第10話 エピローグ
「大変なことになったわね」
ステータスウィンドウに表示されたスキル一覧を眺めながら、あまり大変でもなさそうな口調でスカーレットが言った。
「私たちのシンデレラを手籠めにしようとしたのだから自業自得よ」
ヴァイオレットは興味なさげである。
「私は、こうしてお姉さまたちと仲良く話せるようになったので結果オーライですっ」
シンデレラは姉たちが自分のために話を「シンデレラ」のストーリーに乗せるために自分を邪険にしようとしていたことを十分に理解していた。その割に、自分のことが好きすぎて意地悪できないでいたことも、ことあるごとに家具や食べ物を持ってきたり、小鳥やネズミを装って話し相手になってくれたりしていたことを理解していた。その不器用すぎる愛を好ましく思っている。
「シンデレラ~~~」
「妹よ~~」
あまりの笑顔のまぶしさに、二人は絶対この笑顔を守って見せる!と決意を新たにする。
「でも裏切ったらダイフクで両目をぶっ潰しますからね♡」
「「お、おう」」
とにかく、ここから先、シンデレラストーリーは存在しない。道標は失われた。幸せになれるかどうかはすべて自分たちの手に委ねられている。不安はなかった。この三人がいれば何でもできる。そんな気がした。
「私たちはようやくのぼりはじめたばかりだからな」
「このはてしなく遠い乙女坂をよ……」
「未完っ!」
私達の妹は絶対にシンデレラになる! 幌雨 @lord_hollow
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