『注文の多い料理店』

ネコ エレクトゥス

第1話

 たまたま日本テレビ系列のお昼のワイドナショーを続けてみる機会があった。関西の制作の『ミヤネ屋』と関東の制作の『every』。両番組のコロナウィルス関連の発言を聞いて思ったこと。


 まずは『every』の方から。

「三密を避けましょう。」

「マスクを着用しアルコールでの除菌を心がけましょう。」

「不要不急の外出を避けましょう。」

「感染時に重症化するのを防ぐために飲酒や喫煙は控えましょう。そしてストレスのたまらない生活をしましょう。」

 じゃあいったい何しろって言うんだ?ストレスをためないために酒を飲んだりするんだろうが。

 この『注文の多い料理店』は次に一体僕らに何を要求してくるのだろうか?そして最後にどんな仕方で僕らを食べてしまうのか?


 次に『ミヤネ屋』。

 こっちは何とかお茶を濁す方法を探してる。ただその中でも番組の言わんとしてることは伝わってくる。

「まっ、何とか生きてきましょう。」

 そう言えば先日大阪知事のうがい薬会見が『ミヤネ屋』で放送されて話題になった。結果は多方面から批判にあったし、僕自身もその話を聞いて胡散臭いと思った。コロナウィルスに関しては世界中の研究機関が多額の金を出して研究しているのに、誰もうがい薬の可能性を考えなかったとは到底思えない。

 ただここ何か月の間、特に東京に住んでる人たちは、東京的な官僚的で画一的、メカニカルなやり方にうんざりしている人も多いのではないか。そんな中で大阪知事のやったことは結果として爽快だった。たとえ結論が間違っていたとしても。大阪知事には個人的にはまた「暴走」してほしい。


 黒澤明監督の初期の映画に伝説の女優、原節子主演の『わが青春に悔いなし』という作品がある。第二次世界大戦下を生きる原節子演じるヒロインの生活が主旋律として流れているのだが、副旋律として東京型の知恵に対する関西型の知恵のあり方、京都大学の存在が描かれている。中央の政治に対する学問の独立。これは中央との関連の深い東京大学では難しい問題だ。もちろん中央のスタンダードが全て間違ってると言う気はないが、こんな時代だからこそ京都大学の独自性を発揮してほしい。

 

 『注文の多い料理店』に対し時代劇に出てくるような大阪商人ならこんなことを言っただろうか。

「そんなこと言われたかて、わてら生きてけまへんわ。」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『注文の多い料理店』 ネコ エレクトゥス @katsumikun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る