幼なじみ同士の高校生の男女が、放課後の校舎裏で告白したりされたりするお話。
ド直球の青春恋愛劇です。甘酸っぱいというかもどかしいというか、もう見ていて何もかも焼き尽くされる感じ。とにかく思い切りがよくて、内容は完全に恋愛特化、それも告白のワンシーンのみ、というこの潔さ。書かれているのは思春期年代の不器用な恋そのもので、というか本当にそれ以外の要素がほぼ皆無で、つまり読んでる間ずっと甘酸っぱさに悶えのたうつことになります。なにこのノンストップ胸きゅんブルドーザー。力こそパワー。
お話の筋はもうほとんどここまでに書いた通りで、本当にただ告白する(される)だけの物語なのですが。とりあえず前提として大きいのが、事実上の両片思い状態である、という点。
主人公は男の子で、幼なじみの少女から校舎裏に呼び出され、そして一体なんの用かはもう大体見当がついている、という導入。もっとも主人公の視点による一人称体、つまり彼自身の主観から書かれたものであるため、正直「いやこれただの勘違いなのでは?」という疑いもなくはない(というかものすごくある)のですけれど、いずれにせよその青春の迸りっぷりに違いはありません。はちきれそうな想いのハラハラ感と、その受け答えのムズムズするような不器用さ。恋愛劇というのはある種の不安感あってこそ光るものですが、でも両片思い(暫定)でこんなに不安になれるのだから凄まじいです。
このふたりの幼さというか、思春期年代特有の青臭さがとても絶妙でした。なんだか生々しいような、このいかにもこなれていない感じ。特に好きなのが彼の交際に対する認識というか、本文から引用するなら「だって、俺に彼女ができるのだから。」の一文です。
大好きなあの子と付き合う、という行為(状態?)を、でも「俺に彼女ができる」という見方で認識してしまえるこの、なんでしょう、突っ走りっぷり? まあ残念といえばそうなんですけど、でも思春期なりたてってこういうとこあるよね実際というような、この漏れ出る子供らしさの露骨っぷりがもう、もう! こんなのずるい……うわーってなってジタバタしてしまう……。
いやもう、すごいです。たどたどしいというかなんというか、見ているこっちの顔の方が赤くしてしまうくらいの青春っぷり。頬の熱が灼熱の太陽となって全てを焼き尽くすかのような、手心のない甘酢っぽモジモジ恋愛劇でした。