二十四章



 二泉軍は俊敏だった。二泉とて、もともと四泉ほどではないが由歩ゆうほは多くない。栽豊さいほうから蓮宿れんしゅくの間の霧界は馬で十日ほど、個人差はあるものの不調を来たす不能渡わたれずは多いだろう。

 であるからして、二泉主と羽林軍を筆頭とした京師兵けいしへいは由歩兵を先駆けとして出兵し、四泉最南端、沙琴さきん公主ゆかりの地である蓮宿を容易くおとした。すでに蓮宿泉は干上がり民は逃げ出し、残っているのは身体の不自由な者や老人、身寄りのない女子供のみとなっていた。


 国境を守備していた四泉葉州軍は及び腰でまるで枯れ草のようにいとも簡単に排除することができた。降伏し命乞いする叫び声は斉穹せいきゅうにとってはその嗜虐しぎゃくいろを添えるものでしかない。兵らも自国民ではないから遠慮がなく内乱鎮圧の時よりものびのびと動いているようにみえた。


 早々に蓮宿を占拠し、先へは進まずに順に到着してくる州軍を待つ。不能渡が不調のうちはこちらからは撃って出ない。瓉明軍はいまだその砂塵さえも見えず。おそらくは一旦穫司を出てくる撫羊ふようを先に押さえるつもりだろうと予想した。ということは東まわりでこちらに近づいてきているのだ。



 公主さまは、と口々に叫ぶ住民が縄をかけられて連行されてゆく。二泉は公主の味方ではないのか、蓮宿は公主をお支えする、だから敵ではない、と人々が哀願する。彼らは撫羊の後ろ盾として二泉がやってきたのだと考えていたからまさか捕らえられるとは思わなかったのだろう。狼狽する声は聞き流されて壁の中にいる者たちは一人残らず引き立てられていく。女は臣下に与え、男は泉賤どれい、見込みのある幼い子供は羽林孤児うりんこじに召し上げるのが定番である。泣く声が癪に障るが少し鞭打てばすぐにおとなしくなる。


 その声は輅車くるまの中にいる碇也ていやの耳にも聞こえていた。布が掛けられて外は見えず、不安に耳を塞いだ。

「とうはく、誰かが泣いているよ」

 小さな肩を抱いていたほうは眉を下げて彼をなだめた。

「大丈夫でございますよ。なにも心配は要りません」

「お外を見てはだめ?」

 騰伯は黙って首を振った。憐憫れんびんの眼差しで幼い王太子を撫でる。碇也は賢い。しかし外で一体何が起きているのか悟れるような齢ではない。まだたったの七つ、戦など小説ものがたりの中のことで実際に目にしたことなど生まれてからこのかた一度もない。

 …………目にする必要など、ないというのに。



 斉穹は撫羊を合流させる気がなかった。無駄に軍を大きくすればそれだけ的として大きくなってしまう。それよりも二軍に分かれて瓉明軍と相対したほうが能率が良い。そう伝鳩とりを飛ばし、斗篷がいとうひるがえして足早に輅車に近づいた。


