11月夢日記
11月1日
土間に入ると、耳が大きくなっていく人がいる。あ、と思う間もなく外へ飛び出していったので、その人につかまるが、おそろしい速さのため外の様子が分からない。
そのうち振り落とされてしまった。
なんとか追いつこうとすると、自分の体にまで変化が起きてきた。耳は上から下へと垂れ下がり、ヘリコプターが浮き上がっている。「これで犯人を追いかけられる」そう思って乗り込むと、地上から靴を使って距離を測らないといけないのだという。
11月2日
友達かと思って見に行った体の大きな女子が、体長何メートルはあろうかと言う巨人だった。
こういうのは趣味で面白がったり無関係でふざけたりする人たちにとってはなんてことのない存在なのだろうが、僕にしてみればちょっと困る。
11月7日
どこに運ぶんだっけ?
頭に疑問が浮かんできた。みんなで取り組んでいるのに、イマイチ行き先がはっきりしていない。
俺たちは死んだ人を処分する途中だった。そう、死んだ人は処分しなければならないのだが、工場ではあまりにもひどい。そこで公園ではなく、テレビ番組へ運び出すことにした。
だが、俺はみんなが決めているだけでそこに加わってはいなかった。運び出す人手に集められただけで、行き先を誰が言い出したのか、わからない。
みんなは納得していた。
棺桶ではなく、死体は車に乗せられており、みんなで車を持ち上げようとしている。
11月9日
知事選挙をやっているので、何かできないかと手伝いに行く。
選挙は天皇陛下も来ており、その間に歴史の本を書いてそれを売りさばくことにした。歴史の本といっても別段過去の話を書いているわけではない。未来の歴史の話であり、それを売り文句にして強引に販売会を開くことを決めた。
投票日と販売会の日を合わせたのだ。
テントで一息ついていると、明日に死亡するかどうか分かる、「死亡通知書」が手渡された。配達員にこっそり渡してもらったので、自分しか分からないようにできているが、通知書の内容は案の定、「死亡通知」であった。未来の歴史のことも分かるので「死亡通知」が届くのも当然のことだ。
みんなには言えずに酒を飲んでいると、本を一緒に売った人(知り合いではない)が一人で何をしているんだと言ってきてくれた。声をかけてくれるだけでもうれしかった。
しかし、明日はもうF地区選挙本番(当日)と、販売会当日だ。もう命が間に合わない。
いつの間にか夜になっている。そして、声をかけてきた人を置いて、星を見ている。これでは周りが俺のことに気づくはずもない。
11月10日深夜
N君の家に上がり込んでゲームをやっていた。昔の知り合いの家であり、遊びに来いよと言われてきていたのだが、どう考えても夜中、夜遅く。しかもN君とはそれほど親しくもなかったな、と思い、そろそろ帰ろうかと思って表へ出る。
ところが、玄関口のところで二階からおじさんに見つかってしまった。おじさんは洗濯物を引き上げるところで「おう、○○くんか!」とこちらを呼んできた。
雨が降ってきた。
N君の家は二棟に分かれており、おじさんは振り返って左方向の屋根から布団を引き上げている。本棟……出てきた側の建物にかかっている洗濯物も、物干し竿を使いながら器用に引き上げていく。僕はそれをしばらく(?)見ていたが、出ていく途中だと思った。
「すみません、僕、親父のことで今帰ってきている最中だったんです。もう帰ります。」
「そうか。じゃあよろしくな」
そう言って帰ろうとしたところで、親父がもうずいぶん前に亡くなっていることに気が付いた。するとN君の家から先はあっという間に消えてしまった。
もう一つ、家にいる間は地元に帰っているとばかり思い込んでいたのだが、これはまったくの間違いだった。
そもそもあのおじさんはN君の家のおじさんではなかった。
11月11日
使用人のシノさんに連れられて、お屋敷で行方不明になった人物を操作している。
