第150話 装備を調えよう

 次の日、訓練の前に完成した武器を手渡すと、みな喜んでくれた。


「家宝にいたしますわ!」

「喜んでくれるのは嬉しいが、武器はあくまでも消耗品だからな」

「弓だけでなく短剣も……すごくうれしいよ!」

「素晴らしい剣です。ありがとうございます」


 それから新しい武器を使っていつもの訓練をした。

 訓練を終えて休憩時間に、俺は皆に言う。


「俺の武器制作能力向上のためにも、三人ともなにか不満や要望があったら言ってくれ」

「今のところ不満な箇所は本当にないんだ。すごく使いやすいよ」

「わたくしの杖も素晴らしいです。これほど使いやすい杖を持ったことはありませんわ」

「そうか。もし改善点を思いついたら言ってくれ。アルティはどうだ?」

「とても使いやすいですが、ここの部分が……」

「なるほど。剣を貸してくれ」


 アルティに要望された部分をその場で微調整する。


「これでどうだろうか」


 アルティは剣を数度振った。

「すごく良くなりました。ありがとうございます」

「なら、よかった。これからも何か思いついたら言ってくれ」

「はい」


 そのときドゥラが奥の工房から箱を持って出てきた。


「ドゥラ、フク、ツクッタ」

「ほほう」

「アルティたちのフク。キテミテホシイ」

「よいのですか?」

「キニイルとイイノダケド」


 箱の中にはアルティ、ロゼッタ、ティーナの服が入っていた。

 俺がドゥラに作ってもらった服と素材は同じなようだ。


 デザインや色は、これまでのアルティたちの着ている服と同様だ。


「ヒトのデザインは、ドウイウのがヨイのかワカラナイから……」

「ありがとうございます。早速着てみますわね」


 アルティたちは隣の部屋に行って、服を着替えて戻ってきた。


「ドウ?」

「素晴らしいよ! すごく動きやすいし、サイズもぴったりだし……」

「ありがとうございます。これほど素晴らしい服は着たことがありません」

「サイズよくわかりましたわね」

「ヨクミタから」

「見ただけでわかるとは、さすがドゥラさんですわ」

 ドゥラは皆に褒められて、嬉しそうに照れていた。


「武器も服も新しくなって、合宿も気合いが入るってもんだよ! ね、ウィル」

「ああ、そうだな」


 アルティたちは武器と服が新しくなっただけでなく、祝福されてもいる。

 そのうえ、毎日努力を欠かしていない。

 戦力として格段に成長しているのは間違いなさそうだ。

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