「碇也。来い」


 誘われて不安げに父と騰伯を見比べた。おずおずと出口に近づいた彼を逞しい腕が力強く引き寄せ、そのまま抱きかかえる。騰伯も慌てて下車する。


 幼い息子を肩に乗せた王はいまだくすぶる家々と荒涼とした畑を回る。乾燥してひび割れた土底が見える泉は周囲の隔壁を崩されて祠廟しびょうは黒くすすけていた。


「父上、なんだかくさいです」

 なにかが燃えていて胸の悪くなるようなにおいがした。地面も黒ずんでいて汚い。碇也が怯えて縋りつくまま、なにも答えず蓮宿城の中に入った。


 正庁ひろま、扉を開いた正面に貴人の椅子と屏風へいふうがあり、そこへ太子を降ろした。騰伯が横で手を握り寄り添う。

 斉穹は麾下きかに何事かを命じ、碇也に笑む。

「ここは蓮宿という。この地をお前にやろうと思っている」

 碇也は正庁をぐるりと見回し、問う目で見返した。

「今はこのように荒れているがいずれ整備がなされ、泉も戻る。お前の好きなようにすればいい」

「でも、このように遠いところでは母上とお会いできません」

「なにもここにいろと言っているのではないぞ。馬が好きなら馬を飼えばいいし、気に入った女ができたらここに住まわせてもいいのだ」

 馬と聞いて碇也は目を輝かせた。

「ほんとうですか。泉宮みやのお庭より広いですね。ここならたくさん遊ばせてあげられます」

 しかし一転首を傾げる。

「……でも、ここは四泉でしょう?四泉の人が怒らないかしら」

 心配ない、と父は機嫌良く白い歯を見せた。それに騰伯は動悸を速める。


 扉が開いた。縛られた二、三の人影は兵に連れられて斉穹の前に引き倒される。なんとか起き上がった顔は初老の男で、憎々しげに壇上を見上げた。本来ならば、碇也の座す椅子にいるはずの父老たちだった。


「私どもは珠花蓮君しゅかれんくん沙琴公主殿下撫羊さまに忠誠を誓った蓮宿の民。なぜこのような蛮行をなさる。二泉主は公主と協調しておられるのではないのですか」

 これに対して二泉主は鼻でその言をわらった。

「撫羊の下僕しもべといえど忌まわしき四泉の民であることは変わりなかろう」

 そして剣を抜いた。碇也、と、引きった顔で大司馬に縋る息子を見る。

「よく見ておけ。土地を手に入れるためにはな、その土地の人間を全て消し去ればいいだけの話なのだ」

 お待ちください、と騰伯が叫んだ。

「なにも攻め入らずとも州軍を蹴散らすだけで蓮宿の民は門を開いたでしょう。なぜここまでなさるのです。それに、碇也さまにこのような非道を見せて何になります。いたずらにお心を傷つけるだけです」

 斉穹は呆れたように剣先を下げて首を振った。それで虎賁郎こほんろうが二人を引き剥がす。拠り所を失った幼君は縮こまった。

「――とうはく」

「碇也、力は正義だ。強い者がこの世をつむぐ。強くなるには奪わなければならぬ。目を逸らすな、よく見ておけ。お前がそこにいるにはこやつを斬らねばならぬのだ」

 男たちはもう抵抗しなかった。恨めしげに斉穹を見上げると、ただひとつ気がかりなことを問う。

「公主殿下は本当に王であらせられますか。私どもはただそれだけ、あの方が正当な泉主にお成りあそばすことだけを願っていたのです。二泉主は撫羊さまの願いを叶えて下さいますか」

 斉穹は再び可笑おかしげに口端を上げ、突き出されたうなじに腕を振り下ろした。


「……そんなこと、我が知るわけがなかろう」


 鈍い音を立てて転げたものは赤い血潮の水溜まりをつくってなおもこちらを睨んだ。

 一拍置き、状況を飲み込み響いた金切り声に斉穹は眉間に皺を寄せ、露を払って剣を収める。つかつかと壇上に歩み寄り、さらに悲鳴をやめられず抵抗する碇也の腕を掴んだ。

「おやめください、斉穹さま!もう充分でございます!」

 騰伯を無視し、母を呼んで泣く息子の頬に手を上げた。軽く叩かれ、呆然と父親を見上げる。氷のように温度の無い瞳が自分を見据えて動かない。


「我はお前と同じ歳に初めて人を殺めた」


 言いながらねた首の前に引きずる。

「お前は土地が貰えると知って喜んだな?自分の好むものを集めたいと願ったな?それは至極当然のことだ、碇也。泉宮は広いが窮屈だろう?ここなら馬を飼い花を愛で、清らかな泉で心ゆくまで水浴びが出来る。いつ外で遊んでも良い。そう望んだろう?」

