何度もなぞった理想論の手触りは。

 受験生の主人公は、勉強に集中できなかった。その理由は沢山ある。そして、勉強する理由も、受験の意義も、理解していた。

 ——そう、頭の中では。

 言葉選びが秀逸で、透明水彩の絵を見ている気がしました。
 何気ない受験生の一時が、淡々と述べられているだけなのに、
 不思議と引き付けられる一作でした。

 是非、御一読下さい。