第20話 新たな追放者
無事に?冒険者ギルド連盟への申請に成功した俺は『ビウム』の街中をブラついていた。
結局、あの初老の男性の正体はわからず終いだった。
俺を1度追い返した中年は「許してくださいぃ~!」の一点張りで、聞いても全然会話にならなかったし。
もしかしたら、冒険者ギルド連盟の偉い人だったりして?
……ま、いいか。
『追放者ギルド』の申請には成功したんだし、この際深く追求するのはやめよう。
それより、ギルドの創設を祝うべきだな。
今晩の馬車に乗れれば、明日には『デイトナ』の街に着く。
その時にヴィリーネとどんなお祝いをするか考えよう。
そう思いつつ、俺は人混みの中を歩いていく。
すると――ふと、俺の目に冒険者ギルドの建物が映った。
勿論冒険者ギルド連盟の本社ではなく、街の中のごくありふれたギルドの建物だ。
「そうだ、せっかく〝冒険者の街ビウム〟まで来たんだし、都会の冒険者ギルドがどんなもんか覗いていくか」
一応、後学のために。
ヴィリーネにあんな偉そうなこと言った手前もあるしな。
新興のギルドとはいえ、俺も名実共にギルドマスターになったのだ。
向上心は高く持たないといけない。
そんなことを思い、俺は冒険者ギルドの建物へ足を向ける。
そして扉を押し、中に1歩踏み込んだ――その瞬間、
「なによそれ! アタシはそんなの認めないわよ!」
入ってきた俺を吹き飛ばすかのような、少女の怒号。
それが俺を出迎えた。
「フン! 認めるも認めぬも関係ない! マイカ・トライアンフよ、貴様は只今を以て我らSランクパーティ『アイギス』より追放とする!」
「ふざけんじゃないわよ! アタシがいつパーティに迷惑かけたっていうの!?」
見ると――そこには激しく言い争う男女の姿。
いや……正確には追放されそうになっている冒険者と、追放しようとしているパーティか。
「いつ、だと? ハッ、そんなの
パーティのリーダーらしき男は赤茶色のセミロングヘアーを結って額を出し、マントが付いた金色の軽鎧をまとっている。
顔立ちは端正で、如何にもキザな二枚目といった風貌。
腰には装飾の施された直剣を備え、身なりと相まってランクの高い冒険者であることを伺わせる。
そんなパーティリーダーに激しい怒りを向けているのは――銀色の長い髪を2つに結った、背丈の低い少女。
服装や装備からして、
――珍しい、獣人族の女の子だ。
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