 碇也は震えながら斬首きりくびから遠ざかろうとする。だが斉穹は逃れるのを許さない。

「しかし、手に入れるためには犠牲を惜しまないことも覚えておけ。ただで手に入るものなどない。おのが血筋以外にはな」

 よいか、と見つめられて頷くより他に出来ることはなかった。必死に声を抑えて泣きじゃくる様が痛々しすぎて、たまらず騰伯は郎を振り払って駆け寄る。怒りで体が戦慄わなないた。

「泉主……‼あなたという御方は!」

 太子を抱きしめながら思わず叫んだのにも冷たい視線を投げられる。

「碇也には強くなってもらわねばならん。これしきのことで心を乱すようでは二泉主は務まらぬ」

「これしきのこと、とおっしゃいますか!」


 王は虎賁郎のひとりから矛を取り上げた。磨きあげられた鍮石ちゅうせきのそれは実践用ではなく旌旗せいきを吊る為のもの。二人に向けて掲げた。


「我が二泉の国章は蛟龍みずち睚眦がいさい、睚眦とは由霧に住まう妖で気性激しく殺戮を好むという。まさに勇猛盛んな二泉を表すのに相応ふさわしい。そんな国を治めるには民以上に果敢でなければ治めきれぬぞ。なればこそ我はお前を連れて来たのだ、碇也。目を逸らすことは許さぬ。この戦の全てをその眼に焼きつけよ」


 示された黒赤と黄の軍旗、騰伯はそれを唇を噛んで見る。豺狼やまいぬの頭にからだ蜥蜴とかげのよう、短い手足には鉤爪のあるその睚眦の姿は今の騰伯の目にはひどく禍々まがまがしい。古の二泉には睚眦が街々によく出没し、民を襲ったという。名の通りすがめの獣だが瞳は大きく美しく、眼球は宝玉ほどの価値がある。それで狩り尽くされた。いまでは二泉で睚眦に遭遇することはない。五泉とのあいだの山岳地帯、国境周辺と黎泉の付近において数頭いるという噂があるのみだ。


「騰伯、お前は今回碇也のりだが、順次州軍が集ってきている。いざとなれば指揮もってもらうぞ」

 言いおいて正庁を去る主を騰伯は覚えるかぎりで初めて恨みを込めて睨んだ。斉穹の心が分からない。いや、言っていることは分かるけれども、こんな仕方で碇也に殺生を教えるのはむごかった。碇也は斉穹と違って心根が優しい。虫一匹殺したことのない彼に突然こんなものを見せるとは。


 いまだ泣き止まない幼子を撫でているとその背に上着を掛ける者がいる。顔を上げると親征にいてきた虎賁郎のひとりだった。心乱された様子のない無感動な面差しについ八つ当たりしてしまう。

「そなたは泉主の行いになにも思わないのか。ただ従うだけが近衛の役目ではないぞ」

 青年は何も答えず死体を片付けにかかり、血糊にまみれた首を拾った。

「なぜおいさめしない。このままでは泉主は神勅しんちょくをも失いかねん」

 言うとただ首を振ってみせた。三公の一である大司馬が止めても聞かないのだから意味が無いと思っているのかもしれない。





 泣き疲れて眠ってしまった碇也を抱え、輅車へと歩を進めた。ひどく疲れていた。同じ言葉を話しているはずなのになにも伝わっていないこの感じがひどくむなしかった。もしかすると、自分のほうがなにか間違っているのだろうかと、そんな気分になる。


 焼かれた家々、荒れ果てた泉、地面には染みがそこかしこに。二泉は遂に侵掠してしまった。もう後戻りは出来ない。それを痛ましく見つめ、宵の近づく空を見上げた。先ほどの斉穹とのやり取りを反芻する。


