第2話
「春、手出して」
「藪から棒にどうしたの?」
今日も今日とて読書クラブの活動を行っている。僕は割と色々な種類の本を読むが、風花さんはラブコメしか読まない。
いや、もしかしたらそれ以外も読むのかも知れないが、ラブコメ以外を読んでいるところを僕は見たことがない。
と、少し話が脱線したが言われた通り手を差し出す。
すると僕の手をいきなり揉みだしたり、指と指を絡めるいわゆる恋人繋ぎをしている。
少しキャパオーバーで、頭が真っ白になっていたが、落ち着いて話を切り出す。
「風花さん?今日は何を読んでるの?」
「幼馴染みものを読んでる。その時に手を繋ぐ
描写があったから気になって」
「うん本当に風花さんの好奇心には脱帽するけ
ど、せめて人を選んだ方がいいよ?」
「別に誰でも言い訳じゃない。春じゃなきゃこ
んなことしない」
「っ!不意打ちは反則でしょ……」
「何のこと?」
風花さんはまだ飽きもせず僕の手の感触を楽しんでいる。
「そんなに僕の手おもしろい?他の人に比べれ
ば小さい方だと思うけど」
僕の身長は160前後なので手や足のサイズも
他の人には劣る。
「ちょうどいい。何処かに出掛ける時にはずっ
と握っていたいくらい」
「……それじゃ僕と風花さんが一緒に出掛け
るみたいじゃん」
「えっ、一緒に出掛けてくれないの?」
風花さんの目から光が消える。
この状態になると面倒くさいので早めに訂正しておく。
「違うよ、僕は風花さんと出掛けたいと思って
るよ」
僕らしくないセリフを言ってしまい、後悔しているが、意外にも風花さんには刺さったらしく、
「本当?!じゃあ今度行こう?」
「う、うん」
普段感情を表に出さない風花さんだが、凄く嬉しいことがあると、今みたいに感情が出ることがある。
風花さんの手伝いが出来るのならば、断る人も少ないだろう。
尚、風花さんが今日の活動中ずっと上機嫌だった事もここに明記しておく。
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