1作目 ワタル「リバース・フェイス」感想


 こんにちは。あばばです。


 色々書こうかなと思ったのですが、前置き書いてたら感想より長くなってしまったので、とりあえず全カットして感想行きますね。


【作品URL】

 ワタル「リバース・フェイス」

 https://kakuyomu.jp/works/16817139558748779903


【5話目までの感想(ざっくり)】


 正直、あんまり惹かれなかったかなぁという感じです。


 色々と惹かれなかった理由について、ここ数週間くらい細かく書いてたりしたんですけど、なんか諸々的得てない感じがしたので、どう感想を書こうか悩んでいました。


 とりあえず直感的に思ったのは以下2つの事でした。


【感じた事】

 ➀文章・描写に関する違和感

 ②物語の展開が急


 

【文章・描写に関する違和感】


 小説をどういう風に評価するのかというのは、ぶっちゃけ個人で変わるとおもうんですよね。ざっくりいうと、売れる小説なのか、芸術点が高い小説なのか。みたいな話です。


 今回僕は、娯楽小説的な観点で読む事にしました。


 娯楽小説で一番自分が求めているのは、間違いなく「読みみやすさ」です。趣味で本を読むときくらい、何のストレスも文章から受けたくないんですね。(普段メールとかでややこしい意味不で味気ない文章ばっかりよんでいるので)


 ストレスを受けないからこそ、小説世界へ簡単に自分をダイブさせることができるわけで、読んでいる事に没入ができるわけで、その結果として現世とは異なる体験を読書から得られる訳です。それがとても楽しい。


 具体例を挙げると、自分は小説をそこまで読まないんですが、小説家になろうに一時期没頭していた時期がありました。その時、最後まで読み切った小説というのが3個だけあり、それは「謙虚堅実をモットーに生きています」と「無職転生」と「この素晴らしい世界に祝福を!」でした。


 3つとも話が面白いかどうかっていうのはひとそれぞれだと思うんですが、とにかく全部文章が読みやすかったです。(どういう部分を指して「読みやすいか」というのは言語化できないので、省きます。すいません)


 …という訳で、「文章に対する違和感」というお題目をまずあげてみたのですが、ここから具体的な話を書いて行きますね。


 一番気になったのは、「第一章 変化の灯」です。


 最初の2段落目の始まりが「指示語」スタートなんですよね。「彼とか私って誰?」っていうストレスから小説が始まるのって結構だるくないですか? また、この「彼」が誰なのか分かりそうで分からないまま、物語の舞台が移ってしまう。おそらく転生後の世界なんだろうなと思いますが、何の断り書きもないまま物語が進行していくのは、正直厳しいなと思いました。


 インタビュー形式で、彼の人物像を探るみたいな作劇自体は面白いとは思いますし、この始まりが後々の伏線になっているのかもしれないんですけど、小説の始まり方として、キャッチーさはあまり感じず、寧ろ全体的に回りくどさの方が鼻につきました。


 更に言ってしまうと、どういう風にハンター試験に臨む彼の動機につながるのかみたいな部分も、最初の五話くらい読んでも分からないのも厳しかった。更に言えば、「彼」は主人公を指しているのか、この「私」っていうのは誰なのかもわからない。という状態で、異世界を舞台に話が進んで行く。自分はあらすじを読んで、彼=主人公なのかなと想定しつつ読んだ所があるので、ギリギリ理解が追い付いた部分もあったのですが、ずっと情報が確定しないまま話が進むのが厳しかったですね。


 自分が例にあげた小説の冒頭をチェックしたのですが、大体主人公が何者であるのかという事から語り始めていました。最近の小説のトレンド的にそれは古いのかもしれませんし、自分の読書経験が乏しいという事が原因で、単純に僕の読み方が下手くそなのも要因かもしれませんが、ストレートに主人公の造形であったり、転生する場面についてもう少し語ってもよかったのではないかと思いました。

 

