第1話 中学生活最後の新学期

 俺の名前は、神崎佑かんざきゆう。今年中学3年になった。

自分で言うのもなんだが、特に得意なこととか周りよりも突出とっしゅつした特技とかはない、ただの中学生だ。

 ただ、周りとちょっと違うのは女子の幼馴染おさななじみが居ることだ。

しかも、かなり美人な。

「佑くんおはよ〜」

「おはよう」

「今日から新学期だね〜うちの学校は毎年クラス替えあるから、今年も佑くんと同じクラスになれないと少し寂しいな...」

「別に毎年一緒のクラスじゃなくてもいいだろ」

 それが、今俺の隣にいるこの花守凛音はなもりりんねだ。

 凛音は美人で頭もいいから周りからの人気が凄い。あと、めっちゃ男子からモテる。

 それに対して俺は、勉学は中の上で運動もそんなに得意でもなく顔も自分から見てそんなに良くないと思う。結果、全くモテない。

「じゃあ、佑くんは私と一緒じゃなくて寂しくないの?」 

「...別に。というか、毎日登下校一緒なんだからクラス一緒じゃなくてもいいだろ。」

「まぁ、それもそうだね〜」

「あと、いつもながらなんだけど周りからの視線凄くないか...?特に、男子からの視線が...」

「ん?そうかな〜?」

そもそも皆、俺と凛音が幼馴染ということを知っている。だから、凛音と一緒に登校していても怪しまれないし、一緒に歩いていても気にしてないと思う。多分。

 因みに言っておくと、俺は凛音のことを恋愛的な目で見ていない。好きではあるが、LoveではなくLikeの方だ。凛音が俺の事をどう思ってるか知らないが、多分Like的な好きだろう。そうじゃなきゃ困る。

「そういや、今日も学校終わったらウチに来るのか?」

「そうだね〜、1回家帰ってその後だから13時くらいになるかな。」

 そんな日常的な会話をしていると学校が見えてきた。校門の近くには桜の木が満開に咲き誇っている。少し風が吹いてきて桜の花びらが散り、桜吹雪さくらふぶきになる。

周りから少し歓声が上がった。

「祐くん、桜綺麗きれいだね〜」

「そうだな。でも、少し経ったら葉桜はざくらになるからちょっと寂しいよな。」

「言われてみれば、確かにそうかも!」

桜の話に花を咲かせながら歩いていると、ようやく昇降口しょうこうぐちに着いた。

 俺たちの学校は少子化のせいで、全学年クラスが4クラスになっていて1クラス30人程だ。だから、俺と凛音が同じクラスになる可能性は必然的に少しだが高くなる。

 昇降口に張り出されたクラス表を見ると、

同じクラスになっていた。

(因みに、出席番号順は誕生日順)

「見て!また同じクラスだよ!2組だって!」

「ホントだな。良かったじゃん。」

「なんか、すごく他人事ひとごとみたいに言うね。...私と同じクラスじゃ嫌なの?」

「そ、そんなことないぞ?嬉しいに決まってるじゃん。」

同じクラスだろうが、同じクラスじゃなかろうが正直、俺はどっちでも良かった。人に言えば冷たいと言われるだろうが、毎日一緒にいるのでクラスは別でもいいだろとさっきと言っていることが違うかもしれないが、ほんの少し思ってしまう。

「とりあえず、教室に行くか。」

「そうだね!」

うちの学校は創立40年目のまぁまぁ古い学校ではあるのだが、改修工事が度々行われているので、そこまで汚い感じはしない。因みに、4階建てで3年生の教室は2階にある。

「新しいクラスは祐くん以外に誰がいるのかな?」

「多分、じゃないか?」

「有り得るかもね。」

と、凛音は軽く笑った。

 俺たちは上履うわばきに履き替えて、階段をのぼり新しいクラスのドアの前に着いた。

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君と僕の4年間 浅葱 星垂 @Spica_00

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