 斉穹が幼少のころから内乱は頻繁に起こった。見知り得たのは彼が十五の時だったが、その頃にはすでに武勲を立てるほどの剣の腕だった。そう思い至り、ふと齟齬そごに首を傾げる。確かに斉穹は早い時点で先代にこいねがって内乱鎮圧で各地方を巡ってはいたが、いくらなんでも七つの頃から戦場で活躍したはずがない。あれは碇也を教え諭す為の嘘だったのだろうか。それにしては真に迫っていたように感じたが。


 先代王は斉穹を次王にするのを嫌がっていた。しかし王太子である斉穹は定例どおりに神勅を受け、玉座におさまった。文武に優れた息子をなぜ先代があれほど跡継ぎにしたがらなかったのか、いつからそれを言い始めたのか――それを考えて顎に手を当てた。


(いや、そういえばあったな)


 先代治世中、まだ郎中府ろうじゅうふの小官だったとき、すでに目をかけられていた自分は先代の御前に召されたことがあった。たしかけい州での大規模な反乱をしずめた、その半年ほど後だったと記憶する。それは他愛もない宴席だったが、ふと問われた。王太子をどう思う、と。意図が分からず問い返すと、先代はさかずきを傾けながらわずかに困惑したように言ったのだ。あれは変わってしまった、と。


『もともと媚びはしない奴だったが、先日久しぶりに会ったらさらに可愛げがなくなっていた』


 この頃、斉穹は珍しく体調を崩してそれが長引き、桂州の離宮で療養していた。遠征ついでに見舞いに行ってきたのだろう。


『殿下ももう七つでございますから。明朗快活なご性格は泉主と似ておられると聞き及びますし、よりご自分のお立場を自覚して逞しくなられたのでしょう』


 離宮に移る前の太子の姿をたびたび見かけたことはあったが、実際に言葉を交わしたことはなかった。しかしそういうのではない、と先代は頬杖をついた。


『なにかが違うのだ。以前と比べて変によそよそしい』

『きっと久方ぶりにお会いになってお恥ずかしいのでは』


 実際、父王と数多あまたいる子は頻繁に顔を合わせはしないものでその時も二年ぶりくらいの再会だったはずだ。

 そんなものか、と憂えていた先代はしかし年を重ねるごとに斉穹を毛嫌いしていった。病で息を引き取る間際までうわ言のように王太子を廃せと言っていた。あれは違う、泉を腐らせてはならぬ、と。


 どういう意味だったのかは分からない。ただ、泉は腐るまではいかないにしても先代存命中のその時点ですでに真に澄明であるとは言い難い状態で、斉穹が即位してからも良くはなっていない。これまで都水台が長年腐心しているが何度濾過してもどうしても濁る。それが慢性化している。

 先代はこれを予見していたのか、今となってはなぜそう言っていたのかも謎のままだ。先代は何を伝えたかったのか。斉穹が王太子であることは紛れもない事実で、そうでなければそもそも神勅はくだりはしないのだ。

 斉穹の降勅こうちょくは早かった。先代が身罷みまかる前から黎泉れいせんに赴いていて、彼は父の棺の前で即位を宣言したのだ。



 神勅をあずかるには順序がある。まず次王と目される者は黎泉に昇り参拝する。犠牲の進物と香、自らの名を書き加えた王統譜を捧げる。なにより大事なのが泉水で、水盤に張ったそれに自身の血を落とす。これを字義のとおり落血らくけつの儀というが、これが済めばあとは神勅を待つこととなる。


 この降勅を請願する神事を総じて昇黎しょうれいという。


 自他共に、いちばん降勅が明らかに判明するのは血璽けつじであり、これも事前に用意しておく場合が多い。即時に色が変わることもあればそうでない時もあった。血璽の色がしばらく変化しなくても、落血の儀を済ませた後は確定でないにしろ泉主とみなされ、権を持つ。基本的には降勅するまで即位式は執り行われないが、暫定泉主、つまり仮王かおうの公示は黎泉からかえった時点で通達が出された。


