第342話 スイッチ
6回表。この回の先頭1番の星は、この日3度目の対戦となる細田弟との対戦に向けて、あれこれと考えを巡らせていた。
(2打席目のセーフティーバントは結構惜しかったな。でもだからといって、さすがに連続でセーフティーバントを狙いにいくのは愚策だよな。やっぱり正々堂々、真正面から打ちにいってみるか。きれいなヒットを打つのは難しくても、前の回の佐々木みたいにラッキーな内野安打になる可能性はある。さあ、気合入れていくぞ)
そう覚悟を決めて打席に上がった星だったが、ここである重大なことに気が付く。
(あれ? 何でマウンドに兄貴の方が上がっているんだ?)
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これは決勝戦前日。三街道高校で行われていたミーティングにて、安達の攻略法や要注意人物の山田について説明したあとのことだった。
「あっ、そうだそうだ。君達に大事なことを言い忘れていましたよ。明日の継投ですが、今日の試合とは少し変えてみようかと思います。今日の試合では、常に右対右、左対左となるようにその都度継投していきましたが、明日の試合でも2巡目まではその継投でいきます。でも3巡目からは、逆に右対左、左対右となるような継投にスイッチします。これには理由が2つありまして、1つ目の理由は、船町北にはレギュラーの左バッターが2人しかいないこと。これでは必然的に右の雄一君の負担が増えてしまいますからね。そして2つ目の理由は、同じバッター相手に3打席以上連続で対戦するリスクの方が、右対右、左対左でのアドバンテージよりも大きいと判断したためです。2人とも、明日はこの継投策で構いませんか?」
「構わないどころか、むしろ好都合ですよ。今日と同じ継投策だと、右の俺は左バッターの安達と下手したら1度も対戦できない可能性がありましたからね。これで確実に、最低でも1回は安達にリベンジできそうです」
「俺も構いませんよ。まっ、例え3打席4打席と同じ相手と対戦することになったて、打たれない自信はありますけどね」
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