 あとは全体的に、小説の視点となる語り手の視点が見えすぎていて、読み手と乖離しているなと思う部分も目立ちました。例えば、目覚まし時計の描写ですね。(ここはすいません。一部引用させていただきます。問題があれば削除いたしますので、ご指摘ください)


>時刻は午前七時。部屋にある目覚ましは設定していないが、まだ眠たそうな身体を無理矢理起こす。起きた彼女はしっかりと目を覚ます為に、ふらふらとしながら洗面所に向かって歩いていく。


>さらにその近くにある時計で再び時間を確認すると、起きた時間がいつもより遅めだった事にようやく気づいた。


 「再び時間」を確認とあるんですが、一度目がないんですよね。部屋にある目覚まし時計を設定していないが、という部分で見た事にしているのかなと想像はしますが…ここで自分が感じた違和感はこうです。

 

 僕は結構遅刻をするタイプなんですが、遅刻する時のパターンは3つ。➀時計の時間がずれている。②早く起きすぎて二度寝して遅刻。③目覚まし時計のセッティングを忘れて、ふと起きたら遅刻している。


 自分が朝起きた時に目覚まし時計を一度見たら「遅刻した」って目が覚めるんですよね。もしくは、もう挽回できないとあきらめる。みたいな反応をしてしまうので、この描写は割と違和感を覚えました。彼女がそういうタイプじゃないとするならば、目覚まし時計を見た描写を入れて、かつ、まだ自分は遅刻していないという認識を持ったみたいな描写が欲しいかもしれない。なぜなら、一度目が書かれていないので、一度目を想像する必要があるからです。その想像は読み手の経験に委ねられてしまうので、想定された一度目と次に来る描写がずれた場合「なんか違うな」という違和感を持たれてもしょうがないと思います。


 …とても小さな描写の穴についてつっこみを入れてまくってしまい、すいません。なんですが、こういった描写の不足であったり、描写の整合性みたいな部分が省略されているわりには、指示語等で匂わされているというのは、読んでいて僕にはストレスでした。


 あと、これは書くかすごく悩んだんですが、一番気になったのは「ホワイトボード」です。


 シンプルに、女子高生の部屋にホワイトボードってあるのかなぁと思っちゃったんんですよね。コルクボードとかがあるのは分かるんですが、ホワイトボードがいきなりヒロインの家にあるのって、どういう理屈なんだろうと思います。棚の奥にしまってあったのか、写真を張る為においてあったのか、それともこの世界においては、ホワイトボードを使う習慣が根付いているのか、みたいな部分の補足がないまま、いきなり主人公がヒロインの家にあるホワイトボードを使い始めるのって違和感があるんですよね。

 

 とはいえ、彼女の朝を描く事によって、彼女がどういう人物なのか読み手に伝える事が大事であって、いわゆるリアリティーなんてある程度無視してもいいのかもしれません。彼女が若干天然でおっちょこちょいであることや、おそらく後々の伏線になるであろうオッドアイであることを提示するみたいな部分というのは、伝わってきます。


 また、ヒロインが主人公に惚れていること。そのために主人公と一緒にハンター試験を受けるという流れについては、恋する乙女感があって、単純に好感を持ちました。ヒロイン…美晴の心情の描き方だったり、目的意識はとてもシンプルで主人公と同じ道を歩みたいし、そのためならなんだって出来るだと思っていて、そこの筋は通っていると描写から感じました。


【物語の展開が急】


 物語の展開が急というのは、描写の部分でも若干ふれた内容と被るかもしれませんがご容赦ください。


 一章一話目のおそらく主人公が死んだシーンから、急に美晴に視点が移り、ハンター試験を受ける主人公に誘われてヒロインがそれに乗るという所まで一話で描いているんですが、その中で僕がキャラクターの心情的についていけたのって、ヒロインが主人公と一緒にいたいという気持ちだけなんですよね。

 

