第344話 残り6球
6回表。船町北の攻撃は、主砲の安達が三振に抑えられて幕を閉じた。しかし、船町北も負けてはいない。
6回裏。三街道の攻撃は、2回に先制ホームランを放っている主砲角田の空振り三振で幕を開けた。
「ストライク! バッターアウト!」
(2回に打ったホームランは、たまたまバットがドンピシャに当たっただけ。だからこの打席、そう簡単には比嘉からヒットを打てない。そう覚悟はしていたが、まさかここまで当たらないとはな)
その後も比嘉は快投を続けていき、この回を3人で終わらせた。
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船町北 000100
三街道 010000
7回表、再びマウンドに上がった細田弟が4番から6番までの右打者三人を三者凡退に抑えると、比嘉も負けじと7回裏を7番から9番まで三者凡退に抑え返す。すると8回表、細田弟はさらに負けじと7番から9番までの右打者三人をまたまた三者凡退に抑え返した。
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船町北 00010000
三街道 0100000
5回裏から比嘉が登板して以降、両チームのピッチャーはヒットどころか出塁すら許さない白熱した投手戦を繰り広げていた。
そして迎えた8回裏。本来ならこのまま比嘉を投げさせたいところだが、比嘉には1日80球までしか投げられないという医者から課された制約がある。そしてこの日、すでに比嘉の投球数は74球。比嘉がこの日投げられる球数は、あとわずか6球のみだった。
(このまま膠着状態が続くと、延長戦になる可能性もある。となると、残りのイニングは川合と心中するしかなさそうだな。ただし、比嘉にもまだ6球だけ投げるチャンスが残されている。三球三振で抑えたとしても、あと2人が限度だな。川合をどこまで引っ張るか、そしていつどのタイミングで比嘉を投入するか。ここからますます俺の監督としての采配が問われてくる。あー緊張してきた。とりあえず川合、いい加減フォアボール連発だけはやめてくれよ)
鈴井監督はそう願いながら、比嘉から川合にピッチャーを交代させた。
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