第3話

「ねえ春。女子にくっついたりすると、

 ドキドキする?」

「え?そりゃまあ……少しは」

 突拍子もない事を言ってくるのもそろそろ慣れてきた頃だ。

 今日読んでいるのは、ウブな男の子が美少女に恋をするというラブコメだ。

 その小説は最近出たばかりだが、もう手に入れたみたいだ。

「風花さんが気になったのってどんなシーンな

 の?」

 まあ手を繋いだりとか肩がぶつかったりとかだろう。

「ヒロインがベッドに忍び込むシーン」

「よしちょっと待ってそれってどうなったら

 そうなるの?!」

「ヒロインが風邪を引いた主人公の看病をして

 いるときに怒った事。春も憧れる?」

「全く憧れないと言ったら嘘になるけど…」

 けどそんな状況になるかなぁ。

 あまり風邪を引かないし、僕の回りにいる女子って風花さん位だからなぁ。

 風花さんが来てくれるとも限らないし。

 あれやこれやと考え事をしていると、いきなり太もも辺りに重みを感じる。

 良い匂いと柔らかさ付きで。

「ふ、風花さん?!」

「何したの?」

 風花さんが僕の膝らへんに座っていて、離す気がないのか腰に手を回している。

 風花さんは何が不思議なのかという顔でこちらを見ている。

 ……僕には彼女の思考がよくわからない。

「よし一旦落ち着こう。風花さんは何をしてい

 るの?」

「さっき説明したシーンの再現。ここにベッド

 が無いからこれで我慢する」

「もう少し感情を我慢して欲しいんだけど…」

 立派に育った胸部がぐいぐいと僕の体に押し付けられているし、前抱きついてきたときより少し離れているためお互いの顔を見ることが出きる。

 風花さんはいつものように無表情だが、僕の顔は真っ赤なはずだ。

 すると風花さんは満足したのか自分の席に戻る。

 全身が熱く、汗が止まらないので手で扇いでいると風花さんが話しかけてきた。

「春は赤くなった。読んだラブコメと同じ

 反応」

「……誰だってあんなことされたら赤くな

 よ」

「そうなんだ。けど」

 風花さんは本を置き、こちらを見る。

「春を赤くするのは私だけで良い」

 そう言ってまた本を読み出す風花さん。

 本当、風花さんには敵わないな。

 そんなことを言われた僕は、顔が熱くて熱くて読書どころじゃないのに。

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同じ部員で学年一の美少女に赤面させられるだけのラブコメ @1ya12ma2to

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