逆に、シノさんにお屋敷で行方不明になった人物を操作してもらう。
そんなことをここ数年の間くりかえしている。
どうもこのお屋敷には異常なことが多く、人が行方不明になることがしばしばある。それらの「痕跡」をたどることを称して「操作」と呼ぶ。もうそんな危ないお屋敷ならば近寄らなければよい気もするのだが、シノさんが見つけ出すせいで困ったことに、うまく回っている。
シノさんは大変優秀で、最近も皇女様が福岡へ行ってしまったこと、その家の使用人と入れ替わったことを見抜いていた。
俺としても奇妙な話だ。
11月16日
そのカードゲームは、1人のマスターと毎月4人の挑戦者が戦うことができるシステムだった。
4人の挑戦者は紙に書いた盤面をそのまま自分に書き繋いで棚にしまい、次の相手に渡してその紙束を挑戦権として提出する。ほかにもボードにカードゲームを再現して、その手番をコンピュータ上のAIで最善手を評価するなど、挑戦権を得るだけなら仕組みは様々だ。
今日は、今までマスターになれなかった二人のファイターがやってきた。私ではないのが悔しいところだが……ところが、4人のうち、通常1人だけシード権を得た人物が挑戦者から座を奪うのだが、今回は二人がはじき出された。
突然のできごとに気を取られて興奮した。彼は二人のライバルで、前マスターなのである。しかも持ってきたのは、ハロウィン版の新デッキであった。
11月19日
謎の部活に誘われている。そこではアホなことを遊び倒してやっているとの事。
僕は1年生の時は断っていた、しかし、「目玉勧誘生」ということで2年生になっても点け狙われていた。先輩が「君はぽんこつで、アホをする才能がある」と熱心に口説いてくるからだ。
このアホだのぽんこつだのは、世間では役に立たないことを真面目にやることであり、真面目にやったことが役に立たないことを指す。人も鬼も痛めつけない豆鉄砲による衛生豆まき。ドーナツ輪投げ(しかも食べられる)。教科書落書き(食べられる)。(全部食べられる)。
「目玉勧誘生」の勧誘会は僕だけではなく、大勢の生徒や先生たちもなぜかきており、僕がステージに上がっていた。ステージ上には理科実験室の教壇が据え付けられており、スピーカー(ビーカー?)でねるねるねるねのようなお菓子を作っている。
僕はちょっと面白いと思いながらも、去年断ったから嫌だなあ、入りにくい、恥ずかしいし(見られているので)と考えていた。が、「ぽんこつするのは、これはみんなに勇気を与える素晴らしいことである!」と先輩が格調高く演説するので、そうですかわかりました僕も遊んだりバカなことをするのはダメなんじゃないかなって思ってましたけど、それが人の役に立つなら、みんなに楽しんでもらえるなら、大いに迷惑かけます、といって教壇の上でステージマジックの助手を務めた。手が切れた。
それを観客席から見ていると、拍手が起きた。周りを見回すと、奥の方で先生方が何事か話している。なんだか、こちらを見て、ダメなやつだな、と認定したんだと思う。立ち上がったのだけ見えた。
11月23日
ここのところきわめて奇妙かつ、センシティブな夢ばかり見る。
個人情報が含まれているため、書きづらい。
11月25日
ロマとフミチベの二手に分かれている。
これは高度な鬼ごっこであり、なにかの力を持った人たちの鬼ごっこなんだと分かった。女が分裂して建物に潜伏しているんだ、と言われたので、家に入らないで逃げてしまうことを決める。
ところで、ロマもフミチベも人の名前ではなく、俺の知っている団体でもない。なにかの神様であろうが、そもそも俺はロマでもフミチベでもなかった。
11月?日
「日本の中でも植物と人間の関係で、大事なものとして『コファール』と呼ばれるものがあります。これは「閉じる」という意味の言葉であります……」
リハビリ小説集 @moyo
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