 落血の儀を行うということは自分が泉主であるという正当な理由と確信がなければ出来ないことだ。なぜなら、泉主の資格なく儀を執り行えばただちに泉が腐り果て、当人は神雷によって撃たれると言われているからである。前例として、大泉地最南の泉国・三泉さんせんはかつて偽王ぎおうによって泉を汚穢おわいさせ、それがもとで泉根を枯らした。だから儀式が終わった時点で泉が腐敗していないのなら、黎泉から仮王と認められたと同義であり朝廷では血璽の変色を待たずして新王として迎えられる。


 そう、斉穹は紛れもなく泉主なのだ。しかし、いくら四泉の血統を受け継ぐからといってこんなことが許されるのか。それも、真実は事が成ってみなければ分からない。

 もし斉穹が今回のことに失敗――つまり黎泉てんの条理に反し、霆撃いかずちに死す、そんな運命さだめが待ち受けているのなら、一層碇也から目を離してはならなかった。次代の泉根を失った泉国の末路は悲惨である。



 涙で腫れた碇也の顔を撫でながら深い溜息を吐いた。己に出来るのはこの小さな次王を命に代えても守ること。それ以外は全く乗り気ではない。軍を指揮するのも、無闇に隣国の民をしいたげるのも冗談ではない。そこには正義がない。


 主は力こそ正義だと言った。勝者が歴史をつくる。それは間違いではない。しかし自分が見ているのは『今』のことについてだ。現状、二泉は大義のない侵掠者。はなはだ道理にもとり、それは自身の誇りに関わる。絶対に越えてはならない一線というものを人は誰しも持っていて、それは何があろうと踏みまたいではならない。向こう側に行けば最後、戻ることはできない。


「斉穹さま……あなたは越えてしまった」


 もう声は届かない。自国での暴虐に飽き足らず他国の公主をそそのかし、自らも進んで大罪に手を染める。


 碇也の叫び声が耳から離れない。腹の底から熱いものがぐらぐらと煮立ち、体を包んで――――弾けた。それから急に訪れた虚脱感に呆けて天を仰いだ。



 …………尽かしてしまった。



 これまで、ときに叱責しときに哀願して斉穹の暴政をなんとか抑えようとしてきた。斉穹も先代から仕える自分をないがしろにはせず、重んじてくれていたようで嬉しかった。しかし年々彼の倫理観は鈍磨してゆき、諫言など右から左に聞き流し、朝議さえまともに開かない有様で、声は徐々に確実に届かなくなっていった。それでも申し立て続けた。誰も言わないのなら自分が言うしかないとあえて斉穹の機嫌を損ねる耳障りな意見を奏上し続けた。それで少しでも、民と泉が救われるなら己が断罪されても仕方ないと思っていた。自分にとってはその行動の原則として自我の欲求よりもことわりが優先される。


 しかし精神は消耗する。流されてしまえと周囲と内なる弱い自分にされ、それでも抵抗し続け種をいた結果はしかし、斉穹の中にはなにひとつ実らず闇の中に腐り落ちていったのだ。虚しかった。だがそれでも斉穹は間違いなく主で、主命となれば従うより他は無い。けれども、不本意に軍を動かすことに自分自身は倦み疲れた。


 その成れの果て、――――とうとう主に対する愛着を手放した。斉穹への、二泉主である彼への忠誠と崇拝の念は音を立てて瓦解した。二泉には碇也がいる。次代を担う希望の光が。

 碇也がいさえすればいい。彼は父親と違って優しく思慮深い。戦に明け暮れるような気性には絶対にならないだろう。


 ぷつりと糸が切れ、心が離れた。王のすることなすことに対して急速に関心が失われてゆくのを、皺だらけの瞼を閉じて感じていた。力不足は否めないが、やるだけのことはしたという諦めがさらに体の力を抜けさせた。



 騰伯にとって、斉穹はもはや王ではなくなった。




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