。

 おでんや焼き鳥を作りながら飲み、客と会話までこなす。

 人をバンバン入れていくのは「それは飲食店の仕事でしょ」と、目の前の客をさばくことに全集中してる。

「待ちたい人は待っててね」というスタンスだ。

 焼きラーメンが売りだったかな?


 彼の中でヨモギは「ジャパニーズマリファナやけん」という話だ。


 三八年前に親戚が始めた屋台を、親戚が体調を崩してから、今の大将が引き継いだらしい。

 それまでは、宮大工やエンジニアなどをしていたとか。


 屋台を引くだけでも大変なのに、全部手作りだという。


 自宅から屋台まで荷物を往復運搬中、玄関前においていたラーメン用スープを蹴飛ばして台無しにしたことがあるらしい。


「こんなに忙しいのに、身体とか大丈夫なん?」

 

 と思わせるくらい、笑わせてくれる。


 カメラマンをも邪険にせず、ちゃんと応対をする。



「ハッピーニューイヤー」って。あんた半袖やぞ?



「いつかぶっ壊れるだろうなアハハw」と笑っているが、マジで大丈夫なのかと心配するほど。

 とはいえ、こういう人は「止まったほうが死ぬマグロみたいな超人」だったりするからなあ。

 心配するのは余計なお世話なのかも?


 最近だと「露天ポーション売りの少女」が書籍化されたと言うので、こういうグルメ屋台系もやりようによってはウケると思うのだ。


 創作サイトにおいても、屋台的に「読みに来た人にじっくり対応する」というスタンスができるかも、と、考えさせられた。


『屋台 けいじ』のクセツヨはクセになるので、好きになる人がいると思う。


 みなさんもぜひ、動画サイトで検索してみるといい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る