第2話 この世界は…
目が覚めた僕は、自称勇者見習いのアインに出会った。倒れていた僕を看病してくれた彼は、何も知らない僕にこの世界のことを教えてくれた。意外だったのは、”別の空間から飛ばされてきた”という、にわかには信じがたい話をアインは理解してくれたことだ。
ひとまずアインが言っていたことをまとめると、
「この世界はいくつかの種族に分かれているということ」
「かつては種族間の争いが絶えなかったが、”エイレーネー”と呼ばれる女神の手によって争いは終わったということ」
「そして、”エイレーネー”の死によって再び種族間のにらみ合いが始まりつつある」ということだった。
(改めて考えても面倒な物語に飛ばされたもんだなぁ…)
アインに連れられてきた小屋はいかにも簡易的で、おそらく木と藁と土を固めて作られたものだろう。それはアインの家がある村全体に言えることで、裕福な暮らしとは程遠い生活だと見てとれた。
採ってきた草花をすり潰しているアインに、ふと気になったことを尋ねた。
「ねぇアイン。君は一体何の種族に属してるんだい?この村は何族が住んでいるの?」
その言葉を聞いたとき、横顔からでも表情が曇ったことを僕は見逃さなかった。何か都合の悪いことなのかもしれない。
「あぁ言いたくなかったら無理に答えなくていいんだ。ただ…」
「ただ…?」
アインは少し神妙な顔をして僕の言葉を聞き返した。
(変に気遣ってもしょうがないか…。思い切って聞いてみよう)
「君はヒトの姿をしているのに、この村にはヒトとはずいぶん容姿が違うものも暮らしてるよね?さっきの話だと、種族間の仲はあまり良くないんじゃなかった?」
少しの沈黙が流れる。
たった3秒ほどの沈黙だったが、アインはその時間で腹をくくったようだった。
「サンティ、少し悲しい話を聞いてくれるかい?出会ったばかりの君にこんな話をするべきか迷ったけど、この世界で生きていくなら絶対に知らなきゃいけないことさ」
アインの真剣な表情が話の重大性を物語っている。
物語の調整役としてもこの世界のことは知っておかなければならない。
僕は静かに頷いた。
「この世界はいくつもの種族が存在しているけど、大きく二つに分けることができるんだ。それが”優等種”と”劣等種”。始まりは100年前にさかのぼるんだけどね…」
物語の展開は僕次第って大丈夫!? 星と凪 @hosiai_no014
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