 多分ハンター試験まで話をとにかく進めたいみたいな事を感じました。最近ハンター×ハンターを読んでしまった事が影響与えているかもしれませんが、とにかく最低限の設定を説明してハンター試験まで小説を持っていきたいみたいな部分が全面に出ている感じがして、細かいリアリティであったり作品世界の質感を描く事からおざなりになっている気がしました。


 そういう意味でいうと、本作はリアリティは二の次で、展開を進める事に対して性急かつ淡泊という印象を持たざるを得ません。


 ヒロインを試験の場に誘うために、まずはその恋心を利用する形で主人公は誘います。次に、ヒロインにハンター試験の内容を最低限の形で話す。次にヒロインの相方となるビーストを召喚したあと、ハンター試験を受けるための試験の受付をすます…という流れ。


 勿論その中で、ナヘマーによる、主人公の強引さみたいな部分に対する突っ込みがあったりするので、無茶な展開であるという自覚がない訳ではなさそうと思うんですが…正直、ハンター試験の内容って人間が簡単に死にそうなんですよね。また、ビーストを呼ぶリスクについての説明が唐突に挟まりますが、普通に義務教育レベルでその危険度を学習するような存在なわけですよね。それを、ハンター未満の主人公が独断で、ビーストの召喚をしてしまうということ。それらについて親からなんのツッコミがないのは普通なのかとか、ハンター協会に申し込みをするのって、未成年が簡単に出来てしまうことなのか、とか…みたいな部分の描写が、端的な説明によって省略されているか、そういった感情がない状態で物語が進んで行きます。


 という感じで、やっぱり全体的に物語の展開それ自体が雑というよりは展開の仕方が雑に感じてしまいました。


【5話以降について】


 とか色々いってきたんですが、巻き戻しからの展開は笑いました。主人公の目的が最強の主人公になりたいっていうのがいいですね。なにか裏があるのかな?とか色々考えながら読んできたんですが、いやー本当にやばい奴だなと思いました。これは傷ついたら申し訳ないんですが、匠は中々の屑だと思いました。ヒロイン道具っぽくみてるやんけ! 最高の人生を送る為に、何度も何度も人生をやり直す。しかも、自分から敢えてトラブルに飛び込んでいくみたいな所がぶっとんでてすきでした。


 ナヘマーの意味深なセリフだったり、ヒロインを無理矢理ハンターに誘う事の意味みたいな部分も凄くシンプルな筋が通っていて、一気に読んでて気楽になりましたね。


 正直、細かい所を突っ込むと気になっちゃうのは事実です。それは散々今まで書いてきた通りなんですが、でも本作はキャラクターがいいですね。行動原理が掴めたなと思えたハンター試験編の内容は、匠と美晴とナヘマーを理解する上において、凄く面白いなと思いました。一章の最後でプチハーレム出来てるのも、個人的には好きです。


 ハンター試験編については、登場人物の心の動きが見えたり、それぞれの行動原理がわかったりと、最初の巻き戻しが終わるまでは、どちらかというと読みのストレスがまさっていたのですが、最終的に展開を追う方が楽しくなり、一章の最後まで読むのが楽しかったです。


【まとめ】


 もろもろ書いてきて思ったのは、主人公とヒロインの動機みたいな部分が両方わかってきた所から凄く面白くなってきたな。という感想になります。個人的には、転生してから主人公がなんで、最狂の主人公として人生をやり直すに至ったのかみたいな部分がもっと冒頭で分かるよ読んでいて気持ちがいいのかもなと思いました。


 勿論、ループする中でその動機が分かってくるみたいな部分も面白いとは思うんですが、そのシーンに至るまでの流れみたいな部分は冒頭で書いた通りです。一週目については、個人的にはどちらかというと文章や設定についての甘さみたいな部分が見えてしまったのが、きつかったです。


 書き込み不足が原因なのか、シーンの展開方法がビミョウなのか、もしくは文章の見せ方が問題なのかについては、自分はプロではないので、なんとも言えないのですが、多分もう少しやりようがあるのではないかと素人ながら思いました。


 




  














 

















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